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京大 学生にグーグルAI提供開始 「使わない自由」も尊重

2026.04.16

京大の情報環境機構は4月、京大とグーグルが昨年締結した包括連携協定に基づき、全学生に「学生用グーグルワークスペース」の提供を開始した。学生は全学生共通ポータルから、生成AI「ジェミニ」や「グーグルドライブ」を利用可能となった。これに先立ち京大は3月、AI活用の価値最大化や「AIを使わない自由」の尊重を盛り込んだAI利用計画を発表した。

提供された各アプリを利用することで、学生・教員間での連絡や文書の共有、学生間での京大学生に絞ったアンケート実施などが容易になる。また、個人アカウントに比べてAIを「安全に」使用できる。京大はその理由として、▼教育機関向けの規約ではグーグルがAIの学習や広告目的でデータを流用しないことが契約上明確にされている▼個人アカウントとは異なりグーグルの担当者が内容を確認する可能性がない、と本紙に説明した。

一方、京大の管理者が学生の保存データやAIとのチャット履歴にアクセスすることは、技術的には可能だという。ただ京大によると、アクセス権限はシステム運用担当者のうちの最少人数にのみ付与され、権限行使は不正アクセス調査など客観的に正当な理由がある場合に限って許される。また京大は現在、学生のAI利用状況やチャット内容を分析していない。将来的に利用状況を統計的に把握する場合は、予め公表して意見を募るなどのプロセスを踏むという。

國府寛司・教育担当理事は3月、特設のウェブサイトで学生に向けて、「『いったい何のために大学に入ったのか』という問いをつきつけながら、そして新しい時代のなかで新しい知をつくりだす気概のもとに、この創発的にも破壊的にもなりえる新しい技術に触れてほしい」と記した。湊長博総長は4月7日の学部入学式で「自分の文章を書くこと」の重要さを語り、「生成AIによる文章は、どれほど理路整然としたものであったとしても、それはもちろん皆さん自身による表現ではありません」と述べた。

「知の画一化を避ける」


國府理事は3月11日、京大の教育・学修現場でのAI利用に関して、イニシアティブ(計画)とガイドラインを公表した。これらの原案は教育改革戦略本部のタスクフォースが作成した。

計画では、AI活用のリスクを最小化しながらその価値を最大化し、人間とAIの共存時代の新たな教育像を対話により構築すると宣言した。最優先事項には「人間の尊厳を尊重し、知の画一化を避けること」を掲げ、「AIを使わない自由」も尊重するとした。

ガイドラインでは、AI使用のリスクとして、▼誤情報やバイアスを含む情報出力▼情報漏えい▼思考力・創造性の減退などを列記した。その上で学生には、出力結果を常に疑うなどリスクを自覚する対応を求めた。また教員には、授業や研究でのAIの利用可否の明示や、AIで容易に解答可能な課題を出さないなどの創意工夫を求めた。

特に情報漏えいのリスクに関しては、▼氏名や顔写真など個人の識別性が極めて高い情報は基本的に入力禁止▼未発表の研究データそのものは原則入力を避ける▼適切に入手した論文は出力結果を他者と共有しない限り要約や翻訳のため入力可、などとした。京大は今年度、AIリテラシーを学ぶ全学共通科目を新たに開講している。