映画「怪物」ロケ地の旧城北小 解体前にさよならフェス 長野県諏訪市
長野県諏訪地方がメインロケ地となり、2023年仏カンヌ国際映画祭で脚本賞などを受賞した是枝裕和監督の映画「怪物」の公開3周年を記念し、中核ロケ地だった諏訪市の旧城北小学校で26日、「さよなら城北小学校FESTIVAL」が開かれた。市の事業で今年度中の解体が決まっている校舎をしのび、映画のシーンに重ね合わせる企画で、是枝監督やプロデューサーの伴瀬萌さんらが来場。撮影時の思い出や制作秘話を披露し、集まった国内外のファンら約480人を楽しませた。 怪物は23年6月公開。旧城北小校舎では22年3~5月と7、8月に撮影が行われた。さよならフェスは、校舎の解体を前に映画の世界観を楽しんでもらおうと、諏訪地方観光連盟とロケに協力した諏訪圏フィルムコミッションが企画。先着350人を予定していたが、ウエブ告知開始2日間で480人に達したため急きょ締め切ったという。中国や韓国、インドネシアなど海外からの来場もあった。 参加者は吹き抜けの昇降口や校長室、音楽室、音楽準備室、集会室、裏庭など校舎のあちこちを見て回り、名シーンの数々を回想。是枝監督がお気に入りという地元の銘菓「くるみやまびこ」を自ら販売するブースもあり、サインや写真撮影にも気さくに応じて人気を集めた。 是枝監督と伴瀬さんのトークショーでは、映画制作の裏話に言及した。当初城北小は第一候補地ではなかったが、下見で訪れた際「音楽室から諏訪湖の景色を見て全員が好きになった」と伴瀬さん。是枝監督も「校舎に向かう坂道と桜並木がすごくフォトジェニック(写真映えする場所)で、振り返ると奥に諏訪湖。ここしかないと思った」と語った。2人は来場者からの質問にも丁寧に答えた。 トークショーには主人公の少年2人もメッセージを寄せた。星川依里役の柊木陽太さんは「城北小で休憩中に卓球をしたのが一番の思い出」と打ち明け、麦野湊役の黒川想矢さんは「今の僕がいるのは本当に諏訪と城北小のおかげ」と感謝を伝えた。 是枝監督は想定を超える来場に「1本の映画が人と人をつなぐことをうれしく思う」と感動した様子。怪物を20回以上鑑賞したという埼玉県戸田市の40代会社員女性は「是枝作品はどれも好きだが、特にはまった映画。ロケ地もいつか巡りたいと思っていたので、すごくいい機会になった」とうれしそうに話していた。