憲法改正「期限設けず議論」47% 世論調査、高市首相は「来春」
日本国憲法は3日、施行から79年を迎えた。高市早苗首相は2027年春までに改正の発議にめどを立てる目標を掲げる。日本経済新聞の世論調査では「期限を設けずに議論すべきだ」が47%に上る。優先順位が低い政策とみる意見が多い。
首相は3日、自民党総裁として改憲派が都内で開いた集会にビデオメッセージを寄せた。「議論のための議論であってはならない。行うべきは決断のための議論だ」と語った。
4月12日の自民党大会で「『改正の発議にめどが立った』と言える状態で来年の党大会を迎えたい」と述べている。憲法改正には衆参各院の総議員の3分の2以上の賛成で発議し、国民投票で過半数の賛成を得る必要がある。
日経とテレビ東京は4月24~26日の電話世論調査で、首相の党大会での発言を踏まえ憲法改正について聞いた。「期限を設けず」が半数近くに上り「来年春までに発議を目指すべきだ」が28%、「改正の必要はない」が19%だった。
自民党支持層だけでみると「期限を設けず」が45%、「来年春までに」が39%だった。
改憲自体を否定する意見は少ない。改正の賛否を2択で聞くと賛成が反対を上回る。
日経が25年10〜12月に実施した郵送世論調査では「改正したほうがよい」が68%だった。「改正しないほうがよい」は27%にとどまった。年1回の同調査では5年続けて改憲派が6割を超えている。
読売新聞は4月の電話世論調査で「来年の党大会までに憲法改正の発議のめどを立てたい」という考えを示す首相の姿勢について質問している。「評価する」が60%、「評価しない」が29%だった。
日経調査で「期限を設けず」が「来年春までに」を上回ったのはなぜか。一因として憲法改正がほかの政策課題と比べ優先順位が低い背景がある。
4月の日経調査では「首相に優先的に処理してほしい政策課題」を複数回答でたずねている。「憲法改正」は11%で、8つの選択肢のうち最下位だった。
「物価対策」が47%でトップになった。「年金・医療・介護」(37%)、「外交・安全保障」(32%)、「経済成長」(27%)が続いた。
毎月設けている優先課題の質問で憲法改正を選ぶ回答は22年9月から1割前後が続く。改憲を期待する人が一定の割合いるものの、国民の幅広い関心を集めるテーマにはなっていない。
首相は25年10月の党総裁選で「時代の要請に応えられる憲法改正」を掲げた。27年秋には任期満了を迎え、公約が検証される。
総裁選はおよそ100万人の党員や党所属国会議員が投票権を持つ。そこでの論戦を意識すれば、一般の有権者に向けた訴えとは比重が異なってもおかしくはない。
自民党と日本維新の会は連立合意文書に憲法改正を盛り込んでいる。9条改正や緊急事態条項の実現に向けた条文起草協議会の設置を明記した。
緊急事態条項については26年度中に条文案を国会に提出すると目標時期も記している。首相の「27年春には改正発議にめど」発言は維新と約束した日程に沿ったものだ。
首相が期限を設けて発議を急ぐ姿勢を示すのは党員や連立相手をつなぎ留める事情が透ける。
自民党は18年に憲法改正に関して4項目を優先的な検討テーマと位置づけた。具体的には①自衛隊の明記②大規模災害など緊急事態の対応③参院選の「合区解消」④教育の充実――を挙げた。
国会では項目や改正の方向性で一致しているわけではない。
国民民主党の玉木雄一郎代表は3日のNHK番組で、緊急事態時の国会議員の任期延長と「合区」解消を挙げた。「民主主義の基盤を整えるような改憲を優先してはどうか」と提案した。
中道改革連合の階猛幹事長は内閣が憲法7条を根拠に衆院を解散できる権限の制約に言及した。衆参いずれかの総議員4分の1以上の要求で臨時国会を召集する規定について期限が定まっていない問題も提起した。
衆院憲法審査会は緊急事態条項について具体的なイメージ案の作成を衆院法制局に依頼している。12日の幹事懇で提示を受け、14日に討議を予定する。参院憲法審査会は4月22日、参院選の「1票の格差」について参考人を招いて質疑した。