無精ひげ
無精ひげ(ぶしょうひげ)あるいは不精ひげとは「のびてもそらないで、うすぎたなくはえている髭[1]」のことである。ヒト、とくに男性は1-2日程度ひげをそらないと2-3ミリ程度のひげが頬などの部位に発生することがあり、このようなひげを整えない状態にしておくと無精ひげと呼ばれる[2]。
身だしなみ
[編集]無精ひげが生えていると身だしなみに気を遣っていないと見なされることがあるため、日本においてサービス業の場合は業務命令で不潔感を伴う無精ひげを剃るよう、雇用主が労働者に対して要求することがある[3]。また、身だしなみに関しては衛生に留意する必要があり、シャワーなどで身体を洗浄する場合、無精ひげが生えている部位は洗ってもなかなか菌数が減少しない[4]。
性的魅力と無精ひげ
[編集]1990年頃から、女性は男性の無精ひげを好ましく思うという研究が散発的に発表されるようになっている[5]。2012年にオーストラリアで行われた研究では、男性のひげは一般的に女性に人気がないとされている[6][7]。一方で2008年のイギリスの研究では、無精ひげは「男らしさ」のマーカーとして機能しており、無精ひげのある男性は完全にひげを剃っている男性や立派なひげをたくわえている男性よりも「明白に成熟している男性」として女性に好まれるということが示唆されている[8]。2013年の研究では、男性も女性もしっかりした無精ひげのある男性を魅力的であると考える傾向があることが示されている[6][9]。しかしながらこれは必ずしも進化などに関連した普遍的現象であるというわけではなく、単に21世紀の西洋においては無精ひげが流行のスタイルであるという要因によるものである可能性も指摘されている[10]。
歴史上の流行
[編集]古代ローマにおいては、権力を簒奪した者は「長いヒゲを捨てて、怖れを抱かせるような無精ヒゲの外見を好んだ[11]」。これに対して、3世紀後半に皇帝になったディオクレティアヌスはひげを綺麗に剃り、整った外見にすることを心がけていた[11]。
デザイナーズスタブル
[編集]デザイナーズスタブル (英語: Designer stubble) は洗練されていない男らしさや意図的にだらしない印象を与えることを狙った短いひげのスタイルである[12]。20世紀末頃から歌手のジョージ・マイケルや俳優のドン・ジョンソンの影響で広まった[13][14]。デザイナーズスタブルに見えるようひげを整えるのに特化したひげそり用具を作っている企業も複数存在する[15]。デザイナーズスタブルはたいてい1-3ミリ程度に整えられ、3日間伸ばす程度の長さで、より短いいわゆる「ファイヴ・オクロック・シャドウ」(朝剃ったものの夕方5時くらいになると目立ってくるひげ)とは異なる形になる[16]。
21世紀においてはデイヴィッド・ベッカムなど、メトロセクシュアルと呼ばれる男性がある程度整えられた無精ひげをはやすようになり、こうした無精ひげスタイルが流行するようになった[17]。
例
[編集]- ドン・ジョンソン (1986)
- ジョージ・マイケル (1988)
- ヤーセル・アラファート (1996)
- チャック・ノリス (2008)
- ベン・アフレック (2009)
- デイヴィッド・ベッカム (2009)
- ジャレッド・レト (2009)
- ライアン・ゴズリング (2011)
- レオナルド・ディカプリオ (2015)
- ジェイク・ジレンホール (2019)
- ジョン・ハム (2024)
- ブラッドリー・クーパー (2025)
- クリス・ヘムズワース (2025)
- ウィリアム王子 (2025)
脚注
[編集]- ↑ 「ぶしょう‐ひげ[ブシャウ‥]【不精髭・無精髭】」『日本国語大辞典』 JapanKnowledge, https://japanknowledge-com.ap2.proxy.openathens.net/lib/display/?lid=200203abd9654570V2LO , (参照 2026-04-29)
- ↑ Furuta, Kenji (1989). “Effect of washing with soap on reduction of bacteria contaminating human body surface.” (英語). Japanese poultry science 26 (3): 137–141, p. 138. doi:10.2141/jpsa.26.137. ISSN 0029-0254.
- ↑ 石井妙子他『経営側弁護士による精選労働判例集第10集』労働新聞社、2020年、128頁。ISBN 9784897618166。
- ↑ Furuta, Kenji (1989). “Effect of washing with soap on reduction of bacteria contaminating human body surface.” (英語). Japanese poultry science 26 (3): 137–141, p. 141. doi:10.2141/jpsa.26.137. ISSN 0029-0254.
- ↑ クリストファー・オールドストーン=ムーア 著、渡邊昭子、小野綾香 訳『ヒゲの文化史――男性性/男らしさのシンボルはいかにして生まれたか』ミネルヴァ書房、2023年、10頁。ISBN 9784623094387。
- 以下の位置に戻る: 1 2 Hess, Amanda (2013年5月7日). “Women Prefer Men With Stubble, or on the “Threshold of Masculinity”” (英語). Slate. ISSN 1091-2339 2026年4月29日閲覧。
- ↑ Dixson, Barnaby J.; Vasey, Paul L. (2012-05-01). “Beards augment perceptions of men's age, social status, and aggressiveness, but not attractiveness” (英語). Behavioral Ecology 23 (3): 481–490. doi:10.1093/beheco/arr214. ISSN 1465-7279.
- ↑ “女性は「無精ひげ」の男性を好むという研究結果が明らかに - GIGAZINE”. gigazine.net (2008年6月30日). 2026年4月29日閲覧。
- ↑ Dixson, Barnaby J.; Brooks, Robert C. (2013-05-01). “The role of facial hair in women's perceptions of men's attractiveness, health, masculinity and parenting abilities”. Evolution and Human Behavior 34 (3): 236–241. doi:10.1016/j.evolhumbehav.2013.02.003. ISSN 1090-5138.
- ↑ クリストファー・オールドストーン=ムーア 著、渡邊昭子、小野綾香 訳『ヒゲの文化史――男性性/男らしさのシンボルはいかにして生まれたか』ミネルヴァ書房、2023年、12頁。ISBN 9784623094387。
- 以下の位置に戻る: 1 2 クリストファー・オールドストーン=ムーア 著、渡邊昭子、小野綾香 訳『ヒゲの文化史――男性性/男らしさのシンボルはいかにして生まれたか』ミネルヴァ書房、2023年、51頁。ISBN 9784623094387。
- ↑ Martin, Gary. “'Designer stubble' – the meaning and origin of this phrase” (英語). Phrasefinder. 2020年10月29日閲覧。
- ↑ “Designer stubble”. 2011年7月14日閲覧。
- ↑ Bombeck, Erma (1986年8月10日). “Don Johnson stubble creates hairy situation”. The Pittsburgh Press: p. G7 2013年5月3日閲覧。
- ↑ Quenca, Douglas (2011年9月29日). “Stubble Trimmers – Trial Run”. The New York Times: p. E-3 2013年5月5日閲覧。
- ↑ “The Medium Stubble Beard: How to Maintain a Perfect 1-3mm "Designer Stubble"” (2020年10月26日). 2021年6月26日閲覧。
- ↑ クリストファー・オールドストーン=ムーア 著、渡邊昭子、小野綾香 訳『ヒゲの文化史――男性性/男らしさのシンボルはいかにして生まれたか』ミネルヴァ書房、2023年、249-250頁。ISBN 9784623094387。