【戦略的無能と低単価タスクの永久隔離】優秀なフリをして雑用を抱え込むな。「あの人には頼めない」という聖域を構築し、作業を合法的に拒絶する防衛線
高城 健です。
外資系戦略コンサルティングファームで、クライアントの経営課題解決に従事しています。
今回は、日本の組織において「仕事ができる優秀な人間」ほど陥る、無限の雑用と低単価タスクによる過労死ルートの解明。
そして、自らのプライドを完全に捨て去り、意図的に「特定の実務において絶望的にポンコツである(戦略的無能)」と周囲に学習させることで「あの人に作業を頼むと逆に迷惑だ」と諦めさせ、合法的に自らの手を汚さずに済む無敵の防衛線を構築する、極悪な時間隔離のアーキテクチャです。
あなたは今、プレイングマネージャーとしてチームの生産性を上げるために、このような自己犠牲を行っていませんか。
「部下が作ったエクセルやパワポの資料がイマイチだ。私がサッと手直しした方が早いから、巻き取って完成させよう」
「社内の新しい経費精算システムの使い方が誰も分からない。私がマニュアルを読み込んで、一番にマスターして皆に教えよう」
「どんな仕事でも『できない』とは言いたくない。頼まれたら期待以上のクオリティで打ち返し、万能なリーダーとしての背中を見せよう」
もしあなたが、このように「何でも器用にこなせる万能な人間(オールラウンダー)であること」が、周囲からの信頼と評価に繋がると信じて疑わないなら。
あなたは、資本主義における「機会費用(オポチュニティ・コスト)」と「比較優位の原則」を全く理解していない、ただの「時給数万円の頭脳を、時給千円の作業で使い潰されている、安上がりな便利屋」に過ぎません。
あなたのその「私がやった方が早い」という優秀さが、結果的に部下や他部署のハイエナたちに「面倒な作業はすべてあの人に押し付ければいい」という最強の免罪符を与え、あなたの命(時間)を最も価値の低いゴミ仕事で埋め尽くしているのです。
ビジネスの現場において、「何でも器用にできること」は決して褒め言葉ではありません。それは「誰にでもできる雑用を押し付けやすい、都合のいい労働力」と同義です。
真のリーダー(支配者)は、絶対に「何でもできる優秀な人」を演じません。
彼らは、自分の時給に見合わない低単価なタスク(資料の体裁整え、システムの入力、スケジュールの調整など)が飛んできた時、意図的に【致命的ではないが、極めて面倒くさいミス】を連発します。
エクセルの関数をめちゃくちゃに壊し、パワポのフォントをバラバラにし、「ごめん、私にはこういう細かくてIT的な作業は絶望的に向いていないんだ」と堂々と無能を演じきります。
周囲に「あの人は戦略や交渉は神がかりだが、実務作業をやらせるとポンコツで逆に手間がかかる」という【戦略的無能(Strategic Incompetence)】を骨の髄まで学習させることで、自らの机から一切の雑用を物理的に隔離し、経営幹部としての高度な意思決定(ディープ・ワーク)にのみ全リソースを投資する聖域を創り上げるのです。
今回のクライアントは、東証プライム市場に上場する大手製造業で、事業統括部長を務めるKさん(44歳)。
彼のミッションは、複数の事業部の予算を管理し、全社的なコスト削減と新規事業への投資配分を決定することでした。
Kさんは、若手時代から「エクセルの魔術師」「パワポの神様」と呼ばれるほど実務能力が高く、どんな複雑なデータも一瞬で美しい資料にまとめ上げる、超優秀なプレイングマネージャーでした。
しかし、その「圧倒的な実務能力」が、彼を地獄の底へと引きずり込んでいました。
事業統括部長という立場になったにもかかわらず、部下たちは「K部長が手直しした方が圧倒的にクオリティが高いから」と、未完成の粗いデータだけをKさんのデスクに持ってくるようになりました。
他部署の役員たちも「明日の経営会議の資料、K君がパパッと見やすくグラフ化してくれないか」と、本来なら彼らの部下がやるべき作業を平気で押し付けてきます。
Kさんは、「頼られている以上、完璧なものを出さなければ」というプライドから、毎晩深夜まで他人のエクセルとパワポを美しく整える作業に没頭していました。
結果として、彼が本来やるべき「数億円のコスト削減プランの立案」や「赤字事業の撤退決断」といった、重く苦しい【本質的な思考】は後回しにされ、日々の細かな資料作成という「やった気になれる麻薬のような作業」だけで彼の時間は完全に食い尽くされていたのです。
Kさんは、美しくフォーマットされた数十枚のパワポ資料と、一向に改善されない事業部の赤字データを前にして、疲労困憊の顔で私に言いました。
「高城さん、私がどんなに高速で資料を処理しても、次から次へと新しい作業が降ってきます。彼らは私が直すことを前提で仕事を持ってくるのです。
私がもっと部下の資料作成スキルを上げるための研修を自ら開くべきでしょうか。どうすれば彼らは私レベルの資料を作れるようになるのでしょうか」
私は、Kさんが深夜に作り上げた「部下のための美しいエクセル・テンプレート」をシュレッダーに放り込み、冷酷な事実を突きつけました。
「Kさん、彼らが成長しないのは、研修がないからではありません。あなたが『何でも完璧にこなす優秀な魔法使い』を気取り、彼らの代わりに底辺の作業をホイホイと巻き取っているからです。
今日から、エクセルを開くことと、パワポのフォントを直すことを永遠に禁止します。
そして、戦略的無能のOSを脳にインストールし、あなたが握りしめているその『実務のプライド』をドブに捨ててください。
彼らに『ごめん、最近老眼で細かい数字が見えないんだ』『新しいエクセルの機能が全く理解できない』と、堂々とポンコツなフリをしなさい。
資料を頼まれたら、意図的にレイアウトを崩して突き返し、『もう二度とK部長に作業を頼むのはやめよう』と彼らに絶望させるのです。
便利な作業代行業者であることをやめ、自らの無能さを武器にして時間を防衛する、冷徹な聖域の構築者へと視座を転換するのです」
この記事は、優秀なオールラウンダーであるというプライドに溺れ、他人の雑用で過労死寸前になっていたK統括部長が、コンサルタントの「戦略的無能の視座」を用いて一切の実務作業を放棄し、意図的にポンコツを演じることで周囲のハイエナたちを諦めさせ、奪われた時間を取り戻して巨大な経営課題の解決に成功した全記録です。
有能であることは、時に最大の弱点になります。
自らの弱さ(無能さ)を意図的にデザインし、それを最強の盾として他人の侵略を弾き返す、極悪な時間防衛術の全貌をここに公開します。
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