辞表提出の日の奇跡

 4月30日、辞表を提出するため大阪地検に向かった。
 覚悟を決めていたはずなのに、あの建物に近づくと
  怖い、行きたくない、帰りたい
  辞表を出したくない、辞めたくない、でももう居場所がない
  悔しい…なんで私が…悔しい…
というぐちゃぐちゃな気持ちで、泣きながら、大阪地検に入った。
 
 案内された場所は、地下の、窓もなく暗い、被疑者の取調室。
 
 私は、被疑者の取調室で、被疑者が座る場所に座らされ、辞表を提出させられた。
 
 上司は、人事課の事務官の方に対応を押し付けて、誰も出て来なかった。
 
 辛い役目を押し付けられた事務官の方の手はずっと震えていた。
 この方も検察の被害者だとかわいそうに思った。
 
 声を上げてから2年間、北川からの被害を含めたら8年間、悩み苦しみながら仕事をして、闘い抜いて、でも検察には声が届かなくて、書きたくないけど書かざるを得なかった私の辞表は、10分もかからず形式的なチェックだけで、あっけなく受理され、帰された。
 
 普段、職員が退職するときは、大勢の職員に囲まれ、惜しまれ、慰労され、花束を渡され、温かい拍手で見送られる。
 私も、これまでたくさんの上司や同僚をそのようにして見送ってきた。
 
 でも、私が辞表を提出した場所は、窓もない暗く冷たい取調室で、そこには上司も同僚も事務官の方々も誰もおらず、誰からも慰労されず、見送られることもなかった。
 
 私にはたくさんの仲間がいたのに。
 仲間のことをとても大切にしてきたのに。
 
 私が自分の努力で培ってきた捜査・裁判の経験や知識をたくさんの検察官に講義し指導して、組織にも貢献してきたのに。
  
 とても長い間、被害者の方々に寄り添い、被疑者の方々の再犯を防止し、市民、国民のみなさまの安全を守るために身を粉にして懸命に働いてきたのに。
 
 検察内で酷い被害に遭い、酷い病気になり、でも復職したくて、勤務環境を安全にしてほしかったので、検察組織の違法不正を糺さざるを得なかっただけなのに。
 
 検事として、被害者として、正しいことをしただけなのに。
 
 検察組織から、最後の最後までこんな酷い仕打ちをされて辞めさせられるのかと思うと、あまりに惨めで、悔しくて、情けなくて、悲しかった。
 
 でも検察から一歩外に出たら、たくさんの味方がいた。
 
 SNSで声を掛け合って集まってくださっていた40人以上の方々が、雨の中、ずっと待ってくれていて、拍手で私を出迎えてくれた。
 ひかりさんおつかれさまー
 私たちを守ってくれてありがとうー
 一人にしないよー
って大声で叫んでくれていた。
 涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっている私を労わってくれて、握手してくれて、抱きしめてくれた。
 大きな花束もいただいた。
  たくさんの方々が、私のそばにいてくれて、悔しい、でも大丈夫、連帯してるから、って一緒に泣いて怒ってくれた。
 
 私のことをずっと応援してくださった支援の会の方々も、私の隣でずっと泣いてくれていた。
 背中を撫でてくれた。
 よくがんばったねと言ってくれた。

 弁護団の先生方も家族もいてくれた。 

 みんなが、
 検察は被害者を守れ
 市民、国民を守れ
 身内の犯罪を隠蔽するな
 被害者を一人にするな
と声を上げてくれた。
 
 最悪な日になると思っていたのに。

 こんな奇跡が起きるなんて思いもしなかった。

 こんなふうに見送ってもらえるなんて想像もしてなかった。

 どれだけ叫び続けても検察には届かなかった私の声。
 無視され続けて、透明人間にされていた。
 加害され続けて、ゴミのように扱われていた。

 でも、こんなにたくさんの方々に私の声が届いていた。
  
 ほんとに、ほんとに嬉しかった。

 この美しい光景を目に焼き付けなきゃ。
 一人じゃない。一人じゃない。一人じゃない。
 
 私は幸せ者だ。
 最悪な一日が、幸せな一日に変わった瞬間だった。
 
 私はまだ、生きられる。
 私はまだ、私のために、誰かのために、闘い続けることができる。
 私はまだ、正しく怒り続けることができる。
 
 
【御礼】
 
 初公判後に記者会見をしてからずっと応援してくださり、声を上げ続けてくださっている支援の会のみなさま
 オンライン署名にご賛同してくださり、noteを読んでくださり、スキや温かいコメントなどで応援してくださっているみなさま
 全国で連日、検察庁前でスタンディングをしてくださり、SNSでも声を上げ続けてくださり、応援してくださっているみなさま
 報道によりたくさんの方々に伝えてくださっているみなさま
 今も私に寄り添ってくださっている検事や事務官、警察官の仲間
 連帯している被害者当事者の方々や支援者の方々
 国家権力の違法不正に立ち向かうために死力を尽くしてくださっている弁護団の先生方と家族のみんな
 
 そばにいてくださり、本当にありがとうございました。
 一緒に泣いて、怒って、励まして、連帯して、声を上げ続けてくださり、本当にありがとうございました。
 これからも私にできることを、精一杯、力を尽くしていきますので、ご支援をよろしくお願いいたします。
 
 誇りをもって生きるために
 手を放す 軽くなる 満ちてゆく 

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ちえのかたまり

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コメント

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ととしし

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被疑者の取調室で辞表を提出させられたなんて、私には嫌がらせとしか思えませんでした。最後の最後まで反省の色が全く見られません。ここまで堕ちたのかと愕然としました。 いったいこの組織はどれだけの人の心を踏みにじってきたのか・・。 この悔しい気持ちを忘れずに、これからも応援続けていき…

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九州 教育と性を考える会 のプロフィールへのリンク

ありえない! 最後の日は地下の、窓もなく暗い、被疑者の取調室。 被害者を守るはずの検察がどうしてこのようなことができるのだろうか? 国民はこの日を忘れてはならないと思います。

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