時浦兼(トッキー)

「コンプラ気にして古代が描けるか!」神功皇后論インタビュー・第4回

時浦兼(トッキー)

2026年5月2日 14:55

『神功皇后論』発売記念 小林よしのりインタビュー
第4回「コンプラ気にして古代が描けるか!」

(インタビュアー・にしやん)

小林よしのり最新作!神功皇后論

小林「だから最初はほんの少し、うっすらだけど、あそこの陰毛ぐらいは描いていたんだよ。だってキューピーちゃんみたいに何もなかったら、やっぱりおかしいから。
ところが編集側は、それもダメだって言うんだ。
コンプライアンス違反になってしまうからって。
「ええっ!陰毛描いたらいけないの?別にそのもの全てを描いたわけじゃないのに。おかしいよ、そんなのは!」と思ったよ。
編集側は完全に現代人の感覚だなって、すごく不満だったよ。
でも仕方がないのね。だから描き直したんだ。そこを見えないように水しぶきとかで誤魔化してね。
なのに、驚いたよ!ネット媒体では載っていないんだよ!丸ごと1本、わしが描いたやつが載っていないの!凄いよ、ネットの規制ってやつは。
雑誌にはさ、もっと際どい扇情的なヌード写真とか載ってるのに、なんでわしの作品は載せられないの?どうなっちゃてるの?って思ってさ。」

小林「これは、わしが昔、『新しい歴史教科書を作る会(1997発足)』で執筆していた時、神話の部分で、アマノウズメノミコトが踊るシーンを書いた箇所があるんだけど。」〈※注〉

小林「その部分は、古語においては女性器を「ほと」と書いてあるんだ。わしは古語を訳す時、その「ほと」を、「陰部」という言葉で訳して書いたんだよ。
「つくる会」の理事は学者ばかりだから、当然その言葉を否定はできないよね。
だって現実に「ほと」って書いてあるわけだから。
だからその訳で載せたんだ。
それで教科書を作ったら、ちゃんと検定を通ったんだよね。」

小林「そして結局その教科書は、中学校などで使われることになったんだけれども、そうしたら学校の先生達がそれを読んで、その「陰部」という部分に凄い抗議を入れてくるんだよ!
わしからすれば、えっ、なんなんだ?じゃあ一体どうすりゃいいんだ⁉︎ と思ってさ(苦笑)」

そういう事もあったし、コンプライアンスを理由に表現に規制を掛けたり、抗議をしてくるなんて本当に変な話だよ。
「神功皇后論」でいうと、太古のさ、あの時代の解放感みたいなものをそのまま描こうとしても、描けないんだよ、現代は。」

小林「そうなんだ。作家の立場としては、表現の自由というものをうまく使って、太古の感覚というものに、一生懸命に迫ろう迫ろう!としているわけでしょ。それなのに、結局コンプラがそれを許さないんだよ!」

小林「そうそう。それにわしは漫画家だから、古代を描くのは、小説家が文字だけで書くことよりももっと難しいんだよ!
つまり、登場人物が現代の人間なら、色んな髪型や服装があるからキャラクターの書き分けが簡単に出来るけれども、古代はね、もの凄く難しいんだ。
だって皆んな同じ格好をしているから(笑)
皆んな同じ髪の結い方だから(笑)
しかもその上で、顔に個性をつけないといけないからね。そこでどこまでオリジナリティーを出そうかって考えるのは凄く大変なんだ。

今、神武天皇の兄弟を描いているけれども、4人もいるから、全員顔を描き分けて一人一人違うデザインにしているんだ。そうすると、なんかもう覚えきれなくなっちゃうんだよ、キャラがあり過ぎて(笑)
漫画ゆえに、古代人を描くのはもの凄く苦労するんだ。

※注
当該箇所の記述は以下のとおり。
「スサノオの命は天照大神を訪ねていくが、何しろ気性の荒いスサノオは神殿に糞をするわ、天照大神の神聖な機屋に、馬の皮をはいで落とし入れるわで、ついに天照大神はおそれて天の岩屋にこもってしまう。すると、天も地も真っ暗になり、あらゆる災いが起こった。
 そこで神々は策を考え、祭りを始め、常世の長鳴き鳥を鳴かせる。アメノウズメの命が、乳房をかき出して踊り、腰の衣のひもを陰部までおしさげたものだから、八百万の神はどっと大笑い。天照大神が不思議に思って、岩屋戸を少し開けたところをアメノタヂカラオの神に引き出され、岩屋には注連縄を張られてしまったので、ついに世界に光がよみがえった。

バックナンバー
第1回「古代史から現れたフェミニズム」
第2回「『日本書紀』にも捏造がある!」
第3回「漫画だから描ける、古代人の感覚」

明日もお楽しみに!!