体の自由と声を失っても「生きればいいじゃん」 ALS患者の「ニャンちゅう」声優・津久井教生さん 視線でパソコン操作し書き上げた闘病記 妻の言葉に背中押され
著書には体が動かなくなっていく中での日々の工夫のほか、排せつ事情、おむつを使う上で試行錯誤の「おむつトーク」、胃ろうを使って感じていることなど、津久井さんがALSと過ごす日々が詳細につづられている。極めて過酷な難病を患いながら、日々、明るく発信を続ける津久井さん。約1時間にわたるインタビューの間も、笑顔を絶やさず、饒舌に語り続けた。 【インタビュー一問一答編】 ▽「今やることに夢中」 ―今回のご著書は、「割り箸入力」や「視線入力」で執筆されました。大変なことはありましたか。 「執筆で苦労を感じることはありませんでした。お話を受けた時から、本が出版される喜びであふれました。元のウェブ連載もワクワクしながら書いていたので、ますますワクワクしながら、新たに何を書こうか?といったことを編集者の皆さんと考えて、楽しく時間が過ぎました」 「今回の本の出版で、過去を振り返ることができたのは良かったと思っています。進行性の病気であるALSという病気に対しては、今を生きるのに精いっぱいの部分があります。今日できていることが、数日後にはできなくなっている。次の一手のための工夫と追いかけっこになっているのです。過去を振り返る機会を与えていただいたおかげで、自分たちがやってきたことの軌跡をもう一度確認することができました。これは、今後のALSと笑顔で生きるためには、ものすごく役に立つと思います。今やることに夢中で、なかなか日記を読み返さないものですから」
▽どんな病気か知ってほしい ―ご著書では声優としての人生を振り返り、30年間講師をしていた経験から、声優の仕事の技術についても語られていますね。 「声優は、多くの人に認知される職業になってきています。でも、かつては裏方の仕事という考え方もありました。私の先輩の中には、キャラクターの持つ夢を壊すから、あまり表には出ないんだという美学を持った人もいます。私は、どちらかというと『声優の津久井教生です』という感じで活動していました。ALSという病気の本ではありますが、ALSに罹患した人が声優だったという立ち位置で書かせていただきました」 「声優のお仕事の面白さは、役者と違って自分自身ではない人や、動物や植物、物や宇宙人やキャラクターや敵に命を吹き込めること、言葉だけで人を惹きつけることができることです。確かに技術は要りますが、うまくはまった時の楽しさは格別のものがあります。声優の仕事をしていて、1990年代中盤から録音技術や映像技術が急速に発展して、現場にいて、どこまで進化するんだ? とワクワクして、印象に残り楽しかったのを覚えています。私のように番組の役やキャラクターやナレーションに恵まれた人は、ちょっと得をした気がします」