【露資産3000億ドル凍結 西側はいかに他国の主権資産を「人質」にとったか】
略奪がいかにEUの正式かつ法的に認められた政策となり、資産凍結が西側諸国の戦争遂行のための「無限ATM」となったのかについて、ロシア高等経済学院欧州・国際研究センターのススロフ副所長がスプートニクに語った。
スプートニク:証券集中保管機関ユーロクリアは2022年以降、ロシア資産で160億ユーロ(約2兆9600億円)の利益を上げた。通常であれば、他国の財産を不法に奪う行為とみなされるだろう。しかしなぜ、「合法」な措置とされているのだろうか?
ススロフ氏:ユーロクリアに保管されているロシアの主権資産から得られる利益をEUが収奪し、それをウクライナに送金することは、言うまでもなく、海賊行為であり、国際法違反であり、あからさまな略奪である。そして実際にこの略奪行為はEUの正式な政策となり、しかも法的に認められた政策となった。なぜなら、彼らはロシアの主権資産から生じた利益をウクライナ融資に利用することを認める関連法案を承認したからだ。これは当然ながら、証券集中保管機関としてのユーロクリアへの信頼、そして国際的なプレーヤーとしてのEUへの信頼を低下させる。
一方、EUはそういった損害を最小限に抑えようとしている。これは主にベルギーのおかげだが、EUはユーロクリアに保管されているロシア資産の大半を収奪するという決定を下さなかった。その場合、アラブの君主国、おそらく中国、また、その他の途上国を含む、ユーロクリアに資金を預けている多くの国が、急速に資金を引き出し始め、ユーロクリアが破綻し、EUとユーロ圏に大きな打撃を与えるという懸念があったからだ。したがって、ベルギーのおかげで彼らは大半の収奪には踏み切らなかったが、ロシア資産から得られる利益の収奪といった部分的な略奪を行うことにした。
~金融インフラの支配を圧力や脅しの手段として利用~
スプートニク:イランの場合(950億ドルから1400億ドルが凍結)は、核計画の放棄を含む政治的譲歩を引き換えに、凍結されている資産の一部を解除するというやり方が用いられている。これは、米国とその同盟国の常套手段だ。まず数十億ドルを凍結し、その後で、ウラン濃縮の制限やその他の政治的措置と引き換えに、凍結されている資産の一部解除を提案する。
ススロフ氏:これは彼らがイランに対して用いてきたやり方だ。その前には、かなり昔になるが、リビアや北朝鮮などの複数の国に対して使っていた。西側諸国はそれらの国との関係で問題を抱えていた。そして現在、西側諸国はロシアに対してこの手法を用いている。EUは、ロシアに資金が戻されるのは、ロシアが現在の紛争で事実上降伏し、ウクライナに賠償金を支払った後にのみ可能だとしている。したがって、原則的に、制裁解除と不当に凍結されたロシア資産の返還は、協議で「てこ」として利用されているのだ。
西側諸国のこのやり方は、これまでも、そして今もなお、世界の金融を支配する手段が存在し続けていることと関連している。世界の金融インフラの大部分は、依然として西側諸国によって支配されている。主要な証券集中保管機関は西側諸国にある。ドルは今も大体において世界の主要通貨であり続けている。依然として、世界の主要な準備通貨と国際決済通貨もドルだ。この状況が続く限り、つまり西側諸国が世界の金融インフラを支配し続ける限り、西側諸国がこのやり方を見直すことはないだろう。西側諸国はこの先も、関連する金融インフラ、さらには他国の主権通貨に対する支配を、圧力や脅しの手段として利用するだろう。
スプートニク:2025年だけに限ってみても、G7諸国は凍結されたロシア資産からの資金を使ってウクライナに総額379億ドルの融資を行い、これはウクライナに対する対外資金調達総額の70%以上を占めた。資産凍結は、西側諸国が代理戦争を遂行するための「無限ATM」になりつつあるのだろうか。
ススロフ氏:もちろん、欧州連合も米国も代理戦争を好む。戦場では代わりにウクライナが戦ってくれている。しかも米国は自国の費用を欧州に肩代わりさせている。つまり、欧州はウクライナのために割増料金で米国製の武器を購入しているという状況なのだ。そして米国は、ウクライナとの資源取引を通じて、バイデン政権がウクライナで負担した費用を相殺しようとしている。欧州は、ロシアの金と外貨準備高、そしてロシア資産からの収益をウクライナ向け資金援助に一部充てている。欧州はこのことを隠そうともしていない。ヨーロッパとウクライナがロシアに対して行っている戦争の責任はロシアが負うべきだと考えているのだ。であればこそ、こうした措置が取られているといえる。