見えない部分を描くって野暮なことだよ
Photoshopに新しく搭載された生成AIの新機能「オブジェクトを回転」。写真やイラスト画像から任意の物を選んで、ぐるぐると回転させることができる機能です。以前からベータ版で公開されていた機能が、この度正式に使えるようになりました。皆さんはもうお使いになりましたか?
SNS上では夢のような機能だ、すごすぎるといった驚きの声が上がっています。機能の公開からまもなく、早速いろんな画像をくるくると回して試しているのをよく目にしました。その精度は、パッと見では違和感がないほどです。
私も、試しもせずに何も意見できないと思い、自分の絵を使ってやってみることにしました。下記ポストよりご覧いただけます。
Photoshopの生成AIの新機能「オブジェクトを回転」について。試しもせずに称賛も批判もできないと思い、自分の絵で使ってみました。結果としてはこんな感じでしたが、他の方たちがあまり違和感なく生成している例も多く見ています。… pic.twitter.com/pTbC5bQ8Tf
— サタケシュンスケ|イラストレーター (@satakeshunsuke) April 30, 2026
はじめて使ってみた結果としては、思っていたものとは全然違う答えが出力されました。結果に思わず笑ってしまいそうになりましたが、いや、笑い事ではないなと。
これだけを見ると、生成AIもまだまだだよね〜、と思われるかもしれませんが、この一例だけで判断してはいけません、実際、他の方たちが違和感なく生成している例を多く見ています。中には言われなければ気が付かないほどのものも。
私の例も、もしかして何度かトライすればうまく(?)生成されることもあるのかもしれません。ただ、自分の中に答えを持っているのなら、もうはじめから描いたほうが早いとは思います。
毎日のようにAdobe製品を使っていて、Adobeのスタッフの皆様にも大変お世話になっている身ではりますが、苦言といいますか、いちイラストレーターとしての心配な想いをここに残しておこうと思いました。
ひとことで言えば野暮
こんなことが容易にできる時代がくるなんて、便利になったもんだと思う一方で、いちイラストレーターとしては、正直微妙というか、ちょっと気持ち悪いな…と感じてしまいました。
絵として見えない部分、場合によってはあえて見えないように描いた(描かなかった)部分を、作者の意図は違うところで、こうしてAIの解釈で補われてしまうのはまったくもって野暮で、やめてくれ…!としか思えません。
もしも、納品したイラストが、キャラクターデザインが、第三者にこうして回転させられたら… すごく嫌です。今後そうしたトラブルがいろんなところで起こってしまうのではないかと心配しています。自分の絵を守るためには取引先との契約書に注意書きを増やさないといけなくなりそうです。
これに限らず、いままでにも、歴史的に未完成となった絵画の続きをAIに描かせたり、故人をAIで再現しそれっぽく喋らせたり、本人の意思を無視して使用されている例を見て、野暮だよそれは…と感じたことがあります。
技術の進歩とともに、私たちもアップデートしなければいけない
人によっては、使い方によっては、とても便利な機能だと思いますし、制作に活かせることもいろいろとあるのかなと思います。出力されたものをそのまま使うのではなく、バリエーション制作、角度の検証など内省的な用途であればありなのかも?(自分が著作権を有するものに限りますが)とも思いますが、なんにせよ取り扱いには注意が必要になりそうですね。
技術の進歩自体は純粋に歓迎されるべきだと思うのですが、それに合わせて使う人間側(もちろん私も含めて)がいろいろとアップデートしていかないといけないなと、あらためて権利意識、マナー、引き締めていきたいと思いました。
こういうことを書くと、一部界隈からは「お気持ち表明」とか「時代についていけてない」とか言われてしまうわけですが、それでもよくて、こんなふうに感じている人もいるんだなってことが少しでも伝われば幸いです。
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はじめましてまったく同感です。野暮です 日本の屏風をアニメーションにするのも野暮名画を立体化して3Dで再現するのも野暮 自分のイラストでやってくれという感じです。全てはそこで完結してる。 AIがラピュタの続きを考えてアニメ作りましたとかやられたら怒ると思います。野暮すぎると、余計な…
初めてコメントします。サタケさんの違和感、すごくわかります。 「あえて描かなかった部分」って、本来は受け手の想像力に委ねていた領域でもあって、絵の余白や省略って、見る人それぞれの中で像を結ぶことに意味があったはずなんですよね。そこにAIが「ありそうな正解」を差し込んでくると、作者…
こちらこそ、ご覧いただきありがとうございます!新しくできたものですから、それに合わせた新しいルールやマナーももちろん必要ですね。ものをつくる人、みんなで考えられるきっかけになればと思って書きましたので、そう言ってもらえて嬉しいです!