インタビュー

第5回財布に不要なレシート、たまってない? 「ためこみ症」が疑われる人

編集委員・岡崎明子
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 価値がないとされるものをためこんで手放せず、生活に支障をきたす「ためこみ症」という精神疾患があります。ためこむ対象は、チラシやレシートといった身近なものから、デジタルデータ、動物に至るまで多岐にわたり、家族関係に影響を及ぼすこともあります。

 原井クリニック(東京都中央区)院長の原井宏明さんと精神保健福祉士の松浦文香さんに、病気とのつきあい方を聞きました。

 ためこみ症は、強い「不安」や「こだわり」によって日常生活に支障が出る強迫症の関連症群です。

 ためこむことに喜びを感じるだけでなく、捨てることに心の痛みを感じ、捨てるか残すかの判断に時間がかかるため、結果的にものが増えていくという経過をたどります。

 ものがあふれて生活しづらくなっても捨てられず、トランクルームに移すだけ、という人は少なくありません。部屋がもので埋まっても、不快とは感じないこともあります。

 このため、本人は病気であるという自覚に乏しく、大家から退去を求められる、結婚後も同居が難しいといった具体的な困りごとがない限り、治療につながりにくいのが実情です。

 ためこむ対象はものに限りません。デジタルデータを捨てることができず、ハードディスクを買い増してテラ(1000ギガ)単位の情報をためこんだり、世話ができないほど多くの動物を飼ったりする人もいます。

 原井クリニックでは定期的に、強迫症と関連症群の患者を対象に3日間の集団集中治療を実施しています。そこではまず、「お財布を見せてもらっていいですか?」と尋ねます。

 もう使うことのない会員証やレシートをためこみ、財布がパンパンになっている人は、ためこみ症の傾向があるのではないかと考えています。

 ある患者は独身時代、大好きなアイドルグループが掲載された記事の切り抜きをためこんでいました。子どもが生まれてからは、子どもがつくった作品だけでなく、髪の毛やおむつまでためこむようになり、配偶者の方が相談に来たことが治療のきっかけでした。

 集団治療のいいところは、ものを捨てられたときに、ほかの参加者が「よかったね」と喜んでくれることです。そこで自信がつき、もう少し捨ててみようかと思えます。

 結局、ものを捨てるという行為は習慣なので、年末の大掃除のように「一度成功したら終わり」とはならないのです。

 スポーツをしたり、音楽を聴いたり、「ためこむ」行動をほかの行動に置き換えられるように環境調整することも、大事だと思っています。

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この記事を書いた人
岡崎明子
編集委員|イチ推しストーリー編集長
専門・関心分野
医療、生きづらさ、ジェンダー、働き方

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