総合職を諦めて地域職で妥協したワケ
総合職から地域職になる。
こう聞くと、多くの人は「キャリアを諦めた」と感じるかもしれません。
実際、昔の僕もそう思っていました。
総合職こそ正解。全国転勤を受け入れて、会社の都合に合わせて、どこに飛ばされても文句を言わず働く。それが大企業で勝つためのルールだと思っていました。
でも、会社員を続ける中で少しずつ違和感が出てきました。
「このまま総合職のレールに乗り続けることは、本当に自分にとって合理的なのか」
今回は、僕がなぜ総合職から地域職の道を選んだのかを書いてみます。
1. きっかけは、一枚の紙だった
結婚して、子どもが生まれる少し前のことです。
妻もフルタイムで働いていました。僕が総合職で年収920万円。妻が600万円。世帯収入は約1,520万円で、生活には余裕がありました。
そのとき、ふと考えました。
「転勤の辞令が出たら、どうなるか」
総合職である以上、転勤は避けられません。地方に飛ばされれば、妻が同じ職種で働ける保証はない。必然的に、妻はキャリアを諦めて専業主婦になるしかない。
感情を横に置いて、数字だけで整理してみました。
転勤を続ける場合: 僕 920万円 妻 0円(退職)
世帯収入 → 920万円
地域職に切り替えた場合: 僕 800万円(約2割減) 妻 600万円(継続)
世帯収入 → 1,400万円
差額、約420万円。
「総合職のままでいる」という選択は、世帯単位で見ると年間450万円を捨てることと同じでした。答えは一瞬で出ました。
2. 本当にしんどいのは仕事量ではなく「人生の決定権」
ただ、僕が地域職を選んだのはお金の話だけではありません。
総合職のしんどさは、忙しさだけではない。一番大きいのは、人生の決定権を会社に預けることです。
辞令が出れば住む場所が変わる。住む場所が変われば生活リズムも変わる。家族の予定も変わる。人間関係もリセットされる。将来設計も立て直しになる。
これを何度も繰り返すのは、想像以上に消耗します。
しかも大企業だと、全国転勤を受け入れることが「覚悟」や「忠誠心」のように扱われることがある。でも冷静に考えると、それは会社側にとって都合のいい価値観でもあります。
会社員にとって大事なのは、会社にどこまで合わせられるかではなく、自分の生活がちゃんと守られているか。僕はそこを優先したくなりました。
3. 地域職を選んで手に入ったもの
地域職を選んで、生活はかなり変わりました。
通勤は10分。定時で帰れる日が増えた。平日の夜に筋トレできる。休日はゴルフや登山に行ける。将来設計もしやすくなった。
一番大きかったのは、仕事が終わった後に、まだ自分の人生が残っていることです。
総合職時代は、仕事が終わると一日が終わっている感覚がありました。でも今は、平日の夜にも余白がある。その余白で筋トレをする。発信をする。家族との時間を取る。ただゆっくり休む。
この積み重ねが、人生の満足度を大きく変えました。
4. キャリアダウンではなく、人生の設計変更
「もったいない」と言われました。上司にも、同期にも、親にも。
でも不思議と、揺らぎませんでした。
「もったいない」と言う人は、僕の年収しか見ていない。世帯全体の収入設計を見たうえで言っている人は、一人もいませんでした。
総合職から地域職になることは、外から見るとキャリアダウンに見えるかもしれません。でも僕の中では、キャリアダウンではありません。人生の設計変更です。
何を優先するかを変えただけです。
出世の可能性より、生活の安定を優先する。肩書きの見栄えより、平日の余力を優先する。全国転勤の柔軟性より、住む場所を自分で決める安心感を優先する。
全部を取るのは難しい。だから、自分にとって重要なものを決める必要があります。
5. 会社を辞めなくても、距離感は整えられる
最近は、会社員を辞めることが自由のように語られることがあります。
副業する。独立する。フリーランスになる。転職して年収を上げる。
もちろん、それも選択肢です。でも、会社員を辞めることだけが正解だとは思っていません。
会社員のままでも、会社との距離感を整えることはできます。
総合職から地域職を選ぶ。通勤時間を減らす。住む場所を固定する。残業を前提にしない働き方を作る。
これだけでも、人生の主導権はかなり戻ってきます。大事なのは、会社を辞めることではありません。会社に自分の人生を最適化しすぎないことです。
最後に
総合職から地域職を選んだのは、逃げたかったからではありません。出世を諦めたからでもありません。
会社員を辞めずに、会社に人生を奪われないためです。
どちらが上かではなく、どちらが自分の人生に合っているか。ここを考えた方がいい。
僕は、会社の辞令ひとつで人生が大きく動く働き方より、住む場所を決め、生活を整え、平日の夜に余白が残る働き方を選びました。
地域職を選んだのは、会社員として負けたからではない。
会社員というゲームのルールを理解して、自分が勝てる形に変えただけです。
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