映画『ラーゲリより愛を込めて』で主人公たちが歌う「いとしのクレメンタイン」は、トンデモ男の歌?! (1)
主人公の山本(二宮和也 )が好んで口ずさんでいた「Oh My Darling, Clementine(いとしのクレメンタイン)」。
歌詞をよく聞くと、「あれっ?」という内容でした。
クレメンタインはすぐに死んでしまうし、残された恋人は、なんだかとんでもない男に思えたからです。
なぜこんな歌を、山本たちは何度も歌っているのだろう。
疑問をいただきつつ、まずは和訳してみました。
(A)
Oh my darling, oh my darling
ああ、私のいとしい人よ
Oh my darling, Clementine
いとしい、クレメンタインよ
You are lost and gone forever
君はもういない、永遠に
Dreadful sorry, Clementine
悲しくてたまらないよ、クレメンタイン
(B)
In a cavern, in a canyon
渓谷にある洞窟で
Excavating for a mine
鉱脈を探して穴を掘って
Lived a miner, forty-niner
暮らしていた 一攫千金目当てのひとりの鉱夫
And his daughter, Clementine
クレメンタインはその娘
(A)繰り返し
(C)
Light she was and like a fairy
彼女は僕にとっては光 まるで妖精のよう
And her shoes were number nine
靴のサイズは9号(26センチ)
Herring boxes, without topses
ふたのついていない ニシンを入れる木箱が
Sandals were for Clementine
クレメンタインのサンダルだった
(A)繰り返し
(D)
Drove she ducklings to the water
彼女は水辺に子ガモたちを連れていく
Ev'ry morning just at nine
毎朝きっかり9時に
stubbed her toe against a splinter
あるときつま先を木片にぶつけ
Fell into the foaming brine
泡立つ流れの中に落ちてしまった
(A)繰り返し
(E)
Ruby lips above the water
水面にルビーのような紅い唇が浮かんで
Blowing bubbles, soft and fine
やわらかく細かい泡を吐いている
But, alas, I was no swimmer
だがなんということだ 僕はかなづちだった
So I lost my Clementine
だからクレメンタインを助けられなかった
(A)繰り返し
(F)
How I missed her! How I missed her
彼女がもういないなんて 寂しくてたまらない
How I missed my Clementine
寂しいよ クレメンタイン
Until I kissed her little sister
でも彼女の妹にキスをしてからは
I forgot my Clementine
僕はクレメンタインのことを忘れてしまった
(A)繰り返し
どうでしょうか。
ひどい話ですよね。
クレメンタイン、さんざんな一生です。
なのに明るいメロディーと軽快な語調のおかげで、子供も歌いたくなるような親しみやすい曲になっています。
歌われている話の流れをざっと見ていきましょう。。
(A)で、歌い手の恋人、クレメンタインの死がいきなり暗示されます。
(B)で、歌い手は彼女の家族について述べています。
彼女のお父さんは、鉱夫で、1849年のゴールドラッシュの年に一攫千金を夢見てカリフォルニアにやって来きました(そうした鉱夫たちはforty-ninerと呼ばれました)。
(C)では、歌い手にとって彼女は輝くような存在であることがわかります。
一方彼女は、ニシンの木箱をサンダルにするなど、つつましい生活をしているようです。
可愛い靴を履いたりと、おしゃれもしたいだろうに、それもかなわないようです。
(D)では、彼女が父の手伝いをしていることが描かれます。
そしてある日、彼女は木片につま先をぶつけ、激流の中へ落ちてしまうのです。
(E)では、彼女がおぼれている様子を、紅い唇と唇が吐き出す細かい泡で象徴的に伝えています。
歌い手は泳げなかったため、彼女を救えず、彼女は溺死してしまいました。
(F)では、歌い手はさんざん嘆いていましたが、彼女の妹とキスする関係に。
えっ? えええ?
恋に落ちた歌い手は、クレメンタインのことを忘れてしまうのでした。
やれやれ。
なんともダメダメな恋人です。
最初に覚えた違和感が、さらに強まってしまいました。
ところが、映画のストーリーとともに読み解くと、この歌の歌詞がまた違ったものに見えてくるのです。
<(2)へ続く>


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