2024(令和6)年秋、販売する商品がなくなり、値札だけが残された米店=米倉昭仁撮影
2024(令和6)年秋、販売する商品がなくなり、値札だけが残された米店=米倉昭仁撮影

 米卸売り最大手・神明ホールディングスの藤尾益雄社長は、朝日新聞の取材に対して、こう語った。

「正直、60キロ3万5000円で買った米を、2万5000円では売れない。国が買い取って安く売るしかないのではないか」

 小島さんはこう話す。

「昨年、売る米がなくて、閉店した米店もあったのです。高値で買い集めておいて、『売れないから国に買い取れ』なんて、ずいぶん都合のよい話だと思います。恥ずかしいと思わないのか」

ブローカー「安くするから買い取って」

 新米の販売不調に苦しんでいるのは卸売業者だけではないようだ。

 最近、小島さんの元に、「米を安くするから買い取ってほしい」という電話が次々と舞い込むようになった。電話の主の多くが、米を扱ったことのないブローカーだという。

「昨年、農家に買いつけに現れたといわれる『転売ヤー』とは違うようです。米自体は袋に検査印が押されたきちんとしたものです」(同)

 小島さんはこう推察している。

 米を「もっと高く売れるだろう」と踏んでいた一部の集荷業者が、卸売業者に売り抜けるのを失敗した。集荷業者は販売に長けたブローカーに依頼して、米店に買い取りを打診しているのだろう。

注意喚起する理由

 だが、何しろこれまで取引したことのないブローカーだ。思わぬ被害を受けないとも限らない。

 他の米店にも同じような電話がかかってきていると聞き、小島さんは、注意を呼びかけている。

「米店は、なじみの業者から前金で米を買うのが普通です。取引が初めてのブローカーが相手となると、金を支払っても商品が引き渡されるのか、確証がない。代金を支払うのは、必ず現地に行って、トラックに米が積まれるのを確認してからにすべきだ、と伝えています」(同)

「安い新米」のニーズ

 消費者が米の高値に慣れつつある一方で、小売業者が求めているのは、とにかく売りやすい「安い新米」だ。

「最高品質の『1等米』よりも『2等米』が卸売業者から買われています。質より価格ありきです」(同)

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