「報復人事で異動」は証明困難 公益通報者保護、改正法にも限界
公益通報者を守る制度はどこまで強化されたのか。
12月に施行される改正公益通報者保護法では、通報を理由とする解雇や懲戒処分に刑事罰が導入されたのをはじめ、制度の「盾」としての厚みは増した。
一方、なお解決されていない課題も残る。制度の到達点と限界について、公益通報に詳しい志水芙美代弁護士に聞いた。【聞き手・森田采花】
この記事で指摘されているポイントは以下の通りです。
・手つかずで残された配置転換
・資料持ち出しの免責要件の規定を
・裁判に頼らない紛争解決方法の検討が必要
・保護対象となる通報範囲の拡大を
刑事罰の導入、抑止力に期待も
――今回の法改正は、通報者保護をどう変えるのでしょうか。
◆改正の中で大きな意味を持つのは、通報を理由とする解雇や懲戒に刑事罰が導入された点です。
これまでは刑事罰がなく、このインパクトは大きい。
通報者に対する不利益取り扱いを抑止するため、2020年の前回法改正時にも何らかの制裁的な措置を導入すべきだとの議論がありながら、所管官庁である消費者庁の執行体制などの問題で見送られていた「宿題」でもありました。
導入された刑事罰は、法人には3000万円以下の罰金、処分を決めた担当者には6カ月以下の拘禁刑か30万円以下の罰金です。
個人にも罰則が科される仕組みになり、事業者側がより慎重に対応し、重く受け止める契機となる可能性があります。
――フリーランスも保護対象に加わりました。それでも雇用関係にある労働者に比べて「守りの格差」があるとの指摘もあります。
◆通報者として保護される範囲が広がった点は前進です。
フリーランスは業務の中で不正を知りうる立場にありながら、雇用関係にある労働者に比べて弱い立場に置かれることが多いためです。
ただし、保護の程度という意味では、なお差があります。労働者への解雇や懲戒に刑事罰が設けられましたが、フリーランスに対する契約解除や報酬減額といった不利益については、刑事罰は設けられていません。
手つかずで残された配置転換の問題
――通報者への報復人事が問題となっています。改正法をどう評価しますか。
◆報復人事かどうかが裁判で争われた…
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