だめひろい 塗装資材の供給不足は解消されるか 工期・請負代金の変更協議を急げ

▼塗装業界は今、未曽有の危機に直面している。「シンナーが手に入らない」「ウレタン防水材がない」「さび止め塗料が注文できない」「マスカーがないので養生ができない」――日本塗装工業会の緊急アンケート調査によると、会員の約7割が塗料の確保に支障をきたしている。とりわけシンナー不足は深刻で、洗浄用シンナーの上澄みを再利用するなど、極限の節約を強いられている。サプライチェーンで何が起こっているのか。

▼塗料や塗装の副資材などは、すべて石油から精製するナフサ(粗製ガソリン)が原料になる。ナフサの約6割が輸入で、特に中東からの輸入が7割以上と圧倒的に多い。ナフサが厄介なのは、揮発性が高く劣化しやすいため、備蓄しにくいことだ。4割は国産といっても、すぐには増産できず、足りない分は米国や中南米から買うしかない。その価格が倍近くにまで高騰している。

▼ナフサは分解工場(ナフサクラッカー)を経て、石油化学誘導品工場で加工され、塗料メーカーなどが扱える化学製品になる。ナフサクラッカーの稼働率は、中東問題が起こる以前から損益分岐点を割り込むほど低く、ぎりぎりで操業している状態が続いていた。そこに今回の問題が追い打ちをかけているようだ。

▼赤沢経済産業大臣は4月14日の記者会見で、塗料用シンナーの供給不安について説明した。「石油化学メーカーが『4月までは前年実績並みに供給するが、5月の供給は未定』とシンナーメーカーに伝達した。すると、シンナーメーカーは4月の出荷を直ちに半減した」。つまり、5月の供給がゼロになった場合に備え、4月の供給を半減させたことがシンナー不足を招いたという。この不安は「行政指導により解消できる」と楽観的な見通しを示した。

▼経産省の試算では、輸入ナフサと国内での精製の2か月分と、川中製品の在庫2か月分を合わせ、国内需要4か月分を確保している。また、中東以外からの輸入を加速することにより、川中製品の在庫の取り崩し量が減り、在庫を活用できる期間を半年以上に延伸できる見込みだ。

鋼橋塗装は溶剤が大量に必要

▼一部では転売目的の買占め、、売り惜しみの噂がある。ただ、シンナーはガソリンなどと同じく消防法上の危険物第4類第1石油類に分類され、貯蔵・運搬の規制が極めて厳しい。200リットル以上を貯蔵する場合は専用の危険物倉庫で保管しないといけない。法令が順守されている限り、流通過程で目詰まりが起こることは考えにくい。

▼原材料のナフサの価格が大幅に上がっている以上、塗料・副資材メーカーも値上げせざるを得ない。その影響はすでに進行している工事の採算を直撃する。改定された建設業法では、資材高騰などの影響で受注価格や工期の変更が必要になった場合、受注者は工期、請負代金の変更などについて協議を申し出ることができる(第20条2)。

▼ただ、一番の問題はすでに着工している民間工事でどこまで発注者の理解が得られるかだ。日本塗装工業会は4月14日、国交省に提出した要望書の中で「民間工事においても発注者に対して、今般の事情を十分に考慮した適切な価格変更・工期延長の協議に応じる」旨を明記し、さらなる周知徹底を求めた。

▼この混乱はいつまで続くのか。日本経済と業界に、過去の2度のオイルショック以上の影響を及ぼすかもしれない。米国とイランの和平協議の行方はどうなるのか。ChatGTPに予想させると▽大規模な全面戦争10〜20%(低いが無視できない)▽限定的な軍事衝突(空爆・ミサイルなど)30〜50%(かなり現実的)▽低強度の対立継続(現状維持)50〜70%(最も現実的)―と答えた。Geminiは▽包括的合意の成立(最短で数日以内)25%▽停戦の決裂(再び激化の恐れ)45%▽構造的な対立(長期化)30%―とより悲観的だ。すべてのシナリオに備えないといけない。(合田)

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