自民に「疑似派閥」続々 次期総裁選、影響力保持狙う 高市首相は動向警戒
自民党内で次期総裁選をにらんだ動きが早くも活発化している。党派閥裏金事件後に大半が解散した旧派閥は定期的な会合を催し、2月の衆院選で自民が圧勝したのを機に、前回総裁選で高市早苗首相を支持した麻生派は急拡大。表向きは「政策集団」を名乗りながら旧派閥を継承したグループも新たに立ち上がった。数の力を背景に次期総裁選で一定の影響力を保持する動きに対し、首相は神経をとがらせる。 「後輩議員が気軽に相談できる場を提供することは大事。派閥ではない」。自民党の石井準一参院幹事長は4月15日に開いた「自民参議院クラブ」の設立記者会見でこう述べ、総裁選で特定候補を支援せず、定期的な会合も開催しないと強調し、派閥とは一線を画す考えを示した。 他グループとの掛け持ちも可能で自民の参院議員101人のうち40人以上が所属する。自民は衆院選で単独で3分の2を超える議席を獲得したとはいえ、参院ではなお少数与党。法案を通す上で参院の存在感は増しており、国会運営を通じて発言力を強める狙いだ。 旧二階派で幹部を務めた武田良太元総務相も2日に「総合安全保障研究会」を発足。毎週木曜昼の定例会合で外交防衛や食料など安全保障をテーマに講師を招き議論している。2日の初会合に出席したのは総裁選出馬に必要な推薦人20人を超す22人で、大半が旧二階派のメンバーだった。 旧二階派中堅が22日に立ち上げたのは「次世代国土強靱化勉強会」。初会合には2月の衆院選で初当選した若手ら38人が集まった。若手と官僚をつなぐ狙いという。 唯一存続する麻生派は衆院選後、議員数が4割増の60人となり、北海道内関連では村木汀氏=比例代表道ブロック=と松下英樹氏=道9区=が加わった。旧茂木派は毎週木曜昼に定例会合を開催。旧岸田派内は、岸田文雄元首相と、昨年の総裁選に出馬した林芳正総務相の二つのグループに分かれる動きもある。 「疑似派閥」が立ち上がり、旧派閥もうごめく自民。首相はこうした動きを警戒する。官邸筋は「派閥的な動きに、首相は文字通りにらみつける」と打ち明ける。首相を恐れ、ある勉強会に参加した政権幹部は周囲に「派閥ではない」と釈明しているという。 首相が特に気に懸けるのが石井氏の動きだ。首相は2026年度予算案の年度内成立を断念した要因を参院自民にあるとみており、石井氏との間にすきま風が吹いているとされる。首相側近は「参院自民という塊があるのに、新たにグループをつくるなんて意味が分からない」といぶかる。 表向きは新たな枠組みを装いつつ、派閥再結集する動きが広がる中、自民ベテランはこう分析してみせる。「結局はどれだけの人を束ねられるか。グループ形成は次の総裁選への布石だ」