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テイルズオブゼスティリアの感想を正直に書いてみる

 最近、『テイルズ オブ ゼスティリア』というゲームをクリアしました。

 結論から言うと、「無」になりました。
 全部悪いわけではなかったです。良いところもあるとは思います。ただ、紆余曲折あって、最終的には「無」になりました。

 いや、さすがに私も「ゼスティリアはいろいろあったらしい」ということは知ってました。みんな忌み子みたいな扱いしてるし……だから、自分も、できる限りフラットに遊ぼうかなと思ってました。ただ、その結果「無」になったので、もうどうにもならなかったです。

 ということで、シンプルではありますが、自分なりに「ゼスティリアの良かったところと悪かったところ」を書いていこうかなと思います。だいぶハッキリ書いてますので、そういうの見たくない方はお気をつけて!

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キャラデザがいい

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 当たり前かもしれないけど、あの「テイルズ」シリーズなだけはあって、やっぱりキャラクターデザインは素晴らしい。キャラクターたちが、とにかく魅力的だと思う。

 主人公・スレイの相棒として登場するミクリオ、改めて「松来未祐って最高の声優だな」と感じさせてくれるライラ、ゴリゴリに「オタク!」って感じのエドナ……実際、ゲーム序盤をプレイしながら「キャラめちゃくちゃいいじゃん」と感じたくらいには、やっぱりキャラクターが強い。

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オタク!
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 個人的には、「アリーシャ」が好きでした。

 凛々しさと可愛らしさを兼ね備えたキャラクターデザインも完璧だし、本人の人間性もメチャクチャ好みだ。そもそも、こんな序盤からいきなり忠義と礼節を重んじるナイトが出てきたら、誰でも好きになっちゃうと思うの。

 ……という感じで、序盤は「いや全然面白くね?」と思いながらプレイしていました。むしろ、序盤の立ち上がりで言えば、ほかのテイルズと比較しても面白そうな部類なんじゃないかと思う。

 、とある地点から、何かがおかしくなり始めた。


「真の仲間」問題

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「ジイジが言ってた、
   『同じものを見て、聞くことのできる真の仲間』だよ」

「真の仲間か……」

「ロゼさんの霊応力は、
 スレイさんと比肩するほどのものです」

「アリーシャさんの時のように
 従士の代償でお互い苦しむ事もないと思いますわ」

 ここから、明確に何かがおかしくなり始めている。

 同時に、ここが『ゼスティリア』の歪みの根源ではないかと思う。「真の仲間」問題、ひいては「ロゼとアリーシャ」問題の始まりである。

 従士契約の反動や様々な事情を鑑み、パーティーからの離脱を余儀なくされたアリーシャ。これは仕方がない。直後に「ロゼ」という別のキャラクターが現れ、パーティーに加入する。これも別にいい。

 最大の問題点は、「なんかやたらロゼとアリーシャを比較するような描写が挟まる」ということ。それこそ、「真の仲間」は最たるものだと思う。

 わかるよ、天族のみんながスレイを気遣って言ってくれてることはわかるよ。でも、これはまるで偽物の仲間がいるような言い方じゃないか!? そもそも、「真の仲間」ってワード自体が危険球すぎないか!? 

 しかも、みんな悪意なしでロゼを推薦してきている……ここがツラい。
 悪意を持って「やっぱアリーシャはダメだよな」とでも言ってくれたら、「コイツらは結構性格の悪い連中なんだな」と納得できるけど、本当に心からの善意で、ロゼを真の仲間だと推薦してくれている。苦しすぎる。

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 さらに、ついぞアリーシャが果たすことのできなかった「神依化」をアッサリとやってのけたり、従士契約の反動は一切なく天族の仲間たちと親交を深めていったり……とにかくロゼ無双が始まってしまう。パーティーのみんなは大喜びである。ロゼ最高ムードがどんどん形成されていく。

 なんつーか……こう……オレが間違ってるんかなぁ?

 このへんをプレイしていて、最も感じていた気持ちがこれだ。
 オレが間違ってるんかなぁ?

 ずっとアリーシャに未練タラタラなオレが間違ってるんかなぁ? 
 ここで「アリーシャも本物の仲間だったよ!!」と思ってしまうオレのほうがおかしいんかなぁ? 作中で、誰ひとりとしてこの状況に異を唱えないこともあって、段々と自分自身の感性が信じられなくなってくる。


ロゼのヘイトコントロールについて

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 ここだけはハッキリと断言しておきたいのだが、私は「ロゼが嫌い」というわけではない。彼女自身は、別に悪いキャラクターじゃないと思う。

 明確に不満があるのは、「ロゼというキャラのヘイトコントロール」である。もうアリーシャ云々は仕方がないとしても、この流れでロゼが加入して、こんな持ち上げ方をされたら、否が応でもロゼのことが嫌いになってしまう。こんなの、もはやロゼ本人の人間性は関係ないじゃないか!

 だから、正確に言えば、「ロゼ本人は関係なく、ロゼが嫌いになってしまう」という理不尽さというか、せっかく良いキャラクターが用意されているのに嫌いになってしまうような話運びがアカンでしょうと思うのだ。

 ちょっとわかりやすいよう、『FF7』の「ティファとエアリス」に置き換えて、この状況を説明してみようと思う。

①物語の序盤、主人公クラウドの仲間として、「エアリス」が登場する。
 エアリスはすごく魅力的なキャラクターだった。

②しかしエアリスは、能力的な問題によって、
 物語の途中でパーティーからの離脱を余儀なくされる。

③その後、空いた穴を埋めるように「ティファ」が登場。
 ティファはエアリスと比較しても圧倒的な能力を有しており、仲間たちも「ティファはすごい」と、彼女に称賛の声を送り続ける。

④一方、エアリスは二度とパーティーに復帰することはなく、
 神羅カンパニーにいじめられ続けている。

 こんなん、否が応でもティファが嫌いにならないだろうか。

 この流れで登場して、こんな話運びをされてしまったら、ティファ本人の人間性は関係なく、ティファのことがイヤになってしまう。だから、別にロゼ個人がどうとかいう話じゃないのだ。この枠にいるのがコレットだろうとティアだろうと、私は少なからず「なんだコイツ?」と思ってしまうはず。

 繰り返すけど、この流れで、この扱いで、こういう感じに登場してきたら、どんなキャラだろうと一定ヘイトを稼いでしまう。そこに対する、フォローのなさが不満なのだ。

 実際、ロゼのデザインは結構いいと思う。
 ロゼというキャラの「素材」はいいはずなのに……もっと心から好きになれる可能性があったはずなのに……なにかちょっとでもロゼにフォローを入れてくれれば……それを!!


「ロゼすごい」問題

 まず、上記の動画を見てほしい。

 なにか、異常なことが発生していないだろうか。

 これは、パーティーメンバーが、ロゼのことを「すごい」と、異様に褒め称えているシーンである。まぁ、実際ロゼはいいことをしてくれる。ただ、そのたびにパーティーメンバーが、もう異様なほどに彼女を持ち上げる。そういう場面が、なぜか定期的に発生する。「ロゼすごい」問題である。

 正直、これはちょっとトラウマになっている。
 これに比べたら、「真の仲間」問題なんてカワイイもんだと思う。別に褒めるのはいいんだけど、にしたって不自然というか、過剰だ。

 彼女がなにか功績を上げると、「ロゼはすごいな」「あぁ、ロゼはすごい……」「ロゼさんすごいですわ!」みたいな、ロゼすごいタイムが始動する。なんか本当に頭がおかしくなりそうになる。ここだけはマジで笑えない。ちょっとグロシーンに片足を突っ込んでいると思う。

 もう「これは、キャラが認識改変を受けているのでは?」と思うレベルで、みんなが不自然にロゼを持ち上げる。正直、「実はロゼが認識改変魔法の使い手で、物語終盤に裏切ったりするのでは?」とでも思わないと納得できないくらいに、なにか異常な現象が発生しているのである。

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 ただ、実際、ロゼはすごいヤツなのだ。

 ロゼは、「暗殺」を生業にしている。でも、ロゼは穢れない。いろいろ理由はあるらしいが、とにかくロゼは穢れない。すごいヤツだ。彼女は、「そんなの許されるのか?」みたいな設定を無数に持っているのである。

 こればっかりは個々人の倫理観による部分になってしまうけど、そもそも暗殺者がパーティーに加入してきて、平然と「見境なく殺すわけじゃないよ」という忍極のヤクザばりの発言が飛び出しても、割とアッサリ流されてしまうのもすごい。まぁ、きっと、多分そういう世界観なんだろう。

 なんだか、彼女を見ていると、悪役令嬢モノなどに出てくる「明らかに神様に愛されてしまっている、無敵の主人公」みたいな存在を思い出す。ひとりだけルール無用で、なぜかそれが許容されている。ロゼはすごいヤツだ。

 さきほど「真の仲間問題は、ロゼ個人がどうとかいう話じゃない」と言ったところから、いきなり矛盾してしまうけど、それとは別にロゼ個人に対して思うところがないわけではない。ロゼ個人が悪いわけじゃないけど、ロゼ個人にも結構問題はあると思う。完全に矛盾しているけど、私はそう思う。

 とにかく、このロゼすごい問題を筆頭に、『ゼスティリア』は、「当初は好きだったはずのキャラクターへの好感度が、段々と“無”になってくる」という現象がかなりキツい。

 みんな好きなキャラだったはずなのだが、こう認識改変を受けているようなシーンを何度も見せられると、もうキャラを愛するどころではなくなってくる。なんだか明らかに「神の意志」で動かされているようなミクリオとか、ちょっと形容のできない心苦しさを感じる。

 このゲームを遊んでいて痛感するのは、「嫌いだったはずのキャラクターが好きになる」ということは絶大な効果をもたらすけど、「好きだったはずのキャラクターへの感情が“無”になる」という事態が発生すると、もう取り返しがつかない、ということだ。

 たとえば、同シリーズ内の『テイルズオブジアビス』なんかは、前者の手法を、とても効果的に駆使している。ゲーム前半でヘイトを稼ぎまくっていたキャラクターたちが、後半怒涛の巻き返しを見せるかのように、どんどん愛らしい存在になっていく。こうなったら、もう「勝ち確」である。

 反対に、ゲーム前半で好きになったはずのキャラクターたちが、ある地点を境に、どんどん不自然な言動を繰り返すようになり、ゲーム後半に辿り着くころには、好感度も何もかも「無」になってしまった。これは、もう取り返しがつかない。むしろ、最初から嫌いになるより、余計にしんどい。

 まぁ、普通こんなことは起こらない。起こらないはずなのだが、『ゼスティリア』はそれが起こってしまっている気がする。これは大変なことだ。


ロゼとデゼル

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 さきほどから私のロゼに対する熱い思いが乱舞してしまっているので、ここでちょっとバランスを取っておこう。これは何度でも言いたいのだが、『ゼスティリア』は何も全部悪いわけじゃない。光るところは全然ある。

 たとえば、「ロゼとデゼル」の関係なんかは結構好きだ。
 ずっとロゼのことを見守り続けていたデゼル。復讐に駆られながらも、最後の別れ際には、笑顔が……というシーンは、めちゃくちゃ良いと思う。

 実際、ロゼとデゼルがいないと、『ゼスティリア』という作品は成立しないと思う。だから、ロゼを取り巻く環境に思うところはあれど、「ロゼいなくていいじゃん」とは、口が裂けても言えないのだ。

 それこそロゼとデゼル以外にも、「キャラクター間の関係性の描写」は割としっかりしていることが多いからか、やっぱりこのゲームは歯車がひとつおかしくなってしまっただけで、本来はそこそこ優等生だったのではないか、と思えてくる。

 たとえるなら、このゲームは優等生がたまたまテストの記入欄を1問ズレて回答してしまっただけで、本当はそこそこ良い点を取れていたのではないか……もっと言えば、「たまたまミスった問題が禁忌肢だった」ような……とにかく、ちゃんと点取れてるところもあるんですよ!!

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音楽がすごい

 あと、『ゼスティリア』は音楽がめちゃくちゃいい。
 
ここは、掛け値なしに素晴らしいと思う。

 おなじみの桜庭統はもちろん、あの椎名豪のダイナミックかつド迫力の音楽が冒険を彩ってくれる。広大なフィールドに出て、あの勇壮な音楽が流れ始めたときの高揚感なんか、『ゼノブレイド』のガウル平原に匹敵する。

 特に、「神殿」で流れる曲が、ありえないくらい気合が入っている。もうこれ、「RPGのダンジョンで流れる曲」っていうより、国の祝典とかで交響楽団が演奏するヤツなんじゃねえの?と思うくらい、すごい気合を感じる。

 『ゼスティリア』をプレイしている最中、私は徐々に「穢れ」が溜まっていった。そりゃ、もう、いろんな箇所でだ。途中で何度かドラゴンになりかけたような気がするのだが、そのたびに桜庭統と椎名豪がものすごい楽曲を出して、私の心を浄化してくれた。たぶん、あの2人は導師と天族だ。

 そういう意味でも、このゲームの「音楽」には頭が上がらない。
 本当に音楽を心の支えにして遊んでいたんじゃないかと思うくらい、楽曲にパワーが満ち溢れている作品だと思う。


カメラワークがヤバい

 ここまで、キャラクターやストーリーにああだこうだと言ってきたものの、そもそも『ゼスティリア』はゲーム的に怪しい部分がちょいちょいある。キャラやシナリオは個人の感性に左右される面もあるだけに、ここが製品として、最もクリティカルな問題なではないかと思ったりする。

 わかりやすい例が、「バトル中のカメラワーク」。
 とりあえず上の動画を見てほしいのだが、もうありえないことが起きているのである。正直、これは絶対開発中に気づけたと思う。

 ただ、これは割と「推理」がしやすい問題でもある。
 ゲームの完成度に対して「推理」ってなんだよというツッコミはありつつ、このゲームは「シームレス」であることが、ひとつの特色でもある。

 ストーリーが進展するカットシーンがあり、そこが終了すれば、暗転を挟んでフィールドマップなどに戻る。これがゲームのありがちな仕組み。しかし、『ゼスティリア』は、基本「カットシーン」と「フィールド」の切れ目がない。大きなロードが入って暗転する箇所が、とにかく少ないのだ。

 これは中々に挑戦的なことをしているし、技術的にも結構すごいことをしていると思う。ハードのスペックが上がった現在ならまだしも、発売当時の技術水準で考えると、だいぶ頑張ってるんじゃないだろうか

 そして、バトルも同様に、「フィールド」と「バトルシーン」の切れ目がなく、そのままフィールド上でバトルに移行する。これまでのテイルズは大体「バトル画面」が用意されていたけど、『ゼスティリア』の場合はシームレスにバトルが展開される。で、ここが多分カメラワークに作用している

 つまり、「シリーズ初のフィールドマップからのシームレス戦闘」というシステム的な要件を満たそうとして、カメラワークがこうなった……もっと言えば、狭い路地や壁際などの「その場でバトルするのに向いてないマップの箇所」で戦おうとすると、カメラマンが突如暴れ始めるのではないか。

 ……というのが、私の推理である。
 真相を突き止めたところでカメラワークがヤバいのは変わらないし、これは「推理」でしかないので、あまり答え探しをしたいわけではない。

 そして、これはもうゲームに限らない話だけど、長く続いたシリーズものなどで、なにか革新的なことをしようとすると、伝統的な既存のシステムと、新機軸の間で摩擦が発生したりする。『ポケモンSV』のオープンワールド周りなどは、直近(?)だと結構わかりやすい例かもしれない。

 だから、これは一種の「成長痛」のようなもので、技術的な面では「悪」とは言いきれない。そのはず……そのはずなんだけど……まぁ、バトルの画面がグラグラしまくってる身としては知ったこっちゃねえのも理解できる。

 つくづく、「ゲームは複合的な娯楽である」ということを理解させてくれる作品だと思う。おそらく、いろいろ複雑に絡み合って、こうなっている。


離脱後のアリーシャについて

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 ゲームをプレイしている最中、何度か「あぁ、そろそろアリーシャのことに区切りをつけて、ロゼとも仲良くやれるのかなぁ……」と思うようなタイミングがあった。が、忘れたころにアリーシャの話題が舞い戻ってきて、穢れが溜まっていく。このワンセットを、私は何度も味わった。

 たとえば、「離脱後にも、なぜか店で売られているアリーシャの装備」がわかりやすい。ちょっとずつロゼのことを受け入れられそうになってきたのに、なぜか店には帰ってくるはずのないアリーシャの槍が売られており、傷口をえぐられるかのような気持ちになる。こんなんPTSDじゃないか?

 新しいパートナーを見つけたと思ったのに、夜寝ようとすると、死んだ奥さんが夢に出てきて、いつも目が覚めてしまう。いつまで経っても区切りをつけられない。そんな感じだ。わしゃジョン・ウィックか?

 バカバカしいと思うかもしれないが、私としては、この「なんかワンチャン、アリーシャが帰ってくるんじゃないか?」と思わせるような要素の数々が、なかなかに凶悪な仕掛けだと思う。なんか、“すがって”しまうのだ。人間は、地獄に1本の糸が垂らされていれば、掴みたくなる生き物なのだ。

 しかし、なにをどうやってもアリーシャは帰ってこない。
 霊応力がなかったから。従士契約の反動がデカいから。
 ウッ……ウオオオオオオオ!!!!!!!!!

 すいません、慟哭が出ました。
 しかし、実際のところ「アリーシャが完全退場しているわけではない」という状態が、ストーリーにも大きな爪痕を残していると思う。

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 つまり、アリーシャ離脱以降も、アリーシャ自身はちょいちょい出てくるのだ。それこそ、ロゼと邂逅するシーンなんかもあったりする。もう、私には気まずくて仕方がなかった。こんな思いをするなら憑魔になりたい。

 それこそ、自分がいたはずの場所にロゼがいて、天族のみんなと仲良くやっているところを見たときの、アリーシャの「そうか……」という何か言いたげな表情とセリフは、軽いトラウマになっている。

 冷静に考えると、アリーシャ視点で見たときに「パーティーを離れて、しばらく経ってみんなと再会したら、自分より能力のある別の人間がその枠に収まっていた」という状況は、ちょっとあまりに追放モノだと思う。まだ、完全退場できたほうがマシだったんじゃないかと思えてしまう仕打ちだ。

 これも、「ひとつ分の陽だまりにふたつはちょっと入れない」のカタチなのかもしれない。まぁ実際、ガラス玉落ちたとき何か弾き出して、奪い取った場所で光を浴びてるからな。すいません私はブリッジに戻ります。

「もう嫌だ……」

「嫌だ! 嫌だ! 家に帰りたい!
 知らないよ! 戦争も国も民も!」

「陰口を言われるのも、意地悪をされるのも、もうたくさん!」

「王女も騎士もやめる!
 バルトロでも誰でも勝手にすればいい!」

「みんなのためにって頑張っても……
 いいことなんかなかった……なにも……」

 しかし、パーティー離脱後もアリーシャが登場するからこそ、ストーリーが際立っている部分も、確実に存在する。特に好きなのは、アリーシャが尊敬している、師匠のマルトランを撃破した直後のイベント。

 アリーシャは、せき止めていたものが溢れ出すかのように叫んでいた。
 実際、アリーシャには何ひとつ良いことが起きていない。スレイのパーティーからは離脱を余儀なくされ、王女としては政治的に冷遇され、唯一信じていたマルトランにも裏切られた。そんな彼女がこう思うのは、至極当然。

 しかし、このあと彼女は「それが私だから」と立ち直り、また辛く苦しい世界に向かって、走り出していく。もうやめたいと思っているのに。どんなに頑張っても、いいことなんかひとつもないのに。そんな彼女の姿が、私の目には、何よりも強く、そして美しく映っていた。

 希望も何もない世界で、それでもアリーシャは人間の身で「善性」を背負っている。強い人間とは、きっとアリーシャみたいな人なんだろうと思う。

 人間は、なにひとついいことがなくたって頑張れる。
 全部やめたいと思ってても、頑張れる。
 アリーシャは、そんな人間の強さを体現しているキャラだと思います。

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 ここまで書いている内容の通り、たしかに『ゼスティリア』って、到底褒められた完成度のゲームじゃないんですよ。でも、このイベントがある以上、私は……このゲームの存在を肯定したい。

 私には、「この世に生まれた以上、なんの価値もないものなどあるはずがない」というポリシーというか、思想があります。だから、このイベントが神がかっていたので、『ゼスティリア』も間違いなく価値があるゲームだと思います。このシーンが見れてよかったと、心から思っています。

 どんなにツラい目に遭っても、それでも頑張っていたアリーシャの姿は、強く美しかった。その姿が描かれていただけでも、価値のあるゲームだったはずだ。そこだけは明確に譲りたくないし、断言しておきたいです。

 ……とはいえ、「これでも穢れないアリーシャって強すぎるよ」「え、じゃあ何でアリーシャが仲間じゃないんだろう?」とか考え始めるとまた穢れが溜まるので、アリーシャの話題はこのへんで切り上げさせてください。

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ずっとこのままじゃダメなんですか?


スレイとミクリオ

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 私は、ゲーム終盤に進むにつれ、「もう、このゲームは取り返しのつかないところまで来てしまったんだな……」という思いが強くなっていった。しかし、このゲームに関わった人の「どうにかここだけは死守してみせる」という確固たる意思を感じる部分が、「スレイとミクリオの関係」である。

 『ゼスティリア』のストーリーは、途中で破綻していると思う。
 ロゼ然り、キャラクターの好感度然り、明確におかしくなってしまった。でも、スレイとミクリオの関係だけは、絶対に外さないのだ。最初から最後まで、「スレイとミクリオの良さ」は、1ミリたりともブレなかった。

 だから、なんか、理由もわからず泣けてくる。
 きっとこの2人は、崩壊していく建物のなかで、「お前だけは生き延びるんだ」と、決死の覚悟で脱出させた子どもというか……そういう、クリエイターの「誇り」みたいなものを感じて、なんか泣けてきてしまう。

 それこそ、決戦前夜に2人で話し合うところは、もう普通に泣けてきてしまった。この世界を救うために、自分自身が犠牲となることを決めたスレイ。そんな彼の覚悟を受け止め、星空の下、永遠の友情を誓い合うミクリオ。純粋に、RPGとして、めちゃくちゃ良いシーンだと思う。

 だから、この2人の関係は、「焼け野原に咲いている、1輪の花」のような尊さがある。本当にいろいろ思うところがあるゲームだけど、スレイとミクリオの関係は、間違いなく「描ききった」のだと思う。そこには、称賛の声を送りたい。よく……よくやりきった!! 

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そもそも決戦前夜のシーンがかなり好き

 そもそも、『テイルズ』というシリーズ自体、「キャラクターの強さ」が圧倒的なRPGだと思う。ゲーム全体が、まず「キャラ」を軸に作られているような印象がある。何本も遊んで、この「キャラ軸」っぷりは強く感じた。

 大前提としてキャラを好きになってもらい、キャラの描写や魅力を楽しんでもらうことに、全力を尽くしている。ほかのRPGも、これほどキャラ全振りではないと思うし、そこに『テイルズ』の特色や優位性がある。

 つまり、「キャラ」自体がゲームの大黒柱であり、最大の魅力。
 裏を返せば、「キャラクターの言動についていけなくなる」という事態が発生すると、それは「一番の大きな柱が折れる」ということでもある。ゲーム全体の崩壊に繋がりかねない。『ゼスティリア』では、それを痛感した。

 だが、さらに裏の裏を言えば、「スレイとミクリオ」という絶対に折られてはいけない最後の柱だけは、どうにか残り続けたのである。

 メインカメラが破壊され、腕も持っていかれたかもしれないが、コックピットだけは破壊されちゃあいない! だから、最後くらいはスレイとミクリオでラストシューティングを決めてみせる!!

 そんな、ギリギリの一線を死守してきたような感覚があります。
 実際、スレイとミクリオの関係までおかしくなっていたら、もう本当にどうしようもなかったのではないだろうか。この2人が、なんとか「最後の柱」になったんじゃないか……そう思ったりします。


そして、“無”へ……

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 実際、最後の最後で描かれた「スレイとミクリオの再会(?)」まで含めて、エンディングは結構好きだった。だが、私のなかでは、とっくにこのゲームが取り返しのつかないところまで来てしまったのも事実なのだ。

 このゲームをクリアしたとき、いろいろな記憶が駆け巡った。
 真の仲間問題、「ロゼすごい」へのトラウマ、店で売られている槍を見るたびに発動するPTSD、壁際で暴れ始めるカメラマン、シンプルに発狂しそうになる水の神殿……そして私は、「無」になった。

 ここまで書いた通り、ちゃんといいところがあるのは事実である。
 だが、同時に私のなかで、このゲームに対する信頼と愛想が途中で尽きてしまったのも、また事実なのである。エンディングまで辿り着いたときに溢れる感情が、何もなかった。怒るとか、嘆くとか、そういう気力もない。

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 それこそ、最終盤では、ストーリーのテーマすらもよくわからなくなっていった。単純に私がなにかを見落としていたのか、それとも描写が複雑だったのかは判断しきれないけど、サイモンなんかは「コイツは結局なにをしたかったんだ?」と思うような結末を迎えていた。

 それ以外にも、要所要所の会話で「これはいま、なんの話をしているんだ……?」と思ったり……終盤の展開は、まるでここまでの負債を払わされているかのような内容だった。最後の最後に、ツケが全部返ってきた。

 エンディング(オチ)はよかった。
 道中でいいところもあった。
 だが……もう……取り返せないものが多すぎる!!

 このゲームがもっとちゃんとしていれば、もっと着実に積み重ねてくれていれば、エンディングで感動できたかもしれないのに! ちくしょう……ちくしょう!! 私は、“無”になってしまった自分自身が悔しい!! こんなのどうすればよかったんだ!? ドラゴンになるしかないじゃないか!?

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あんなに一緒だったのに

 最終的には、やはり「途中で、このゲームへの愛想が尽きてしまった」という結論になってしまう。こんなに冷たい言い方をしたくはないけど、どうしてもそういう結論にならざるを得ない。

 ストーリーやキャラクター、それ以外のゲーム的な要素などを含め、製品としての期待を裏切られてしまった部分がいくつかある。正直に『ゼスティリア』の感想を言うなら、どうしてもこの結論になってしまうのだ。

 ただ、私としては「好きになりたかった」という後悔が、ものすごく大きい。このゲームを楽しみきれなかったのは、私の責任でもある。そこが申し訳ないし、心苦しい。キャラも、ゲームも、もっと好きになってあげたかったです。それが、いちばん思ったことですね。


浄化

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バンダイチャンネルより

 このままでは、あんまりなバッドエンドになってしまうので、ゲームクリア後に、周囲にオススメされたアニメ『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』も見てみることにした。これがめちゃくちゃよかった。

 シンプルなufotableのアニメパワー、いろいろな要素が整理されたストーリー、ロゼに対するヘイトの解消などなど……このアニメのすさまじさを語っていたらキリがないのだが、やっぱり個人的には「アリーシャの扱い」が、なんかもう感動モノだった。

 そもそも、このアニメでは「真の仲間」騒動のカットを中心に、パーティーから離脱するアリーシャへのフォローが手厚く行われている。従士契約の反動もなくなり、アリーシャ自身の霊応力も高まり、なによりアリーシャ自身が人生2周目なんじゃないかと思うレベルで強い人間になっている。

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 そして、まさに原作では「アリーシャの離脱」が決定的となったマーリンド~グレイブガント盆地のストーリーが大幅に調整され、トドメと言わんばかりに繰り出される「アリーシャとの別れ際に、スレイが“これでずっと一緒だ”と従士契約をする」というシーンで、もうマジ泣きしてしまった。

 たとえ離れ離れになっても、スレイとアリーシャはずっと仲間。
 最後に「マオクス=アメッカ(笑顔のアリーシャ)」の真名を与えられ、号泣するアリーシャ……もうこっちまで泣くしかない。あぁ、私は、ただアリーシャに幸せになってほしかっただけなんだ……彼女が報われて、笑顔になっているところを見たかったんだ……それだけだったんだ……。

 ほかにも、ロゼと戦友のような関係になっていたり、マルトランが裏切らなかったり、悲願の神依化に成功していたりと、なんだか「実はこのアニメは、アリーシャが見ている都合のいい夢なんじゃないか?」と思ってしまうほどに、彼女が報われまくっている。幸せすぎて怖い。

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 そして終盤には、スレイとロゼとアリーシャの3人が肩を並べ、デゼルとザビーダが両方揃った状態で参戦し、セルゲイとノルミンたちも駆けつけたことで、本当の「全員集合パーティー」が完成する。

 なんつーか、幸せすぎるアニメだと思う。
 
22話で、ついに全員集合。みんなで楽しく食事をする。
 この回のサブタイトルは、「いつか夢見た世界」

 こんなに、こんなに幸せでいいのか……もはやストーリーに感動しているというより、「こんな未来が存在していたのか」という、ずっと夢の中にいるような感情がこみ上げてくる。「存在しないはずの理想郷」というか。

 だから、個人的にアニメ版は、「叶うことのなかった夢を、最後の最後に見せてくれた」ような作品でした。果たしてどちらが現実なのかはわからないけど、こんな世界だってあったのかもしれない。それだけで満足だ。

 なんかもう、気がついたら浄化されてましたね。
 
あんなに穢れていたはずなのに、こんなに幸せなものを見せられたら、さすがに浄化されてしまう。こんなん成仏ですよ。まさに作中で「不可能だったはずのドラゴンの浄化に成功する」という描写があるように、もうどうやっても挽回できなかったはずのところから、奇跡を見せてくれた。

 まぁ、ゲームはゲームで好きなところがあり、アニメはアニメで好きなところがあります。逆に気になるとこもあります。ただ、そういうのを全部引っくるめて、「ゼスティリア好きだな」という気持ちにさせてくれた作品でした。私の、最大の悔いが晴れました。ufotable本当にありがとう。

 少なからず、いまは「無」ではないです。
 正直言うと、ゼスティリア結構好きなのかもしれないです。


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コメント

2
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ryo games

同じく前評判をある程度知ってからプレイした者としては、「思っていたより悪くなかった」という感想でした。 何故ならもっと最悪な結末を想定していたから。 最後にジイジではなくアリーシャが人質にとられ、泣く泣くアリーシャを始末するという終わりでなくて本当に良かったなあと。 マルトラン撃…

ZEXのプロフィールへのリンク
ZEX

ゼスティリアは色々ありましたが、是非続編のベルセリアもプレイしてみてください。過去の世界の話でありながらある意味対になる作品で、あまり目立たなかったけど個人的には最高傑作だと思ってます。

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ライターとかやってます
テイルズオブゼスティリアの感想を正直に書いてみる|ジスロマック
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