福島を犠牲にする 処理水海洋放出のごまかし 本当の責任はどこにあるか

濱田武士・北海学園大学経済学部教授
敷地内にある処理水がためられたタンク群=福島県の東京電力福島第1原子力発電所で(代表撮影)
敷地内にある処理水がためられたタンク群=福島県の東京電力福島第1原子力発電所で(代表撮影)

 東京電力福島第1原発事故の処理水海洋放出を巡り、政府は最後まで福島の漁業者に「決めさせる」構図を作り、責任を転嫁した――。北海学園大学教授の濱田武士さんはこう言います。

 本来の責任をあいまいにするやり方が続いているのではないか。濱田さんと考えました。【聞き手・須藤孝】

 ◇ ◇ ◇

いつも最後は漁業者

 ――海や河川が関係する開発を巡っては最後に漁業者に判断を迫る構図があると指摘されています。

 ◆漁業権があるので漁業者の理解が得られないと開発ができないのはその通りです。けれども最後に漁業者の了解を得たから、という形で決められてしまうことが繰り返されてきました。

 これは海洋放出に限りません。福島も含めて原発立地の時も、火力発電所の立地の際もそうです。

 ――実際には漁業者だけの問題である場合はまれです。

 ◆原発が典型的ですが、事故が起きた時の被害者は漁業者だけではありません。

 なのに漁業者にばかり判断の責任を負わせるやり方が続いています。

 ――政府は風評被害対策には力を入れています。

 ◆ストーリーが問題です。科学的に安全なのだから、買わないという消費者の行動を抑えればよいという前提です。

 すりかえがあります。責任が消費者にあるかのような言い方は、そもそもの事故の責任をあいまいにします。

 どうしても安全神話の話と重なります。…

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北海学園大学経済学部教授

 専門は漁業経済学、地域経済論、協同組合論。「漁業と震災」(みすず書房、2013年)「福島に農林漁業をとり戻す」(共著、みすず書房、15年)「日本漁業の真実」(ちくま新書、14年)「魚と日本人」(岩波新書、16年)「漁業と国境」(共著、みすず書房、20年)など。