掲載日
2023.4.27
更新日
2025.12.22

社会保険とは?
仕組み、健康保険と国民健康保険の違いを徹底解説

監修者

下川 めぐみ 氏(特定社会保険労務士)

社会保険とは? 仕組み、健康保険と国民健康保険の違いを徹底解説

(画像=iStock)

社会保険とは、病気、怪我、失業、老齢、障害、死亡といった生活上のリスクに備える公的な保険制度です。5つの制度によって構成されており、法令に基づき加入が義務付けられています。本コラムでは、社会保険の概要や種類、健康保険と国民健康保の違いなどの基本知識を詳しく解説します。

社会保険とは何か?

社会保険とは、「医療保険」「年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の5つで構成される制度です。このうち、医療保険と年金保険、介護保険は加入年齢に到達した、すべての国民が必ず加入しなければなりません。一方、雇用保険と労災保険は企業で働く従業員などが加入します。

また、従業員が加入する医療保険(健康保険)、年金保険(厚生年金保険)、介護保険をまとめて、狭義の意味で社会保険と呼ぶこともあります。企業の社会保険について言及する場合などは、狭義の意味で使われるケースが多いかもしれません。

社会保険制度の主な目的

社会保険の目的は、起こりうる病気や怪我、事故、失業、労災などのリスクに備えることです。このようなトラブルは、人々が日常生活を送るうえで、どうしても防ぎきれないこともあるでしょう。自分の努力だけでは予防できないトラブルに遭ってしまった場合、その対応や治療などによる多くの費用が発生し、生活がままならなくなってしまうケースも考えられます。

つまり社会保険は、万一トラブルが発生した際に一定の給付を行うことで、人々の生活を保障するために設けられています。そのほか、現役世代(主に20~60歳)が支払った毎月の保険料を、高齢世代の年金に充てる役割もあります。

社会保険の仕組みや考え方

社会保険は、理念である「相互扶助」に基づいて運営されています。相互扶助とは、「1人は万人のために、万人は1人のために」という考え方にあるように、誰にも起こりうるリスクのために、全員が協力し合う仕組みです。いつ誰にどのようなトラブルが起こるかを予測できないからこそ、国民全員が資金を出し合っています。

社会保険の約6割は、加入者や雇用が発生している事業主などが支払う保険料、残りの約4割は国や地方自治体などが税収によって支払う税負担によって、賄われています。

出典:厚生労働省│給付と負担について(別窓)

社会保険の適用拡大の背景

2016年(平成28年)10月から、段階的ではあるものの、一部のパート・アルバイトの人を対象に、社会保険加入が義務化されました。社会保険の適用範囲は拡大傾向にありますが、こういった法改正にはどのような背景があるのでしょうか。

社会保険の適用拡大が求められる理由のひとつとして、非正規雇用者の増加が挙げられます。総務省が発表した2022年(令和4年)10~12月期の「労働力調査」によると、非正規の職員・従業員は4期連続で増加している状況です。

また、「自分の都合のよい時間に働きたい」を理由に非正規での雇用を選ぶ人が、前年に比べて24万人も増加しており、近年の働き方改革や新型コロナウイルスの影響などを受け、働き方がより多様化していると見受けられます。

従来の社会保険制度では、非正規雇用の従業員は社会保険への加入が難しいケースがほとんどでした。しかし、正規雇用者に比べて待遇面で差が出てしまったり、社会保険制度の運営に必要な保険料を徴収しづらくなったりするなど、不具合が生じる原因となり、適用範囲の拡大が求められるようになりました。

2016年(平成28年)10月から健康保険や厚生年金の加入条件が改正され、現在も徐々に適用範囲が拡大されつつあります。

出典:総務省統計局「労働力調査(別窓)

日本の社会保険における基本をおさらい

続いて、社会保険を理解するうえで重要となる「社会保障制度」や「国民皆保険」などの用語の意味を解説します。社会保険の基本知識を今一度おさらいしたい人は、読んでおくとよいでしょう。

社会保険は社会保障制度の一部

社会保険について学ぶためには、日本の社会保障制度を理解しておくことは欠かせません。なぜなら、社会保険は社会保障制度の一部であり、ほかの分野を知ることで、より理解を深められるからです。社会保障制度は、「社会保険」「社会福祉」「公的扶助」「保健医療・公衆衛生」の4種類の分野によって構成されています。以下では「社会保険」以外について簡単に説明します。

「社会福祉」の意味

社会福祉とは、子どもや高齢者、ひとり親家庭、障がい者など、社会生活を送るうえで何らかのサポートが必要な人に対して、支援を提供する制度です。支援を求める人たちが健やかに日常生活を送り、自立できるようにサポートするだけではなく、貧困にある人を救済したり、人々が貧困に陥らないように備えたりする役割もあります。

「公的扶助」の意味

公的扶助とは、生活と健康を保障するために必要な費用を生活保護費として給付し、自立を助ける制度です。貧困にある人や低所得者を対象とし、生活や教育、介護、住宅などの費用を支援したり、住居を提供したりするサポートを行っており、救貧的機能を果たしています。

「保健医療・公衆衛生」の意味

保健医療・公衆衛生とは、病気の予防や治療、衛生教育などによって、国民の健康を守る制度です。ごみ収集の整備や予防接種の実施なども、同様の取り組みに含まれます。地域の保健所が中心となり、環境衛生の改善や健康増進を目指す仕組みを保健医療・公衆衛生と言います。

国民皆保険とは

国民皆保険とは、1961年に改正された国民健康保険法によって、すべての国民が何らかの公的医療保険に加入すると定められた制度です。日本の公的医療保険は、以下の6つが挙げられます。

  • 国民健康保険
  • 健康保険組合
  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)
  • 共済組合
  • 船員保険
  • 後期高齢者医療制度

すべての国民は、民間の医療保険に加入していても、必ず上記の何らかの公的医療保険制度に加入しなければなりません。なお、会社に勤務している人は自身だけではなく、扶養家族も同時に加入できます。

社会保険の財源は?

「財源」とは、組織や制度などを運営するために、必要な資金を調達する出どころを指します。社会保険の財源は、主に加入者や事業者が支払う保険料と「国庫負担金」です。

地方自治体が行う事業に対して、国が交付する資金を総称して「国庫支出金」と言います。国庫支出金は「国庫補助金」や「国庫委託金」など、いくつかの種類に分けられますが、国と地方自治体が共同で行う事業に対して、一定の区分を義務的に負担するものが国庫負担金です。

このように、社会保険は加入者や事業者が支払う保険料のほかに、国や地方自治体が負担する公費によって賄われています。しかし、社会保険に加入できない非正規雇用者が増えていることや、少子高齢化が進んでいることなどを受けて、社会保険の財源を今後どのように確保していくかが課題となっている状況です。

財務省によると、日本は40年後までに、65歳以上の人口はほぼ横ばいで進行する一方、20~64歳の人口が大幅に減少し、高齢化率は約10%上昇すると予想されています。高齢者が増加すると、医療費や介護費などが膨らみ、社会保険に関する費用が増大する可能性があるでしょう。

加えて、若い年齢層が減少すると労働人口の減少につながりかねないため、被保険者や事業者からの保険料が徴収しづらくなる可能性も考えられます。近年、改革が進んでいる社会保険の適用範囲拡大なども、このような課題の解決策のひとつとして導入されています。

社会保険制度の主な種類

社会保険制度は広義と狭義の2つの解釈があり、それぞれ対象となる保険が異なります。広義における社会保険制度は以下の5つです。

  • 医療保険
  • 年金保険
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 労災保険

医療保険と年金保険、介護保険は、ある年齢に到達したすべての国民が加入しなければなりません。一方、雇用保険と労災保険は、まとめて「労働保険」と呼ばれることもあり、主に企業に勤める従業員が加入します。ほかにも、国民健康保険と国民年金を合わせて「一般国民保険」、健康保険と厚生年金、雇用保険、労災保険を合わせて「被用者保険」と呼ぶケースも見受けられます。

狭義の社会保険制度は以下の3つです。

  • 医療保険(健康保険)
  • 年金保険(厚生年金保険)
  • 介護保険

しかし、介護保険は40歳以上が対象であることや、医療保険料とまとめて徴収されることから、医療保険の中に介護保険を含めて、医療保険と年金保険の2つを社会保険と呼ぶケースもあります。

社会保険と雇用保険(労働保険)との違いは?

上記で解説したとおり、社会保険は医療保険と年金保険、介護保険の3つ(あるいは医療保険と年金保険の2つ)を対象とした、狭義の意味で使われることは少なくないでしょう。それらは突然の病気や怪我、介護などのリスクに備えたり、老後の生活を保障したりする役割を担っています。

一方、労働保険は雇用保険と労災保険の2つを合わせた総称です。それらは就労中の怪我や事故、育児や介護による休業、そのほか失業などのリスクに備えるもので、狭義の社会保険とは異なる性質を持っています。

社会保険の代表格である医療保険制度と年金保険制度

前述のとおり、狭義では、「医療保険」と「年金保険」の2つを指して社会保険と呼ぶこともあります。ここからは、社会保険の代表格である医療保険制度と年金保険制度について解説します。

公的医療保険とは?(種類と特徴)

前述のとおり、日本は国民皆保険制度の導入により、すべての国民には何らかの公的医療保険に加入する義務が課せられています。公的医療保険には以下の6つがあり、それぞれの対象者や加入条件などが異なります。

  • 国民健康保険:自営業者とその家族、年金受給者など
  • 健康保険組合:大企業などの従業員とその家族
  • 全国健康保険協会(協会けんぽ):中小企業の従業員とその家族
  • 共済組合:国家・地方公務員や私学教職員とその家族
  • 船員保険:船員
  • 後期高齢者医療制度:75歳以上の人あるいは、65~74歳で一定の障害を抱える人

「健康保険」と「国民健康保険」の違いとは?

「健康保険」は、健康保険組合と全国健康保険協会が運営する医療保険を合わせた総称で、企業の従業員や日雇い労働者などが加入します。一方、「国民健康保険」は自営業者・フリーランスとその家族、年金受給者などが加入する公的医療保険です。以下より、健康保険と国民健康保険の違いを項目ごとに詳しく解説します。

1.対象者

健康保険と国民健康保険の対象者は、それぞれ、以下の条件を満たす人です。

健康保険 国民健康保険
  • 健康保険の適用事業所で働く従業員(短時間・日雇い労働の者を含む)
  • 健康保険や共済組合、船員保険に加入していない
  • 後期高齢者医療制度に加入していない
  • 扶養に入っていない
  • 自営業者あるいはフリーランス
  • 年金受給者
  • 生活保護を受けていない

なお、勤務していた企業を退職し転職先を探している場合や、海外から帰国し健康保険や共済組合、船員保険に加入していない場合なども、国民健康保険に加入するケースが見受けられます。

2.管轄する保険者

健康保険を管轄する保険者は以下のとおりです。

  • 健康保険組合
  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)

一方、国民健康保険は住居のある地域の地方自治体が管轄となり、運営や手続きなどを行っています。

細かく言えば、健康保険組合の対象者は一般的に大企業に勤める従業員などで、全国健康保険協会(協会けんぽ)の対象者は中小企業に勤める従業員などです。健康保険は事業者単位で保険が適用されるため、従業員は企業が加入する健康保険に入ることとなります。

健康保険の適用においては、「強制適用事業所」と「任意適用事業所」の2種類があります。強制適用事業所は、企業の意志にかかわらず加入が義務付けられていますが、任意適用事業所は従業員の過半数が加入を希望している場合に、加入が認められる仕組みです。

3.保険料の算出方法

健康保険と国民健康保険は、月々に支払う保険料の算出方法が異なります。健康保険は、被保険者の給料や各種手当などをもとに「標準報酬月額(※)」を求めたうえで、その金額に応じた保険料を算出します。加えて、40~64歳の被保険者は、健康保険料と介護保険料を合わせた金額を支払う形です。

一方、国民健康保険は、管轄する地方自治体によって条件や保険料率などが異なるものの、所得や年齢、被保険者の人数などに基づいて算出されることが多いでしょう。世帯単位で保険料が決定され、世帯主が全員分の保険料をまとめて支払います。地域によっては、一定の所得を下回る場合は、減額制度を利用できることがあるので、事前に確認するとよいでしょう。

毎月の給料など被保険者が受け取る報酬の月額を区分したもので、健康保険制度の標準報酬月額は第1級~50級に区分される。

4.扶養にまつわる対応

健康保険は、企業に在籍する従業員の配偶者や子ども、親などの家族を扶養に入れられます。扶養家族の人数によって保険料が変わることはありませんが、被扶養者として認められるには、被保険者との関係性や収入などの条件を満たす必要があります。

被扶養者の範囲は以下のとおりです。

  • 配偶者(法律上の婚姻関係にある者)
  • 子ども(実子、養子、認知された子も含む)
  • 親(両親、義理の両親も含む)
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

その他、内縁関係にある配偶者や、その家族も含まれる場合があります。これらの家族が被扶養者として認められるためには、主として生計を一にしていることが条件です。

また、被扶養者になるには、以下の収入基準を満たす必要があります。

  • 年収が130万円未満(雇用形態や労働時間によって異なる場合あり)
  • 被保険者の年間収入の2分の1未満
  • 60歳以上または障がい者の場合は、年収が180万円未満

さらに詳しい条件については、各健康保険組合に確認してください。なお、国民健康保険にはそもそも扶養の考え方はなく、「被扶養者」の枠はありません。

出典:全国健康保険協会「被扶養者とは?(別窓)

5.給付項目

健康保険と国民健康保険は、給付対象となる項目が異なります。一般的には健康保険の方が、給付項目が多く、「健康保険では給付対象だったものが、国民健康保険では給付されない」などのケースも起こりうるので要注意です。

具体的な項目としては、病気や怪我などにかかわる「傷病手当金」や、出産にかかわる「出産手当金」などが挙げられます。健康保険には、病気などで働けなくなった場合や、出産のために休業した場合の収入を補填する給付がありますが、国民健康保険では給付されません。

突然の事故など、予防できないトラブルが原因だったとしても、治療中や休業中の収入は国民健康保険では保障されない点にも注意しましょう。

健康保険と国民健康保険の切り替え手続き

健康保険と国民健康保険は管轄する団体が異なるため、就職・退職する場合や自営業などに転職する場合、自動的に加入する保険の変更がなされるものではなく、必ず移行の手続きを行わなければなりません。

また、国民健康保険から健康保険に移行するケースと、反対に健康保険から国民健康保険に移行するケースでは、手続きの方法も異なります。スムーズに変更がきるように、あらかじめ申請の手順を確認しておくとよいでしょう。

国民健康保険から健康保険に切り替えるケース

失業していた人が再就職する場合や、個人事業主・フリーランスの人が企業に就職する場合などは、健康保険へ移行する手続きが必要になります。国民健康保険は、自動的に打ち切られるものではないため、住居がある地域を管轄している市役所などに行って、脱退の手続きを行いましょう。窓口に持参するものは以下のとおりです。

  • これまで使用していた国民健康保険証
  • 新たに加入した健康保険の保険証
  • 印鑑

また、企業側は、社会保険の加入条件を満たしている従業員を雇った場合、入社日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を管轄の年金事務所に提出しなければなりません。

被保険者の氏名や生年月日、基礎年金番号などを記載する項目があるため、入社からまもなくすると、企業から申請書の記入を依頼されるはずです。期日までに必要事項の記入・提出を忘れずに行い、手続きを済ませましょう。

健康保険から国民健康保険に切り替えるケース

企業に勤めていた人が退職したり、個人事業主やフリーランスなどに転職したりする場合は、国民健康保険へ移行する手続きが必要です。国民健康保険の脱退時とは違い、健康保険を脱退する場合は、企業が代理で手続きを行ってくれます。

企業は、年金機構に「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届」と、退職者の保険証を提出しなければならないため、退職時は必ず保険証を返却しましょう。業務や有休消化などで都合がつかない場合は郵送で対応するなど、返却方法をあらかじめ決めておくことも大切です。

国民健康保険への加入手続きは、住居がある地域を管轄する市役所などで行います。窓口に持参するものは以下のとおりです。

  • 退職する際に企業から渡された「健康保険・厚生年金保険資格喪失確認通知書請求書」
  • 身分証明書
  • 印鑑、保険料振替口座の通帳など

国民健康保険証はその場でもらえるわけではなく、発行に1週間ほどかかるケースが多く見受けられます。保険証が発行されるまでの間に、病気や怪我などで医療機関にかかることも考えられるため、なるべく早めに手続きを済ませておいた方が無難です。

健康保険の任意継続について

企業を退職すると健康保険の資格も喪失しますが、条件を満たす人は「任意継続」を利用できます。任意継続とは、企業を退職した後も、最長2年間はそのまま健康保険に加入し続けられる制度です。退職日を迎えたら、自動的に適用されるわけではないため、任意継続を希望する場合は、自ら手続きを行う必要があります。対象となる条件は、以下のとおりです。

  • 健康保険の資格喪失日から20日以内に、「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出する
  • 健康保険の資格喪失日の前日(退職日)まで、継続して2カ月以上の被保険者期間がある

なお、健康保険の任意継続を選択した場合に、必ずしも国民健康保険より保険料が安くなるわけではありません。なぜなら、企業に在籍している間は、事業所と本人で保険料を折半していましたが、任意継続ではすべて本人が負担しなければならないためです。

保険料に上限が設けられているものの、状況によっては国民健康保険の方が安く済む場合もあるので、どちらを選択するかを慎重に検討することをおすすめします。

任意継続の保険料は、退職時の標準報酬月額に、住居がある地域を管轄している都道府県の保険料率を乗じた金額となり、一般的に金額は2年間変わりません。なお、健康保険組合の場合は、組合ごとに保険料率が決まっています。

任意継続の資格喪失条件

任意継続被保険者が資格を喪失する条件は以下の通りです。

  • 被保険者が亡くなった場合
  • 保険料の納付期限までに納付がなかった場合
  • 任意継続の被保険者となってから2年が経過した場合
  • 他の健康保険に加入した場合
  • 後期高齢者医療の被保険者資格を取得した場合
  • 任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を申し出た場合

これらの条件に該当した場合には資格を喪失します。

出典:全国健康保険協会「4.任意継続被保険者の資格喪失(別窓)

資格喪失の注意点

任意継続の資格を喪失した場合、国民健康保険、またはご家族の健康保険の被扶養者へ切り替える必要があります。
他の健康保険への切り替え時には、任意継続の資格喪失後に送付される「任意継続被保険者資格喪失通知書」が必要となります。手元に届いているか確認しておきましょう。

保険料を納付期限内に支払わなかった場合には、納付期限の翌日で資格を喪失します。保険料の未納で資格喪失とならないよう、期限内にしっかりと納付することが重要です。

資格喪失月の保険料は月末計算となる場合があり、資格喪失後も支払いが必要な場合がありますので、保険料については加入している健康保険組合に確認してください。

公的年金保険とは?(種類と特徴)

「公的年金保険」とは、現役世代が支払った保険料を高齢世代の年金給付に充てることで、世代を超えて支え合う制度です。日本は、「国民皆保険」を採用しているため、20歳以上60歳未満の人は、すべて国民年金に加入しています。加えて、企業に勤める従業員などは、並行して厚生年金にも加入しており、その構造を「2階建て」と表現することもあります。

国民年金のみに加入している人は、毎月決まった保険料を自ら支払い、厚生年金に加入している人は会社と折半した保険料が給与から差し引かれます。そして、老後はすべての国民に「老齢基礎年金」が給付され、厚生年金に加入していた人は、「老齢厚生年金」も併せて受給できる仕組みです。

国民皆年金とは

「国民皆年金」とは、20歳以上60歳未満の人は必ず国民年金に加入しなければならない、と定められた制度です。日本の公的年金制度には、以下の2つがあります。

  • 国民年金:20歳以上60歳未満のすべての人が加入
  • 厚生年金保険:企業の従業員・公務員が加入

したがって、企業の従業員・公務員は、国民年金と厚生年金保険の2種類の年金制度に加入していることになります。一方、農業者や自営業者、フリーランス、無職の人などは、国民年金のみに加入する形です。

国民年金と厚生年金の違いは?

国民年金と厚生年金の違いは、加入対象者や支払う保険料などです。まず、加入対象者は前述のとおり異なります。

また、国民年金は原則として、一律の保険料を、それぞれの被保険者が全額負担します。保険料は月ごとに、本人が支払手続きを行わなければなりません。

一方、厚生年金は被保険者の月額報酬(または月額賃金)によって保険料の金額が異なり、保険料は被保険者が全額負担するのではなく、企業と折半で支払います。月々の保険料の支払いは被保険者が直接行うのではなく、給与から差し引かれる仕組みです。

公的年金制度の目的

公的年金制度の目的は、老齢、家計を支えている人の死亡、病気や怪我などによって、収入が著しく減少し、生活がままならなくなることを防ぐためです。

万一、家計を支えている家族が、事故に遭ったり老齢によって働けなくなったりすると、本人だけではなく、一緒に暮らしている配偶者や子どもなどの生活が脅かされるおそれがあるでしょう。そのようなリスクに備え、要件を満たした際は、一定の給付を行います。

公的年金制度は以下の3つに区分され、それぞれ概要や特徴などが異なります。

  • 老齢年金
  • 遺族年金
  • 障害年金

老齢年金の特徴

「老齢年金」とは、一定の年齢に到達すると受給できる年金を指し、国民年金の加入者が受給できる老齢基礎年金と、厚生年金保険の加入者が受給できる老齢厚生年金があります。20~60歳の40年間のうちの公的年金制度への加入期間などによって、年金額が決定されます。

遺族年金の特徴

「遺族年金」とは、公的年金制度に加入している人や、過去に加入していた人が亡くなった際に、その人によって生計を維持されていた遺族が受給できる年金です。公的年金制度への加入状況や、年金保険料の納付状況などにおいて条件を満たしている場合、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」のどちらか、または両方が給付されます。

障害年金の特徴

「障害年金」とは、病気や怪我などによって、仕事や生活などが制限されるようになった際に給付される年金です。一定の年齢に到達しないと受給できない老齢年金とは違って、条件を満たせば現役世代の人も受給できる点が大きな特徴でしょう。

病気や怪我で初めて医師の診察を受けたした際に、加入していた公的年金制度の種類によって、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」のどちらを請求できるかが異なります。また、障害等級1級・2級の人は、国民年金保険料が免除されます。

パート・アルバイトの社会保険について

社会保険の適用条件は年々拡大しており、2022年(令和4年)10月には、従業員数が101人以上の事業所で働くパート・アルバイトの人も、加入対象として認められました。

2016年(平成28年)10月頃から、健康保険や厚生年金保険の加入条件が見直されているものの、近年では短時間労働者でも社会保険に加入しやすいように、さらに規制が緩和されてきています。今後も複数回にわたって、適用範囲拡大が予定されており、ますます多様な働き方が広がっていくと予想されます。

社会保険の加入条件

パート・アルバイトで働く人の社会保険への加入条件(2023年4月現在)は、以下のとおりです。

  • 週の所定労働時間が20時間以上である
  • 給料の月額が8.8万円以上である
  • 学生ではない
  • 2カ月以上の雇用見込みがある
  • 従業員数が101人以上の事業所である

なお、今後も加入条件はますます拡大されていき、近い将来は事業所の人数などがさらに変更される予定です。

まとめ

社会保険とは、医療保険・年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険の5つをまとめた制度を指し、場合によっては健康保険と厚生年金保険の2つだけをまとめた、狭義の意味で使われることもあります。突然の怪我や病気、失業などは誰にでも起こりうるため、それらが発生した際のリスクに備えておくことが大切です。

近年は、社会保険の適用範囲が拡大傾向にあり、従来は加入が難しかったパート・アルバイトの人も、条件を満たせば企業の社会保険への加入が認められています。社会保険への加入は適切な手続きを踏む必要があるため、仕組みや方法などを事前に確認しておきましょう。

下川 めぐみ 氏写真

監修者

下川 めぐみ 氏(特定社会保険労務士)

社会保険労務士法人ベスト・パートナーズ登録社労士。
医療機関、年金事務所等での勤務の後、現職にて、社会保険労務士業務に従事している。

執筆者

サイトエンジン株式会社

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