英AVIがロート製薬創業家会長の解任求め株主提案、長期支配で弊害

  • 不採算の再生医療事業は「個人の思い入れ」、資本コスト度外視と批判
  • 意思決定で非常に強い影響力、経営体制を見直すべき-AVI調査責任者

英投資ファンドのアセット・バリュー・インベスターズ(AVI)は30日夜、ロート製薬会長で創業家出身の山田邦雄氏による長期の経営支配などが、企業統治(ガバナンス)をゆがめているとして、同社に対して山田氏の取締役解任を求める株主提案を提出したと発表した。

  6月下旬に開催予定の定時株主総会に諮る。公表資料によると、AVIは2024年にロート製薬への投資を開始。25年4月には収益化が進まない再生医療事業を含め、経営改革を求める提言を会社側に行った。しかし、その後も山田氏は資本コストを十分意識せずに同事業を継続するなど、ガバナンスに問題があるとして提案に踏み切った。

  AVIがロート製薬に対して株主提案を行うのは初めて。6月の株主総会シーズンを前に、アクティビスト(物言う株主)をはじめとした株主が、企業にガバナンスの改善や不採算事業の見直しなど、株主価値の向上を求める動きが活発化してきた。

ロート製薬の大阪本社Source: Google Maps

  AVIでは、創業家は今では計約7.6%の株式保有しかないにもかかわらず、創業以来、社長や会長として経営を支配し続けていることを問題視している。山田氏は社長、会長で合わせて27年間経営トップにとどまっていると指摘した。

  特に、昨年から問題提起している再生医療事業について、山田氏は自身の治療経験を基にした個人的な思い入れで資本コストを度外視した投資を続けていると批判。過去13年で、150億-300億円の投資を行ったが、収益化の見込みは立っていないと主張している。その上で、同氏による経営体制には、企業価値を棄損(きそん)する可能性が認められるとしている。

  AVIの日本調査責任者の坂井一成氏は、ブルームバーグの取材に対し、山田会長は同社の「意思決定体制において非常に強い影響力を行使しているのが実態だ」と指摘。現在の職にとどまるべきではないとの認識を示した。

  ロート製薬の広報担当者は、株主提案を受けたのは事実だとした上で、取締役会の意見については、慎重に検討・審議の上、決定したら速やかに公表するとコメントした。

  AVIはロート製薬の適正株価について昨年も掲げた6000円程度という考え方は変えていないという。30日の終値は2300.5円だった。

  26年3月期の業績はスキンケア製品や市販の目薬など、主力事業の寄与で好調であるにもかかわらず割安に放置されているとした。株価がAVIの見方より安いのは、創業家が主導する不採算事業への投資継続や、情報開示の不透明性に対する懸念を反映しているとみている。

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    (7段落目にロート製薬のコメントを追加して記事を更新します)