法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

小野田紀美氏がニコニコ超会議で登壇して、作品に対する外国からの批判を「やかましい!これが日本じゃ」と国家として反駁するそうだが、ならば自国旗損壊を疑われる作品にはどう対応してくれるのだろうか

 現在は経済安全保障担当大臣として多忙だろうにと思うのだが、重要な会合は経産相の赤沢亮正氏にまかせているのだろうか。


「やかましい、これが日本じゃ!」
小野田大臣がニコニコ超会議で「海外基準で日本のコンテンツが攻撃を受けたときに、国が毅然とした対応で守り抜くから "もう好きにやって" という腹の括りは必要」と言及
"政府は口出しせず後押し"クリエイターへの利益還元や人材育成も熱く語る

 小野田氏やその主張を歓迎する人々は、批判を受けいれて表現が進歩する可能性を奪いたいのだろうか。
 少なくない作家が批判されることで違う視点の存在を知り、それに納得するか反発するかは別として、応答するように新たな表現を生んできたのではないか。


 そもそも小野田氏も閣僚として参加している高市政権といえば、国旗損壊罪の制定に力をいれていることで知られている。
自民国旗損壊PTが論点整理 自己所有の国旗も対象と明確化 | 毎日新聞

器物損壊罪では処罰されない自己所有の国旗も対象とする意図を明確化し、「国旗を大切に思う一般的な国民の感情」が保護すべき法益だとした。

意図や目的などの主観的要素ではなく、「公然と」など外部から認識できる行為態様で判断すべきだとした。一方、その場合は処罰範囲がかえって拡大する可能性もあり、議論を呼びそうだ。

 残る論点について、PTでは処罰対象となる国旗が絵画や映画作品の中で描かれる国旗も含むかなどを列挙した。

 作品内の損壊でも文脈を無視して処罰されかねず、コンテンツへの攻撃が外国の一個人どころか自国の国家権力によってなされかねない事態だが、小野田氏は所管外として批判をさけた。
「日本国旗はとても大切なもの」小野田紀美氏 国旗損壊罪法案巡り 「所管外」とも - 産経ニュース

国旗損壊罪を新設する法整備の必要性を問われ、「日本国旗は大切だ」としつつ、「所管外なので、どう思うかというのは、今回、答弁を差し控えたい」と述べた。


 すでに日本のコンテンツが攻撃される事例として、日章旗を損壊しているアニメの描写が問題視され、コピペやまとめブログなどで流布されたことが何度かある。
『カレイドスター 新たなる翼』第43話 ポリスの すごい プロポーズ について - 法華狼の日記

手間をかけ、わざわざ日章旗の×を見せつけるように演出で意図しているカットなのだ。このカットが演出家の制御下にあることは確実で、原画や動画が勝手に書き加えたものではない。

問題のカットは、レギュラーでただ一人日本人である主人公の状況を示す、暗喩表現なのだ。

国旗を損壊しているから『おそ松さん』は反日アニメという与太話 - 法華狼の日記

発端は11月19日のツイート。ただメインビジュアルで日章旗が燃やされているように見えるだけのことだった。

ツイートのメインビジュアルはトリミングされている。公式サイトのトップページなどを見れば、何に向けて炎を吐いているのか明らかだ。
TVアニメ「おそ松さん」メインビジュアル [画像ギャラリー 3/3] - コミックナタリー

『カレイドスター』や『おそ松さん』の他にも、『忍たま乱太郎』で矢の的が赤丸になっていたことが国旗損壊として攻撃されたこともあった。国旗損壊罪が制定された時にアニメや漫画も攻撃の対象になる可能性は杞憂ではない。
 もちろん機械的な処罰をおそれて機械的な表現をさけるようクリエイターを委縮させかねない問題もある。批判という自由であるべき強制力のない言論よりも、文脈を無視した国家権力による機械的な処罰こそ小野田氏は反駁するべきではないのか。