2026.04.30 05:00
【老朽下水管】実情に応じた支援策を
全国の下水道管で、激しい腐食や損傷があり対策が必要な管路は全都道府県の計748キロに上る。国土交通省が公表した。
調査は、埼玉県八潮市で昨年1月に起きた道路陥没事故を受けて全国の自治体に要請した。全国の下水道管総延長約50万キロのうち、直径2メートル以上で設置から30年以上が経過した5332キロを対象としている。対策が必要とされた下水道管は、判定が終わったものの16%に当たる。
このうち原則1年以内の対応が必要となる「緊急度1」は、山梨県を除く46都道府県で計201キロに及ぶ。応急措置をした上で5年以内に対応すべき「緊急度2」は、全ての都道府県で計547キロだった。
高知県では高知市など5市7・76キロで対策が必要とする。緊急度1は1・66キロで、四万十、香南の両市は管理する下水道に占める要対策延長の割合が高い。
全国調査は判定できていない区間が600キロ以上あり、要対策下水道管はさらに増えることが想定される。厳しい状況だが、それだけに適切な対応を進め、危機回避に努めることが求められる。
調査では、対応が必要な下水道管周辺の地中で96カ所の空洞が見つかった。地表から1~2メートルほどの浅い場所が多く、全ての箇所で修繕を終えたとする。検査の充実が早期の発見につながり、事故の未然防止に寄与することは明らかだ。
八潮市の道路陥没では、転落したトラックの運転手が死亡した。下水利用は一時制限され、住民生活に大きく影響した。大規模な復旧工事は今も続き、下水の悪臭に健康被害を訴える人もいる。問題の重大性が浮かび上がる。
下水道管は1割弱が耐用年数の50年を超えるという。老朽化はこれからさらに進むことは避けられそうにない。安全に利用できる環境が揺らぐことがないように、整備の加速が求められる。
しかし、財源や人手不足がのしかかる。老朽下水道管の更新に充てられる利用料収入は人口の減少で大きな伸びは期待できず、利用料の値上げは住民負担を大きくする。下水道担当職員の確保も人件費の抑制などから難しくなっている。
政府は、下水道法などの改正案を今国会に提出した。腐食が特に進む恐れがある場所の点検頻度を増やすなど、老朽下水道管の点検強化を盛り込んだ。判定結果に応じて、緊急改修や空洞調査を求める。
また、災害や事故で下水道を使えなくなる事態に備え、下水を流す別ルートの整備を図る。国と自治体との連携を強め、維持管理の効率的な方策を探ることが重要だ。
ほかにも道路、トンネルなど社会インフラは老朽化が進む。膨らむ経費は自治体の重い負担となっている。計画的な対応が不可欠であり、実情に応じた取り組みを支援する仕組みづくりが求められる。