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ライフ #食品の裏側&世界一美味しい「プロの手抜き和食」安部ごはん

平気で"だしの素"を使う「料理研究家」への痛烈な違和感「添加物のプロ」が消費者に伝えたい「3つのこと」

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  • 安部 司 『食品の裏側』著者、一般社団法人 加工食品診断士協会 代表理事

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抵抗なく当たり前に使っている「だしの素」。その「裏側」を知れば誰もが躊躇するはずです(写真:mits/PIXTA)
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70万部の国民的ベストセラー『食品の裏側』の著者、安部司氏が開発したレシピ集世界一美味しい「プロの手抜き和食」安部ごはん ベスト102レシピ8万部を突破するベストセラーになり、大きな話題を呼んでいる。
『食品の裏側』発売後、全国の読者から受けた「何を食べればいいのか?」という質問に対する答えとして、安部氏が自ら15年かけて開発した膨大なレシピノートの中から、「簡単に時短に作れるレシピ」を厳選した1冊だ。
いまなお食品添加物の現状や食生活の危機をメディア等で訴え続けている安部氏が「平気で"だしの素"を使う「料理研究家」への痛烈な違和感」について語る。

安部ごはん料理教室の衝撃

『安部ごはん』を出版して以来、私は全国で「安部ごはん料理教室」を開催しています。

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教室では最初の30分ほど「調味料講座」を行いますが、ここが圧巻。参加者から驚嘆の声が上がります。

目の前で、白い粉をブレンドしただけで「和風かつおだしの素」「とりがらスープ」「チキンコンソメ」などが次々と作られるからです。

さらに化学調味料入りのだしの素に粉末しょうゆと乾燥ネギを加えると、みんなが知っている「カップうどん」の味、溶いたコンソメスープにだし入りみそと乾燥ネギを加えると「みそラーメン」が出来上がります。

みなさん、いつも食べ慣れた味が「白い粉」のブレンドで出来上がっていることを知ると、一様にショックを受けるようです。

そこで私は声をかけます。

「だしは毎日食べる料理の土台ですよね。それがこういう添加物入りの白い粉でいいですか?」

みなさん、お互いに顔を見合わせて首を振ります。「はい、いいです」などという人はいません。

「安部ごはん料理教室」はそこからスタートします。

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【「3つのお約束」まず1つめは?】

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昨今の料理教室では「だしの素」を使うところが主流のようです。著名な料理研究家も堂々と「だしの素」を使う時代です。

家庭で料理をする人たちも抵抗なく当たり前にだしの素、スープの素を使う人、使わないと料理ができないと思っている人も多いと思います。

しかしその「裏側」を知れば誰もが躊躇するはずです。

安部ごはん料理教室「3つのお約束」とは?

「安部ごはん料理教室」では「3つのお約束」をしていただきます。

3つのお約束とは、

① 「添加物入りのだし」に頼らない
② 「添加物入りのだし」でごまかさない
③ 「素材の味」を壊さない

です。以下、一つひとつ見ていきましょう。

「安部ごはん料理教室」3つのお約束①「添加物入りのだし」に頼らない

市販の「だしの素」の話をする前に、市販の加工食品の味の仕組みについて述べてみましょう。

加工品は多くが「黄金トリオ」「食品加工用風味エキス」によって組成されています。

「黄金トリオ」とは私の命名した言葉で「食塩、化学調味料、たんぱく加水分解物」の3つから成り立つ、「日本人好みの味がぴたりと決まる調味料」のことです。

「たんぱく加水分解物」とは、肉や大豆などのたんぱく質を分解して作り出すアミノ酸のこと。多くは「塩酸」を使って分解します。

「黄金トリオ」の説明は、別の記事(「日本人の舌を壊す『黄金トリオ』の超ヤバい正体」)に詳しいので、ぜひそちらもご参照ください。

「食品工業用風味エキス」とは食品加工で使われるエキスのことで、「ポークエキス」「チキンエキス」などさまざまなものがあります。

「黄金トリオ」に、この「風味エキス」を組み合わせれば、どんな味でも自由自在。海鮮味のカップ麺、缶入りのミートソース、レトルトのハンバーグ、総菜の煮物など、ほぼすべてがこの仕組みで作られています。

そして市販のだしの素は、この加工食品の味と同じ仕組みで作られているのです。つまり「黄金トリオ」にかつおエキスを組み合わせたものが「かつおだし」、黄金トリオにチキン&ポークエキスを組み合わせたものが「中華だし」です。 

<黄金トリオ+食品工業用風味エキス=かんたんだしの素>

家庭料理が市販の加工品と同じ「添加物の味」にとって代わられてしまう恐ろしさ。これをぜひ認識してほしいと思います。

「黄金トリオ」に「食品工業用風味エキス」を組み合わせれば、どんな味でも自由自在に作り出せる(図表:筆者作成)

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【「めんつゆ」「白だし」の正体は?】

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「安部ごはん料理教室」3つのお約束②「添加物入りのだし」でごまかさない

①と似ていますが、こちらは「添加物入り」であることは薄々承知しているけれど、便利さに負けて使ってしまう人に向けての注意喚起です。

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昨今は便利な合わせ調味料がいろいろ発売されています。

市販のめんつゆ、白だしは以前から家庭料理に使われてきましたが、それだけでなく「○○が一発で決まる調味料」「煮物用○○」など、実にさまざまな「だし入り調味料」が出回っています。

形状も顆粒状、固形キューブ、ポーション入り濃厚ペーストエキスと用途によっていろいろあります。

「添加物入りとわかっていても、便利だからつい手が伸びてしまう」という人がどれだけ多いことか。

しかし、これらも結局は「黄金トリオ」に、工業用のうま味ベース、工業用エキス類で味のベースを作り、そこにみそやしょうゆ、塩などの基本調味料で味を決めているだけ。

こちらも工業用の加工食品とまったく同じ組成です。

<黄金トリオ+工業用うま味ベース+工業用エキス類+基本的調味料=カンベン調味料(めんつゆ、あごだしつゆ、白だし、煮物一発調味料など)>

こうして完成した合わせ調味料は濃厚な味で、完成度が高いのですが、各メーカー、どれも同じような味です。「安い、簡単、便利、おいしい」という添加物の働きが見事に反映されています。

私はこの「一発で決まる合わせ調味料」のことを「簡単便利(カンタンベンリ)な調味料」を略して「カンベン調味料」と呼んでいます。

めんつゆ、白だしなど「簡単便利な調味料」(カンベン調味料)も、工業用の加工食品とまったく同じ組成で作られている(図表:筆者作成)

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【「和食のおいしさ」を楽しむためには?】

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「安部ごはん料理教室」3つのお約束③「素材の味」を壊さない

「安部ごはん料理教室」で最も訴えたいことがこの③です。

だしの素にしても、カンベン調味料にしても「作られた濃い味」です。食べた瞬間は「あっ、おいしい」と思うけど、後口がモワッとして口に残ります。「化学調味料」や「たんぱく加水分解物」のせいです。

かつおや昆布などでとった天然のだしはすっと切れて、いやな後口がありません。

「あとモワ」気になりませんか?

この「あとからモワッとする現象」を私は「あとモワ」と呼んでいます。料理教室で出会った若いお母さんの言葉をお借りしたものです。

私などはカップ麺レトルトの加工食品も「あとモワ」がきつくておいしいとは思えません。「あとモワ」も気になるし、味が濃く、強すぎて最後まで食べきることが困難です。

でも、多くの人はそうではないようです。「濃い味」「強い味」に慣れてしまうと、舌が麻痺して「あとモワ」も気にならなくなってしまうからです。

しかしそれでは、「野菜の淡白な味」「素材のおいしさ」を味わうことができません。スナック菓子ばかり食べている子どもが野菜嫌いになるのも同じことです。

和食は伝統的に「素材本来の味を味わう料理」です。『安部ごはん』のレシピもすべて素材を生かすためのレシピになっています。

和食のおいしさをいつまでも楽しむためにも、舌を大事にしてほしいのです。そのためにもだしの素に頼るのではなく素材本来の風味を壊さない調理をしていただきたいと考えます。

特にお子さんのいる家庭ではなおさら、子どもの舌を壊さず、しっかりした味覚を育てていただきたいと思います。

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【超簡単な「だしのとり方」を紹介!】

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『安部ごはん』『安部ごはん2』『安部おやつ』では市販のだしの素を使わないレシピを提供しています。簡単にとれる天然だしのとり方も丁寧に教えています。

安部流・超簡単「和だし」のとり方を特別公開

ここでは特別に私が開発した超簡単な「和だし」のとり方を紹介しましょう。

きざみ昆布とかつおぶしを中火にかけて沸騰したら火を止めて、ざるなどで濾すだけで完成、たったそれだけで「天然の無添加だし」の出来上がりです。

『安部ごはん』で紹介している「司の和だし」。「水」「きざみ昆布」「かつお節パック」だけで簡単に作れます(撮影:佳川奈央)
だしをとったあとのかつお節と昆布から、あっという間にできる「だしとりあとの時短佃煮」は、「おかか昆布おにぎり」の具材にもなり、子どもも喜びます(撮影:佳川奈央)

いりこでだしをとるときも、いりこを前日に、水を張った鍋に入れておき、翌日、火にかけ沸騰したらいりこを取り​出せばいいだけです。

ものの10分でできるし、冷蔵庫で3日ほど持ちます。まとめて作っておけば、みそ汁に煮物にすぐに使えて、とても便利です。

「弱火よりやや強めの火でじっくり煮出す」「沸騰直前に昆布を引き出す」などといった一般の料理家がすすめるような小難しいワザなど、家庭用には必要ありません。

わが家では長年、カツオと昆布、いりこなどでだしをとっていますが、だしをとるのが面倒」と思ったことなど一度もありません

ぐっと寒くなり、温かい食べ物が欲しくなる時期。ぜひ「天然のだしのおいしさ」にみなさん目覚めていただきたいと思います。

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