海外詐欺拠点の闇:巧妙化する「人身売買」の罠(4月28日 NHKニュースウォッチ9の要約)
警察庁の最新のまとめにより、1月から3月だけで938億円と、特殊詐欺被害が過去最悪のペースで拡大していることが判明しましたが、その裏側では、自らの意思に反して犯罪に加担させられる日本人の深刻な実態が浮き彫りとなっています。
かつての仕事仲間や知人といった、本来であれば信頼すべき人物からの誘いが、地獄への入り口となるケースが急増しています。「海外ホテルのレビュー作成」や「不動産関連」といった、一見すると正当な求人を装い、相手の警戒心を解く手法が確立されています。被害者の多くは決して犯罪に手を染めるつもりはなく、提示された報酬も「交通費を考えれば妥当」と感じるほど現実的な範囲に設定されています。しかし、その実態は「人身売買」そのものであり、元暴力団関係者の証言によれば、一人の日本人を海外の詐欺拠点に送り込むことで、400万円から600万円もの大金で取引されているのが現実です。
カンボジアの拠点で強いられる監禁と強制労働
被害者は、当初知らされていた渡航先とは異なる場所へ半ば強制的に移送され、到着した瞬間から自由を奪われます。カンボジアなどの拠点では、カジノ併設のホテルなどが利用され、入り口には武装した警備員が配置されるなど、自力での脱出は極めて困難な状況にあります。そこで待ち受けているのは、暴力団関係者を名乗る人物による「逃げれば殺す」という卑劣な脅しと、中国人をリーダーとする組織の下での強制労働です。数十人規模の日本人が一つの部屋に集められ、24時間体制で詐欺の電話をかけさせられるという、異様な光景が広がっています。
日本大使館に寄せられる救助要請の急増と限界
こうした事態を受け、現地の日本大使館には深刻な悲鳴が届いています。カンボジアの日本大使館によれば、日本国内にいる家族などからの救助要請は、かつての月や週単位から、今や毎日のように寄せられる状況にまで激化しています。植野篤志駐カンボジア大使は、リクルート側が知恵を絞り、あらゆる手で人を誘い出している現状に対し、人員を増やして対応体制を強化しているものの、事態の深刻さは増すばかりであると語りました。犯罪組織による勧誘がSNSから「人づて」へとシフトし、より見分けがつきにくくなっている今、安易な誘いに乗らないことの重要性がかつてないほど高まっています。