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日韓で目立つのは、“時差のなさ”

なぜ日韓でこの現象がこれほど目立つのか。教授の指摘はきわめて実際的だ。

「タイムラグがないからですよ。SNSを使うのは夜中心。日韓は時差が合う。パンパンパンと答えが返ってくる。昔の言い方で言えば“Twitter廃人同士”がつながりやすい。中国が相手だと政治的な話は難しいし、台湾は人口が韓国ほど多くない。即レスで本気で相手をしてくれるのは、結果として韓国人になるんです」

日韓の“パンパン”とした応酬が目立つのは、感情以前に構造の問題でもある。「両言語できる僕らから見ると、お前ら両方とももともと似た者同士やからな、という感じなんですけどね」と教授は笑う。

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国会前デモへの韓国からの応援——その裏にある分断

4月8日のデモで韓国のペンライトデモのスタイルが参照され、韓国の市民運動家が登壇したことも、教授にとっては「前からある」光景だ。

「SEALDsの頃から、韓国ではデモが成功して楽しそうだという見方がありました。僕のところにも、当時の関西SEALDsの中心メンバーだった院生が『韓国ではどうやってデモをやっているんですか』と聞きに来ていたんですよ。尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の弾劾過程で行われたペンライトデモも日本で報道され、関心を持っている人は多い」

新しいのは、日本の団体が直接韓国側にアプローチしづらかった状況をSNSと自動翻訳が埋めた点だ。だが、ここにも落とし穴がある。

「韓国は今、左派と右派にくっきり分かれていて、右派はそういうデモを応援しません。違う種類のデモを応援している。去年も韓国の親日ユーチューバーが、中国に関するデマを流し、それが日本の反中的なネットでウケたりしましたが、彼はフェイクニュースを流した嫌疑で在宅起訴されることになりました。でも、そういう人たちが韓国にいる、というのも事実なんです」

韓国の進歩派には「日本人は単に正しい韓国の姿を知らされていないだけだ。話せば分かってもらえる」という素朴な考えがずっとある、と教授は言う。「でも…だったら苦労しないんですよ」。日本側で「応援してくれる韓国の人がいる」と感じる裏側で、韓国の進歩派も「日本に仲間がいる」と考える。でもそれが日本や韓国のすべてだと考えるなら錯覚にすぎない——どちらもエコーチェンバーの中にいるからだ。

「高市早苗はけしからんよね、と日韓で盛り上がったとしても——ごめん、その高市と李在明(イ・ジェミョン)はお互いの計算から仲良くしている現実はそこから見えないんです」

教授自身、尹錫悦弾劾後の韓国をNHKと取材した際、「大統領支持派のデモも必ず見てほしい」と伝えたという。片方だけを見て民主化運動を美化すれば、現実の半分を見落とすからだ。

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