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“旅行”の比喩と、世論調査の現実

実際の韓国側の対日感情はどうか。

「ある程度良くなってきているのは事実です。ただ、『日本が好きですか』と聞いて『好き』が『嫌い』を大きく超えるかというと、そんなこともない。『好き』が多数派の世論調査のほうが、まだ少ない。多くの人はやっぱり『好きじゃないけど、わだかまりはある』と答える」

若い世代についても留保がつく。「『良くなっている』というより『過去の問題に関心がない』と言った方が正しい」

教授が繰り返すのは「旅行」の比喩だ。

「SNSで見えてくる世界は、旅行と一緒なんです。旅行に行って『韓国人は優しかった』と言うでしょう。でもそれは、優しい人が優しいだけなんですよ。日本語ガイドさんに会って、美味しいものを食べて、店の人が親切だったら、『韓国の人、いいじゃん』となる。でも僕らから見れば、その後ろで韓国語で『日本人うるせえよ』と怒鳴っているおやじの声が聞こえていないだけだよ、と思うわけです」

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この現象は、実は繰り返されてきた

教授はこれを「新しい現象」とは捉えていない。

「インターネット上で何回も繰り返されてきたことなんですよ。以前は韓国の新聞の日本語版が一斉に出た時期があって、相当なインパクトがありました。中央日報のヤフコメ欄なんかで、翻訳機能を使ってバチバチやっていたりね。新しいメディアが一つ出てくると、必ず出てくる現象です」

可視化されるのは好意だけではない。K-POPアイドルの政治的発言をめぐる衝突は、その典型だと教授は言う。

「日本のことが好きだと思っていたアイドルが、いきなり原爆投下を模したTシャツを着ていたり、BTSが政治的な発言をしたら一通りみんな引いてしまったり。大事なのは、『日本が好き/韓国が好き』という画一的な発想そのものが、実はあまり意味を持たない、ということなんです。好きなものは好き、嫌いなものは嫌い」

日本のアニメ好きの韓国人に「竹島は日本の領土でいいね」と聞けば答えはノー。植民地時代の話をすれば日本はダメというに決まっている。そういう当たり前の輪郭が、自動翻訳で一気に可視化されていく。

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