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代表取締役を降りようとしたあの日

3月末で決算を迎え、C4Cは16期目を間もなく終える。

今、目の前に広がっている無限の可能性を感じながら、一日一日を過ごしている。
仕事の楽しさ、経営の楽しさ
——16年前、起業したあの日に近い感情を、再び感じることができている。

しかし1年前のこの時期、まさに3月の終わりに、C4Cを辞める決意を固めた。
正確に言うと、「辞める選択肢しか残っていなかった」という表現の方が正しいかもしれない。

覚悟を決め、C4Cはそのまま残し、自分だけが出ていき、新会社を立ち上げてゼロイチをスタートさせる準備を進めていた。
C4Cは残された役員に任せた方が良い選択だと信じていた。
その方が社員たちにとって幸せなのだと、思っていた。

——あの電話がかかってくるまでは。

この記事を書く理由

この記事は、C4Cが経験した創業以来最大の危機と、そこからのV字回復の記録である。
包み隠さず書くのは、これからジョインしてくれる仲間に、本当のC4Cを知ってほしいから。

綺麗な部分だけを見せることは簡単だが、この会社がどんな困難を乗り越えてきたかを知った上で、「それでも一緒にやりたい」と思ってくれる人と働きたいと思っている。

なお、この記事には「取締役A」「取締役B」という表現が登場する。
それぞれ実在した役員だが、個人への批判が目的ではないため、名前は伏せている。
両者とも現在は退職しており、それぞれ新たな道を歩んでいる。




業績悪化、初めての赤字

2024年度、15期目の決算は創業以来、初めての赤字だった。
正確には営業利益はトントン。
資産の減価償却分で数百万円の赤字として計上された。

2021年度、12期目に過去最高益を更新し、そこを頂点として数年で赤字まで転落した。その理由は何だったのか。

好調だった12期目を終え、会社の課題として取り組んでいたのが商流の改善だった。
SES企業として、大手ベンダーや事業会社との直取引は売上・仕事のやりやすさに直結する。
しかし当時のC4Cは商流がかなり深い案件ばかりだった。
その抜本的な改革をするため、当時の取締役Aに白羽の矢を立てた。
13期から14期にかけて、営業統括責任者として全ての商流を見直し、新規顧客を開拓するように期待した。

ところが、思惑に反して、営業責任者として任せたタイミングからむしろパフォーマンスが下がった。
業務時間中のレスポンスは遅く、実績も見えない。
他のエンジニアからも「連絡がつかない」との心配の声が度々上がるようになっていた。

同時に、数年前から「父の会社を継ぐ」とのことも共有されていた。
評価が悪化していたことと重なり、2025年度いっぱいでの辞任・退職を告げられた。

1つフォローしておくと、当時の会社の採用方針は新卒・未経験採用に注力していた。採用後に徹底教育し、将来会社を担う人材として育てていこうという戦略だった。ただコロナ以降、ジュニア層のSES案件受け入れは大きく減り、中堅層への負担が重くなっていたのも事実だ。
この点は、経営戦略として間違っていたと言わざるを得ない。

取締役Aから退職を告げられたおよそ1年前から、会社は少しずつ崩れ始めた。
毎月のように離職者が現れるようになった。

取締役A派閥と思われるエンジニアたちが1〜2か月おきに退職していき、2025年度までに10名以上が辞めていった。

当時は「不満を持って、もしくは条件を求めて他社へ転職した」と思っていた。
しかし実際は、全員が取締役Aの父の会社へ転職していたことが、後になってわかった。

そして2025年度末、「最後の最後に」取締役A自身も退職。
新卒・未経験者も3年ほど経つタイミングで辞めていき、中堅どころも合わせると、全体の3分の1が退職した。

僕らのビジネスモデルはエンジニアありきだ。
辞めていった分だけ、売上と利益が減っていく。
2025年度の収支予想では1500万ほどの赤字予想となった。



取締役Bの要求

その危機を感じ、取締役Bが焦り始めた。

取締役Bは、高校時代からの同級生で、性格はまさに真逆。
亀山が希望と勢いで動くタイプだとすれば、彼は緻密で守りを固めるタイプ。
経営方針については、彼がいたからこそ15年間健全な経営ができていたし、良いブレーキ役として、本当に助かっていたし、だからこそ良き右腕だと信じていた。

2024年夏ごろ——

一生懸命育てても辞めていくエンジニアたち。
「営業・採用・教育の全ての考え方が亀山と大きく違う。会社の方向性を決めるのにダブルスタンダードは良くない、社員達が戸惑う。」として、代表取締役としての役割を自分(取締役B)に移管するよう要求してきた。

かなり激しい態度で詰めてくることもあったが、言いたいことはたくさんあっても、了承した。

条件はこうだった。

・   代表取締役社長としての職権を取締役Bに移す
・   役員会・リーダー会には出席しない
・   業務は営業のことだけやればいい
・   社員達との接触は避けるように

そこから、完全に孤立した。

誰ともコミュニケーションが取れなくなり、気がついたら自分の会社なのに、自分の居場所がなくなっていた。

けど、それでもよかった。
仮にそれが今の社員の幸せならば、自分が退こうと思っていた。
自分は動けるし、ゼロイチでもう一度環境を作ることもできる。
けど、今いる人たちはこの環境が必要で、ここでキャリアを積もうとしている。その邪魔はしたくなかった。



新会社設立へ

2025年1月、新しい会社の設立に向けて動き始めた。
今度は営業で勝負しようと思っていた。
起業するメンバーに声をかけ、準備を開始した。

そのタイミングで、自分の営業のやり方を一から見直してみようと思った。エンジニア出身でここまで来たから、営業を体系的に学んだことはなかった。自己流でずっとやってきたが、ちょうどいい機会だった。

周りの営業を主軸とする会社に頼み込んで、一から教えてもらった。
座学で営業を学ぶ——まるで社会人研修のような、入社1年目が身につけるべき知識から始めた。

入社1年目のことを少し思い出しながら、懐かしさと新しい門出の気持ちを抱えて、共に起業するメンバーと前を向いていた。




最後通牒——役員報酬を5年でゼロに


そこに追い打ちをかけるように、2025年3月、取締役Bから来期の役員報酬について問われた。
この時点で2025年度の業績予測は1,500万円の赤字。
その責任と業績改善の矛先が、自分の報酬に向かってきた。

「現状、経営における責任も仕事量も、9割が取締役B、亀山は1割程度。だから亀山の役員報酬は会社にとって大きな負担だ。計画を立てて5年でゼロにするように」

——それができないなら、自分がC4Cを辞める。

平たく言えば、「お前が辞めるか、俺が辞めるか。どっちにする?」という選択を突きつけられた。
社員達との接触を断たれた状況が続く中で、選ぶ権利などなかった。

すでに起業の準備は進めていたし、ある程度心の準備もできていた。
けど、ここまで言われるとは思わなかった。
26歳で一緒に起業して、いろいろ歩んできたのに、最後がこんな形かと思うと、すごく悲しい気持ちになった。

「会社のために、社員のために、自分が去ることが一番の良い選択だ」と言い聞かせていた。



事件は起きた——2025年4月28日


新会社立ち上げの準備を進めていたそのとき、突然、子会社の社長から連絡が入った。

「C4Cのエンジニアが取締役Bのパワハラに耐えられなくて辞めたいと言っている。しかしどこに相談すればいいかわからない。
生活もあるので、会社の対応次第ではしかるべき機関への相談も考えている」

急なことすぎて、青ざめた。

実質会社のトップである人に話が伝わるわけもなく、味方もいない。
どうすればいいかわからない中で、勇気を振り絞って子会社社長に相談したという経緯だった。

子会社社長と連携していたことで「亀山さんに伝えた方がいい。
必ず理解してくれる」という助言があり、勇気を出して打ち明けてくれた。

子会社社長に間を取り持ってもらい、翌日ヒアリングの場を設けた。
ヒアリングを重ねる中でわかってきたのは、パワハラを通り越した威圧・恫喝が繰り返されていたということだった。
気分によって激しさが変わり、気分が悪い日ほど激しくなる。

実は以前から似たような話は耳に入っていたが、「教育の一環だ」と片目をつぶっていた自分にも、大きな責任がある。

しかし、何より予想外だったのは、そのエンジニアが取締役Bの右腕と言っていいほど近い存在だったことだ。
まさかこんなに思い詰めていたとは、全く気付いていなかった。

こんなに近い人間がそう感じているなら、みんな実は嫌な思いをしているのではないか。

言えない状況の中で、みんな我慢をしている——この状況になって初めて、そう理解した。

自分がこの場を去ることで「みんなのためになる」と思っていたが、
全くの見当違いだった。1人の勇気ある告発が、それを気づかせてくれた。

自分が任命した責任がある。「ならばその責任を取る」ことを決意した。



解任決議


翌日、緊急で取締役会を召集した。
ヒアリングの議事録を差し出し、2025年5月1日、取締役Bの解任決議案を発議した。

残された非常勤取締役は「取締役Bが実質トップであり、いなければ会社は潰れる」と判断し、辞任する道を選んだ。

1人は解任、1人は辞任。取締役会は実質解散となった。

このまま解散では、会社はバラバラになってしまう。
お客様がいて、従業員がいる。みんなの生活がある。
すぐに体制を立て直す必要があった。

エンジニアとの接触を断たれていた期間が長く、「もしかしたら誰もわかってくれないのではないか」という恐怖はあった。
しかし唯一、この出来事をフラットに見て判断できるはずだと思っていた社員がいた——山根だ。

役員解散後、山根に今までの経緯と自分の心情を全て話した。
会社が非常に危険な状態にあること、取締役への就任を頼んだ。

一連の話を全て聞いた状態で、山根から出てきた第一声は——

「まず、取締役Bの解任を一旦保留にしてもらいたい」

取締役会がこの状態で解散すれば、みんなが混乱する。
立て直せずバラバラになってしまう。
まずは「一旦抜いた刀を納めてほしい」と。

そこから1か月、山根は両者の間を走り回り、良い着地点を見つけるために奔走した。
クライアント業務もある中で、おそらくほぼ寝ずに動いていたと思う。
他にも、間に入って話を聞いてくれたメンバーがいた。

対立する両者の中で、社員たちもどう動けばいいか迷っていたはずだ。
自分の発言が社員たちの判断の邪魔にならないよう、ミスリードしないよう、極力接触を断っていた。

それでも信じていた。自分の決断がこの会社を発展させていく一歩目になると。

一方、解任を保留にされたとはいえ、気持ちを抑えられなかった取締役Bは近い社員にネガティブな発信を続けた。
それが逆に自分の立場を悪くしていった。
常日頃「人は聖人君子のように振る舞うべきだ」という教えを説いていただけに、解任に対するヘイトをなりふり構わずまき散らす姿にがっかりした社員は少なくなかっただろう。

6月初め、形勢は逆転した。
取締役B本人が孤立していき、自ら辞任するという形で、この騒動は着地点を迎えた。



新体制、そしてV字回復へ


その後、山根・丸田を新取締役に迎え、会社の大改革が始まった。

組織の抜本的な見直し、営業・採用戦略の再構築、評価制度の整備、HP刷新、オフィス移転——そして今回の発端となったハラスメントへの研修と対策を施し、スケールさせていくための土台作りに力を注いだ。

その成果は数字に明確に表れている。

今期赤字の営業利益予想だったところを、見事なV字回復で2000万以上の黒字となった。
まさに会社一丸となって取り組んだ結果だと思う。

組織にも明るい変化が生まれている。
新体制後に6名が入社し、2026年4月・5月にもさらに4名の入社が決まっている。

かつて離れたメンバーが出戻りしてくれたケースも生まれた。
中途入社したメンバーが友人を紹介し、それが新たな仲間につながる循環も生まれている。

数字だけでなく、人が戻り、人が集まってくる
——それが今のC4Cを一番よく表している。

もう一度ベンチャーマインドを思い出して、今の10倍のスケールを本気で目指している。

時代に合わせてハラスメントを徹底的に排除し、社員の働きやすさを大切にしながら、技術だけでなく人間性でも評価されるエンジニア集団でありたい。

今、過去一番楽しく毎日仕事をしている。

「ココロ動かす未来をともに」

クライアントのココロを動かし、全ての社員が希望を持てる会社として、爆速で成長させていきたい。



最後に


とんでもない出来事ではあったが、それでも15年間一緒に経営してきた取締役たちには感謝している。
地味で堅実な経営があったからこそ、経営資金には困らなかった。
立て直すことができた。

AI時代の到来で、時代は大きく変わった。会社も大きく変わった。
この波に飲まれないように、毎日を大事にして、強い組織を作り上げていきたい。

この決断が良かったと思えるように。そしてこの騒動が無駄じゃなかったと思えるように。


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代表取締役を降りようとしたあの日|Tsuyoshi
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