チャールズ英国王が米議会演説 NATOなど政治問題に異例の言及 トランプ氏を暗に牽制

4月27日、ホワイトハウスで会話するチャールズ英国王(左)とトランプ米大統領=ワシントン(ロイター=共同)

【ロンドン=黒瀬悦成】米国を国賓訪問中のチャールズ英国王は28日、上下両院合同会議で演説し、米英関係は「これまでになく重要になっている」と述べ、両国の歴史的な絆の深さを強調した。国王はまた、ウクライナ戦争や北大西洋条約機構(NATO)などの政治問題に踏み込んで言及し、米英が価値観を共有する自由主義世界の擁護に連携して取り組んでいくことの重要性を訴えた。

英君主が米議会で演説するのは、1991年の故エリザベス女王に続き2人目。

国王は、ロシアによるウクライナ侵略や米国とイスラエルによるイラン攻撃などを念頭に「欧州から中東に至る紛争は国際社会の重要懸案だ」と指摘した。

その上で、トランプ米大統領がイラン攻撃への直接関与を避ける英国に不満を示し、両国間に亀裂が生じている事態を踏まえ「(米英は)意見の相違があっても、民主主義を守り、全ての人々を危険から守り、国のために命を賭している人々の勇気をたたえるという決意では一致団結している」と述べ、万雷の拍手を浴びた。

また、ウクライナでの「真に公正で永続的な平和の確保」に向け、2001年の米中枢同時テロを受けたテロとの戦いで国際社会が一致団結したときと同様の「揺るぎない決意が必要だ」と述べ、米国がウクライナ支援に背を向けることのないよう暗に訴えた。

NATOに関しては「同盟諸国が互いの防衛を誓い合うことで北米と欧州を共通の敵から守っている」と指摘。トランプ氏が欧州の加盟国からイラン攻撃で協力を得られなかった報復に、NATOの集団防衛義務の不履行を示唆しているのを事実上牽制(けんせい)した。

米英関係については「人類史上最も重要な同盟の一つだ」と指摘する一方、「米国の言葉には重みと意味がある。また、その行動はさらに大きな意味を持つ」と戒めた。

英君主が公の発言で政治問題に具体的に触れるのは異例とされる。国王の演説原稿は英政府との調整を経て作成されることから、演説内容はスターマー英首相がトランプ氏との緊張関係の緩和に向けたメッセージを国王に託したとの指摘も出ている。

一方、トランプ氏は演説に先立つホワイトハウスでの歓迎式典でのあいさつでいつもの英国批判を封印し、「米国には英国ほど近しい友人はいない」などと賛辞を贈った。

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