前橋赤十字病院で、ネットワーク障害により超音波測定器などの検査機器が使えなくなった。困ったことにトラブルは2度再発。根本的な対策が不可欠だった。
現在の病院ではパソコンだけでなく、医療用の検査機器もネットワークにつながり、それらが情報をやり取りしながら医療の現場を支えている。ただそんな検査機器ならではの仕様が、ネットワークトラブルを起こすこともある。今回は検査機器が原因で3度にわたるループ障害▼1が発生し、三たびの対応を経て根本的な対策にまでたどり着いた事例を紹介する。
MRIなど検査機器が利用不可に
トラブルが発生したのは前橋市にある前橋赤十字病院だ。550以上の病床を有する、地域医療において中心的役割を果たす病院である。2026年4月現在の病棟は2018年に竣工したもので、その際に院内LAN(Local Area Network、ラン)も構築した。
同院のネットワークにおいて特徴的な点は、接続する機器の種別に応じてVLAN(Virtual Local Area Network、ブイラン)▼2を区切っていることだ(図1)。具体的には、事務用のパソコンなどインターネットに接続する端末、電子カルテ用端末、検査機器などをそれぞれ別のVLANに接続している。
「用途に応じてVLANを区切ることで、管理しやすくなるメリットがあります。障害が発生した際も影響範囲をVLAN内だけにとどめやすくなります」。同院のネットワークを設計し、本トラブルにも対応した情報システム課係長の河野泰雄さんはこう説明する。
最初にトラブルが発生したのは2023年4月25日のことだ。複数の医療スタッフから河野さんに「検査機器が使えません」と、立て続けに電話がかかってきた(図2)。機器によって具体的な事象は異なるが、多くの機器で検査情報を電子カルテで見られなくなった。検査自体が止まってしまう機器もあった。
発信元は複数のオペ室や検査室で、広い範囲で発生しているようだった。「いずれも検査機器が使えないという報告だったことから、検査機器を接続するVLANで何か起こったのだと疑いました」(河野さん)。