ジャパニーズブレインロットって何?──小4息子と潜ったダジャレ×AIの世界
夏休みの息子が見せてくれた、謎の動画
夏休みの昼下がり、小学4年生の息子がPCを見ながら笑っていた。
「何見てるの?」
覗き込むと、YouTubeで奇妙な動画を見ている。
「ジャパニーズブレインロットっていうんだよ」
息子が教えてくれた動画には、「アルミ缶の上にあるミカン」という文字と、文字通りアルミ缶の上にミカンが乗っている不思議なビジュアルが映し出されていた。
え…これってダジャレ?
続いて「校長は絶好調」。落ち着いているはずの校長先生が、妙にハイテンションで踊っている。
「内臓がないゾウ」では、透明なゾウが悲しそうに立っている。内臓がない…ぞう?
息子は画面を見ながらケタケタ笑っている。
正直、私には何が面白いのかよく分からなかった。でも、息子の笑い声を聞いていると、なんだか楽しそうで。
「ザビャンがね、こういうの作ってるんだよ」
息子が説明を始めた。
「ザビャンは信用できるから!」
「いや、呼び捨てかよ。ザビャンさん、でしょ?」
「あ、うん。ザビャンさん」
息子は訂正したものの、その信頼度の高さは変わらないようだった。続きを聞いてみることにした。
「ザビャンさんのホームページも見てみて!イタリアンブレインロットの図鑑とかも作ってるんだよ」
息子はブラウザのタブを切り替えて、ザビャン氏のサイトを見せてくれた。
以前書いた「イタリアンブレインロット」の日本版?
実は私、少し前に「イタリアンブレインロット」についてnoteで記事を書いたことがある。あの時は「トゥントゥントゥンサフール」や「ボンバルディーロ・クロコディロ」といった、イタリア語の響きを楽しむネットミームについて調べたものだった。
「ブレインロット(Brainrot)」は直訳すると「脳が腐る」。もともとは「くだらないコンテンツを見すぎて脳が腐った状態」を揶揄する海外のネットスラングだが、最近は「中毒性のある面白コンテンツ」というポジティブな意味で使われることが多い。
そのイタリアンブレインロットの日本版が、この「ジャパニーズブレインロット」らしい。
イタリアンが巻き舌や音の響きを楽しむのに対し、ジャパニーズは日本語のダジャレや言葉遊びが中心。なるほど、文化の違いが表れていて面白い。
息子が見せてくれた動画の数々
息子は次々と動画を見せてくれた。
「コーディネートはこーでねーと」では、ファッションショーみたいなキャラが「こうでねえと!」と叫んでいる。
「私マスカラ渡しますから」では、マスカラを持った女性キャラが恩着せがましく登場。「わたし、マスカラ、わたしますから」…音だけ聞くと確かに変だ。
「高ぇ竹」「去るサル」「居ぬイヌ」──短いフレーズが繰り返される。
「いいヅラ買ったと、言いづらかった」では、カツラを被った人物が恥ずかしそうにしている。2回繰り返すだけでストーリーになってる。
15秒〜30秒くらいの短い動画が次々と流れていく。どれもリズミカルな音楽に乗せて、AIで生成されたような奇妙なキャラクターが登場する。
息子が「信用できる」と言った理由を調べてみた
夜、息子が寝た後、私は「ザビャン」氏について調べてみることにした。
まず分かったのは、「ザビャン」こと「The Byan」氏が多才なクリエイターだということ。
ボカロP(ボーカロイド楽曲制作者)
イラストレーター
動画クリエイター
ゲーム開発者
YouTube登録者数は14万人を超え、総再生回数は1億回以上。
ザビャン氏のブログを読んでみると、ジャパニーズブレインロットについて体系的に説明していた:
「イタリアンブレインロットの『ボンバルディーロ・クロコディロ(狙撃手・ワニ)』のように韻を踏む表現は、『校長は絶好調』のようなダジャレに近い響きがあることに気づきました」
なるほど、息子が「信用できる」と言った理由が分かった気がする。ザビャン氏は単にブレインロットの動画を作るだけでなく、イタリアンブレインロットの図鑑を作ったり、その文化的背景を分析したり、日本版への翻案過程を解説したりと、ブレインロットという現象を網羅的に、体系的に整理して伝えている。子どもたちにとっては、ブレインロットのことなら何でも知っている「専門家」のような存在なのだろう。
さらに、ザビャン氏は視聴者参加型の企画も多く実施している:
YouTubeやLIVEVOOMのコメント欄でネタ募集
視聴者のアイデアを実際に画像化
イタリアンブレインロットの図鑑制作
実際、ブログには視聴者から寄せられたアイデアが紹介されていた:
「惑星のオナラわぁくせい」
「猫が寝込んだ」
「バッタがばったん」
「イカいかが?」
ジャパニーズブレインロットは誰が作っているのか
調べてみると、ジャパニーズブレインロットを作っているのはザビャン氏だけではないことが分かった。
ザビャン氏は先駆者の一人として、このムーブメントを盛り上げている。特に氏の場合は:
歌声合成ソフト(VoiSona雨衣など)を駆使した独自の楽曲制作
イタリアンブレインロット風のキャラクター化
体系的な紹介動画の制作
でも、このジャパニーズブレインロット自体は、多くのクリエイターや一般ユーザーが参加して広がっているミームのようだ。TikTokやYouTube Shortsで「#ジャパニーズブレインロット」のタグを見ると、様々な人が独自のダジャレ動画を投稿している。
つまり、みんなで作り上げている文化なんだ。
なぜ子どもたちは夢中になるのか
息子の様子を見ていて、なぜ子どもたちがこんなに夢中になるのか考えてみた。
音の響きが純粋に楽しい
「アルミ缶の上にあるミカン」「コーディネートはこーでねーと」──声に出すと楽しい。リズムがいい。韻を踏んでいる。昔から子どもは言葉遊びが大好きだ。
シンプルな面白さ
「高ぇ竹」みたいに、短いダジャレでも、キャラクター化すると意外な魅力が生まれる。大人は意味を求めがちだが、子どもはシンプルな面白さを素直に楽しめる。
創作への参加
自分でもダジャレを考えて投稿できる。「自分のアイデアが動画になるかも」という期待感は大きな魅力だろう。
親世代の言葉遊びとの共通点
ここまで見て、ふと思った。
これって、私たち親世代が子どもの頃にやっていた言葉遊びの現代版じゃないか?
「パンはパンでも食べられないパンは?」 「布団が吹っ飛んだ」
私も小学生の頃、こんなダジャレで友達と笑っていた記憶がある。
違うのは、それがAIによって映像化され、音楽と組み合わさって、動画として世界中に拡散されているということ。AIは子どもたちにとって「魔法のスケッチブック」みたいなものかもしれない。
「アルミ缶の上にミカンが乗ったらどんな感じ?」
昔なら頭の中で想像するだけだったものが、今はAIが瞬時にビジュアル化してくれる。
ザビャン氏もブログでこう書いている: 「一見くだらなく思えるダジャレでも、イタリアンブレインロット風にキャラクター化すると意外な可愛さや魅力が生まれるのが不思議です」
親として気をつけたいポイント
調査していて気になる点もいくつか見つかった。
誰でも投稿できるからこその注意点
ジャパニーズブレインロットは誰でも作れるからこそ、中には不適切な内容が混じることもある。YouTubeのおすすめに出てくる関連動画は、きちんと確認した方がいい。
視聴時間の管理
「ブレインロット」の名の通り、中毒性は高い。夏休みで時間があるとはいえ、ずっと見続けるのは避けたい。我が家では「動画は1時間につき10分の休憩」のルールを改めて確認した。
クリエイターの見極め
ジャパニーズブレインロットは誰でも作れるからこそ、中には不適切な内容が混じることもある。YouTubeのおすすめに出てくる関連動画は、親としてきちんと確認した方がいい。
親子で一緒に楽しむ方法
せっかく息子が楽しんでいるなら、一緒に楽しむ方法を考えてみた。
1. ダジャレを一緒に考える
「『布団が吹っ飛んだ』ってあるみたい」 「懐かしい!父さんも子どもの頃よく言ってた」
何気ないやり取りだったが、息子とダジャレについて話すのは思った以上に楽しかった。
2. 安全なクリエイターをフォロー
ザビャン氏のような、子ども向けを意識したクリエイターの公式チャンネルをブックマーク。息子と一緒に新作をチェックするのも楽しい。
3. イタリアンとジャパニーズの違いを楽しむ
以前書いたイタリアンブレインロットの記事を見返してみると、音の響きを楽しむイタリアンと、ダジャレで遊ぶジャパニーズの違いが面白い。それぞれの国の言葉遊びが反映されているんだなと感じる。
「わからない」を否定しない
正直言って、ジャパニーズブレインロットの何がそんなに面白いのか、完全には理解できていない。
でも、それでいいと思う。
親が子どもの楽しみを100%理解する必要はない。むしろ「よく分からないけど、楽しそうだね」と受け入れる姿勢の方が大切かもしれない。
夏休みの間、息子と一緒に動画を見ていると、時々「これは面白い!」と思える瞬間がある。
「私マスカラ渡しますから」が頭から離れなくなったり。 「コーディネートはこーでねーと!」と、つい口に出してしまったり。
気づけば私も、ちょっとだけ「脳が腐って」きているのかもしれない。
デジタル時代の言葉遊び
ザビャン氏はブログでこう書いている:
「『ジャパニーズブレインロット』はこれから大きく成長する可能性を秘めています。そして、面白いジャパニーズブレインロットを思いついたら、ぜひSNSやYouTubeで発信してみてください!」
これは単なる一過性の流行ではなく、デジタル時代の新しい言葉遊びの形なのかもしれない。実際、最近では「Yahoo!きっず」や「マイタイピング」といった子ども向けプラットフォームでも取り上げられ、学校の授業で言葉遊びの教材として使われることもあるという。
AIが普及し、誰でも動画を作れる時代。子どもたちの創造力は、私たちの想像を超えた形で表現されていく。
「ザビャンは信用できる」
息子のこの言葉を聞いた時、最初は意味が分からなかったが、調べてみて納得した。子どもたちにとってザビャン氏は、ブレインロットのことなら何でも教えてくれる「物知り博士」のような存在なのだろう。
実際、イタリアンブレインロットの図鑑があったおかげで、息子と「文化の違い」について話すこともできた。情報を体系的に整理してくれる人がいるからこそ、単なる流行が学びのきっかけにもなるんだなと感じた。
次に息子が「これ見て!」と言ってきた時も、まずは一緒に見てみようと思う。
たとえそれが、また謎のダジャレ動画だったとしても。
「アルミ缶の上にあるミカン〜♪」
今日も息子の部屋から動画の音が聞こえてくる。夏休みの思い出の一つに、このジャパニーズブレインロットが刻まれるのかもしれない。
親子で一緒に「脳を腐らせる」夏休みも、悪くない。
お子さんと一緒に、新しい文化を楽しんでみませんか?
ジャパニーズブレインロット、実は元ネタのダジャレは親世代の方が詳しいかもしれません。「アルミ缶の上にあるミカン」「校長は絶好調」「布団が吹っ飛んだ」──どれも聞き覚えがあるのでは?
それがAI時代の新しい表現になっているのを、お子さんと一緒に楽しんでみてください。きっと「これ知ってる!」「懐かしい!」という発見があるはずです。
そして、もしイタリアンブレインロットにも興味があれば、[以前の記事]もぜひご覧ください。世界中で起きている、不思議で楽しい言葉遊びの世界が広がっています。
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