菊は、日本の心です。
WAGYUMAFIAのフラワーカスクが話題になっています。せっかくなので、このパフォーマンスが生まれた背景と、その意味について書かせてください。
菊は、日本の心です。
神戸ビーフの証明書には菊の紋章が刻まれています。日本のパスポートの表紙に描かれているのも菊の紋章です。皇室の象徴であり、日本国憲法の原本を収めた箱にも刻まれている。事実上の国章として、日本という国そのものを象徴する花が菊です。
フラワーカスクは、その菊をゲスト全員で最後の一品——日本の春夏秋冬を彩った和牛ちらし寿司——に捧げる儀式として生まれました。
「食用菊を食材として粗末にしている」という指摘がありました。でも私たちは菊を食材として使っているのではありません。菊を、神戸ビーフの象徴として、日本という国の象徴として、その場にいる全員で料理に捧げる儀式のために使っています。
食べられる米を神前に供え、食べられる塩で土俵を清める。日本にはずっと、食べられるものを「食べる以外の目的」に使う文化がありました。それは粗末にしているのではなく、敬意を表す行為です。菊もそれと同じです。食べるために撒いているのではなく、その場にいる全員で一つの料理を完成させるために撒いている。それは儀式です。
WAGYUMAFIAはホームパーティから始まりました。
友人たちを家に招いて、最高の和牛を囲む。その原点には「惜しみなく、全力で」という精神があります。わさびチャレンジも、金箔の演出も、フラワーカスクも、すべて同じ文脈にあります。その場にいる全員が主役になる体験を作ること——それがWAGYUMAFIAのDNAです。
コロナ禍の話をさせてください。
食用菊のほとんどは、刺身のつまや料理の飾りとして使われ、そのまま捨てられていきます。食べられると知らずに残す人がほとんどです。日本人でもタンポポだと思っている人もいるし、海外ゲストで花を食用として食べられるということを知る人もほぼいない。
2020年、コロナで飲食店が閉まったとき、菊農家は大きな打撃を受けました。成人式、結婚式、葬儀——あらゆるイベントが消え、行き場を失った菊が廃棄され続けました。
そのとき私たちは考えました。「知ってもらうこと」が最大の支援だと。
わさびも同じでした。多くの人が「わさび」と思って食べているものは、実はホースラディッシュに着色した代用品です。本物のわさびを見たことも、食べたこともない人がほとんど。コロナで行き場を失った安曇野のわさび農家のために、私たちは「本物を見せること」を選びました。それがわさびチャレンジの原点です。
あれから数年が経った今も、安曇野の生産者との関係は続いています。本物のわさびが世界に伝わること、わさびが料理の主役になる瞬間を、生産者と一緒に喜んでいます。
菊も同じです。あの神戸ビーフの証明書に刻まれたエンブレムが菊であることを、フラワーカスクを体験したゲストは一生忘れない。日本の国花が菊であることを、食べられる菊があることを、あの夜に初めて知った人がいる。知ってもらうことが、生産者への最大の敬意だと私たちは信じています。
金箔も同じです。金沢の金箔は、国内生産のほぼ100%を金沢が担う日本の伝統工芸です。コロナ禍で観光客が消え、金箔体験の需要が激減し、金沢の職人たちも苦境に立たされました。そのとき私たちは金沢の食用金箔を料理に取り入れました。「なぜ金箔が乗っているのか」——その答えは演出ではなく、金沢の職人への敬意です。
散りゆく姿が、美しい。
日本人は桜を愛します。咲いている姿だけでなく、散りゆく姿もまた美しいと感じる。その感性は世界でも稀有なものです。
花は美しいが、散りゆく姿もまた美しい。フラワーカスクはそのフィナーレの表現でもあります。美しい食材もいつか食べ終わり、消えていく。でも正しい思い出は一生残っていく。その夜に出会った新しい友人が、一生の友になる。
それこそが私たちの理想とするホームパーティの姿であり、食が生み出せるエンターテイメントの究極の姿です。
最後に。
我が家の小さなキッチンで始まって、その後一台のフードトラックへと移り、今や多くの日本のファンや全世界の方々が熱狂してくれているのがWAGYUMAFIAです。和牛をハレの食材に、シャンパンを超えるお祝いの食材にしたい、そうしたら笑顔でみんな食べてくれる。ホームパーティで笑顔にならない人はいない、だからこそ僕らのファンはみんな一つのファミリーになる。そのファミリーのために僕らはもっと驚きと感動を届け続ける。
そしていつか、みんなで一緒に世界一の風景を見にいきたい。


感動しました!! 様々な形での敬意の示し方がある。という浜田さんの根底の考え方が徹底されていてそんな方の料理が食べたくなりました! 私は貧乏人ですし、今行っても場違いになってしまうので。 けどいつかお金を稼ぎここでご飯が食べられるようなハレの日を夢見ながら頑張ります!!