LGBT法案

超党派議連の岩屋毅会長 訴訟活用リスク「ない」

LGBTに関する課題を考える議連総会であいさつする岩屋毅新会長=2月、国会内(矢島康弘撮影)

LGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案について、超党派の「LGBTに関する課題を考える議員連盟」の会長を務める自民党の岩屋毅元防衛相は産経新聞のインタビューに応じ、19日開幕の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)を巡り「議長国として、取り組みが進まないわけにはいかない」と述べ、法制化を進める必要性を強調した。トランスジェンダー女性(生まれつきの性別は男性、性自認は女性)がトイレや更衣室など「女性専用スペース」を利用する可能性は否定した。

──理解増進法案を成立させる必要性について

「性的マイノリティーは苦悩を抱えている人が非常に多く、自殺率も非常に高い。最近はそういう人々も声をあげるようになった。例えば、全国100近い(当事者)団体を束ねる『LGBT法連合会』はさまざまな機会を通じ、自分たちの人権を尊重してもらうための法制が欲しいという運動を盛んに行うようになってきた」

「しかし、一気に(同連合会などが求める)『差別禁止法』にいくほどには国民の理解が十分ではないと思う。まずは性的マイノリティーへの理解を増進するための基本法を作るべきだと考えている」

──広島サミット前の成立を目指している

「前回ドイツでのG7サミットでは性的マイノリティーの問題に各国がしっかりコミットするよううたわれた。議長国として、日本の取り組みがまったく進んでいないというわけにはいかないだろう」

──トランスジェンダー女性と女性の権利が衝突しかねない懸念が指摘される

「誤解があると思う。厚生労働省所管の公衆浴場法のもとでの『管理要領』は、おおむね7歳以上の男女は混浴させてはならないと定めている。その男女は身体的特徴から判断する以外にない。理解増進法によって国民の理解が進むことで、ほかのスペースの使い方についても適切なルール設定が可能になってくると思う」

──トランス女性が女性専用スペースに入る可能性は、法制定の前後で変わらないと

「まったく変わらない。当然、入場を断ることになる。日本の法令に従い、建造物侵入ならびに公然わいせつ罪などに問われることになる」

──トランス女性が女性浴場への入浴を拒否され、訴訟を起こしても理解増進法は使われないと

「根拠にはならない。裁判に活用されることはないと思う」

──自民の党内議論で「性自認」が「性同一性」に修正された

「性自認は、ある程度の一貫性、継続性を持った自身の性に対する認識をいう。一部の人は『性自称』と誤解されているのではないか。『性自認』という言葉に、勝手に性を自称するというニュアンスを感じてしまうので、心配をしているのだろうが、法案上では明確に定義されると思う」

「世界保健機関(WHO)の最新の分類によれば、性同一性障害は病気でも障害でもない『性の健康に関する状態』に変わった。『性同一性』や『性同一性障害』という用語は、その意味で一周遅れになってきている。今や、『gender identity』は性同一性ではなく、性自認と訳することが主流だ。その意味でも(性自認の方が)適切ではないか」

──同性婚や異性装がタブー視された宗教的背景のある欧米諸国などと同列に検討してよいのか

「日本は男色に寛容だっただろうという話がよくされるが、古代ギリシャ、ローマの時代でも同じだ。性のアイデンティティーで悩みを抱え、社会生活上の困難を抱える人にどう対応するかは全く別次元の話だ。日本だけが(同性愛などに)寛容だったから心配する必要がないという論は成り立たないのではないか」

「自民の考えをまとめるにしても、野党の意見を聞く姿勢も大事だ。丁寧に協議し、合意できる最大公約数を見つけてほしい」(聞き手 奥原慎平)


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