元外交官「高市首相には厳しいが、自社の不祥事には甘い」…新聞・テレビが国民の信頼を失った当然の理由
■「記者というより活動家」が実態 これこそ、大半のオールドメディアの実態ではないか。 公正で客観的なジャーナリスト(記者)というよりも、社論をプロモートするアクティビスト(活動家)または社論に抗う気もないサラリーマン。だから、多くの国民が離れていく。 こんな状態では、永田町や霞が関にはびこる媚中勢力を一刀両断するなど、到底期待できない。 日本全国を講演行脚するにつれ、そうした辛口の深掘り評論こそ、多くの国民が求めているものだと肌身で感じてきた。だからこそ、オールドメディアが事あるたびにその危険を強調するネットやSNSでの発信こそが貴重なのだと痛感している。 ■「オールドメディア離れ」は顕著 新聞、通信社、地上波・BS放送など、オールドメディアの関係者と会うたびに聞かされるのは、暗い将来展望だ。かつて栄華を誇った大新聞社の記者からは、購読者数が減り広告も激減してきた話、社員の給与が引き下げられた話、ライバル紙に吸収合併されるかもしれないという話を聞かされる。 通信社からは、地方紙への配信が頼りであるのに、その地方紙自体が若い世代から相手にされず発行部数が激減していること、支局所在地で行っている有識者を招いての懇談会の会員数がなかなか伸びないといった苦悩を聞かされる。 テレビ局からは、インターネット番組のユーチューブ再生回数がしばしば数十万回にも上ることへの羨望と危機感が表明される。 彼らこそがいわば「第四の権力」であるにもかかわらず、メディア自身、国民の厳しいチェックと批判から免れてきたのではないかとの指摘は絶えない。 慰安婦問題で吉田清治の詐話に飛びつき、世紀の誤報を拡散し続けた朝日新聞。 2024年8月、ラジオの国際ニュース生放送中に、中国人スタッフが突然、中国語で「南京大虐殺を忘れるな」「釣魚島(尖閣諸島のこと)は中国の領土」などと発言する事態を許してしまい、生放送で中国共産党のプロパガンダ拡散に一役買ってしまったNHK。 タレントによる局アナへの不祥事対応で世論の厳しい指弾を招いたフジテレビ。 世が世であれば「お家取り潰し」にあっても致し方ないようなマグニチュードの失態を招いていても、どこ吹く風とばかりやり過ごす。 他者の批判にあたる役まわりだけに、厳しい自己批判を実践しなければならないとの峻厳さがオールドメディアには欠けているのではないか? こうした不満が徐々に国民の間に蓄積して、今のメディア不信を招いてきたのではないだろうか? ---------- 山上 信吾(やまがみ・しんご) 前駐オーストラリア特命全権大使 1961年東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、1984年外務省入省。コロンビア大学大学院留学を経て、2000年在ジュネーブ国際機関日本政府代表部一等書記官、その後同参事官。北米二課長、条約課長を務めた後、07年茨城県警本部警務部長という異色の経歴を経て、09年には在英国日本国大使館政務担当公使。国際法局審議官、総合外交政策局審議官(政策企画・国際安全保障担当大使)、日本国際問題研究所所長代行を歴任。その後、17年国際情報統括官、18年経済局長、20年駐オーストラリア日本国特命全権大使に就任。23年末に退官し、現在はTMI総合法律事務所特別顧問等を務めつつ、外交評論活動を展開中。著書に、駐豪大使時代の見聞をまとめた『南半球便り』(文藝春秋企画出版部)、『中国「戦狼外交」と闘う』(文春新書)、『拝米という病』(ワック)、『国家衰退を招いた日本外交の闇』『高市外交の正念場』(いずれも徳間書店)などがある。 ----------
前駐オーストラリア特命全権大使 山上 信吾