過去の社会派ドラマと比較して
社会派ドラマとしては異例のヒットを記録しただけに、過去の社会派ドラマとの比較が語られることもあった。とくに指摘されたのが同じフジテレビの『若者たち』('66年)の影響。親を亡くした兄弟が、学歴社会や貧困などの社会問題に苦悩しながらも強く生きるドラマだ。
「僕としては、『若者たち』はあまり意識してなかったですね。ただ一点だけ、貴子の母親役が『若者たち』の長女役だった佐藤オリエさんなのは、母になった佐藤さんを描きたかったからなんです」
そう明かした後、永山氏は続けた。
「むしろ、その次の作品のほうが『若者たち』を明確に下敷きにしたものになりました」
同じ大多・永山コンビは、『愛という名のもとに』の翌年に再び、月9の枠を任される。『若者たち』のような家族ドラマをベースに、『男はつらいよ』のような下町風のエッセンスを入れて「家族の絆と再生」を描こう―。そう話し合って生まれたのが、『ひとつ屋根の下』だった。
企画の立ち上げ段階から肚は決まっていた。
「江口洋介で寅さんをやろう」
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永山耕三(ながやま・こうぞう)/'56年、東京都生まれ。大学卒業後フジテレビに入社。NY勤務を経て、『東京ラブストーリー』『ロングバケーション』『ラブジェネレーション』など数々のドラマを手掛ける。映画『東京フレンズ The Movie』『バックダンサーズ!』(ともに'06年)では監督を務めた
「週刊現代」2026年4月13日号より