プロットは完全にできあがっていた
鈴木保奈美は『東京ラブストーリー』でブレイク。野島伸司は『101回目のプロポーズ』('91年7月)で奇跡の恋物語を描き、一躍時代の寵児となっていた。
両作品とも最終回の平均視聴率は30%を超えた。その主演女優と脚本家がタッグを組む。さらにプロデューサーには両作を大ヒットさせた大多亮、演出には永山氏という盤石の体制で取り組んだ作品が、『愛という名のもとに』だった。「どんな企画でも通る状態」(永山氏)で、世に放たれた意欲作である。
野島と同じ『フジテレビヤングシナリオ大賞』出身で、『東京ラブストーリー』を手掛けた坂元裕二は着地点を模索しながら物語を創り出すタイプ。一方、野島は最初から構成を完璧に整えているタイプだった。
「エンターテインメント性があり、かつ完成度の高い脚本を自然と書けるのが、野島という作家でした」(永山氏)
『愛という名のもとに』も、プロットが完全にできあがった状態で大多・永山に届けられた。永山氏が言う。
「野島伸司がはじめに持ちこんできたのは「小笠原諸島で暮らす高校生たちの青春群像劇」で、元々は映画のための脚本だったんです。
そこからドラマにしようとなり、ならば舞台を東京都下に、主人公たちを高校生ではなく、大学を卒業して新社会人になる年齢に変更して、同じ大学のボート部の友人たちという設定を加えました。ボート部にしたのは、みんなで力を合わせることで友情が育まれそうな部活、でもありきたりな球技ではない体育会系にしようと考えた結果です。
そこに、アメリカの青春映画『セント・エルモス・ファイアー』('85年)で描かれたような、名門大学を卒業した若者たちの成長物語の要素を入れ込んで、ドラマのかたちが固まっていったんです」