水素の「実力」示すオフロードレース 全長4.8mの屈強な燃料電池車『パイオニア25』とは

公開 : 2025.04.10 18:45

今年後半に開幕する「エクストリームH」は、FCEV技術の可能性を実証することを目的としたオフロード・モータースポーツです。過酷なレースに耐えられるよう、頑丈な車体構造を採用しています。

新たなオフロードレース開幕へ

水素燃料電池は、高度に開発され、厳格にテストされた自動車技術の1つであるが、いまだに大量生産には至っていない。しかし、普及が実現しないというわけではない。

今年後半に開幕予定の新しいオフロード・モータースポーツ選手権「FIAエクストリームHワールドカップ」は、この水素燃料電池技術の真価を実証することを目的としている。

エクストリームHで使用される『パイオニア25』
エクストリームHで使用される『パイオニア25』

レース車両の『パイオニア25(Pioneer 25)』は、持続可能な方法で生産された水素を用いて水素燃料電池で走る。車両だけでなく、イベント会場での活動に必要な電力も定置式燃料電池で発電される。

パイオニア25は、フル電動のエクストリームEのレース車両をベースに、同様の電気駆動系を採用しているが、バッテリーは75kWの水素燃料電池システムに一部置き換えられている。スタックの燃料は、2個のトヨタ・ミライのタンクに700バールで貯蔵された計2kgの圧縮水素ガスだ。

燃料電池は、モーターが必要とする瞬間的なパワーよりも、安定したパワー供給に最も適している。そのため、両者の間に325kW、36kWhのバッテリーを挟み、バッファーとして機能する仕組みとなっている。

バッテリーは450V~850Vで稼働し、前後に配置された2基のモーターに電力を供給し、合計出力543ps(400kW)を生み出す。車両重量2200kgと重いにもかかわらず、最高速度は200km/hで、0-100km/h加速は4.5秒だ。

燃料電池はシンビオ(Symbio)社製だが、参加チームの希望に応じて、各自の燃料電池システムを使用できるようにすることも目標としている。

バッテリーは、2023年に英国オックスフォードシャー州キドリントンに技術センターを開設したフォーテスキューWAE(Fortescue WAE)社が供給する。同社はエクストリームEのバッテリーも手掛けている。

エクストリームHのバッテリーは、エクストリームEで使用されているものよりもやや容量が小さい。これは、主な動力源が燃料電池に切り替わったためである。

エクストリームEと同様、車両はフランス・パリ郊外のテジュリーに拠点を置くスパーク・レーシング・テクノロジー(Spark Racing Technology)社が生産している。

全長4.8m、ホイールベース3.2m(これはBMW 7シリーズとほぼ同じ)で、チューブラー・スペースフレーム・シャシーにフロント衝撃吸収構造を組み合わせたものとなっている。

パイオニア25は、昨年、FIAで義務付けられているシャシークラッシュテストに合格している。エクストリームEの車両と比較すると、強化型シャシー、水素タンク上部のカーボン複合材のクラッシュ構造、そして車体両側のエネルギー吸収複合材構造を備えている。

テストでは高圧および低圧水素システムが取り付けられた。また、テスト開始前に、FIAによるタンクとバッテリーの耐久性テストも完了している。そのため、このレースシリーズは、燃料電池技術の頑強性を実証する上で有益なものとなるはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェシ・クロス

    Jesse Crosse

    役職:技術編集者
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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