Rubyist Lazy Load #とは
2026年4月22日〜24日、RubyKaigi 2026 が北海道の函館で開催されています。それに先駆けて企画された「Rubyist Bulk Reload 」と、Twitter(現X)で一部盛り上がりを見せた「#Rubyist_Lazy_Load 」というハッシュタグについて、いち参加者としての視点から「なにがあったか」を記録しておきます。
RubyKaigiとは / Rubyistとは
RubyKaigi とはプログラミング言語Ruby についての最大のお祭りで、年に1回開催されています。2016年からは首都圏から離れた場所で開催されるようになり、今年は北海道の函館で開催されています。
「Rubyist 」とは「Rubyに対して「お客さん」以上の気持ちを持っている人」と定義されています。
ということで、RubyKaigiにはRubyistが日本各地および世界中から集まるのです。
Rubyist Bulk Reloadとは
RubyKaigiでは、スポンサー企業がさまざまなイベントを企画して、カンファレンスを盛り上げてくれます。その一つとして、昨年松山で開催されたRubyKaigi 2025 にRubyistを運ぶために、「Rubyist Bulk Load 」というイベントがありました。東京の有明から徳島まで、フェリーでRubyistを運び、船旅の時間で交流しよう、という企画です。結果としてこれは大変盛り上がり、とてもいいイベントになったと聞いています(参加すればよかった…)。
その続編として企画されたのが、茨城県の大洗から北海道の苫小牧までのフェリーでRubyistを運ぶ「Rubyist Bulk Reload 」です。18時間の船旅はRubyistの交流の場となり、RubyKaigiへの気持ちを大きく高める…「はず」でした。
何が起きたのか
フェリーの出港は4/20の19:30が予定されていました。大洗港のターミナルにはRubyistが集まり、乗船手続きを待っていた16:53、三陸沖を震源としたマグニチュード7.5の地震 が発生したのです。
地震に伴い三陸から北海道南東の海岸線に津波警報・注意報が出され、到着予定地の苫小牧港にも津波注意報が出ました。大洗港は少し揺れたものの津波の予報はなく、フェリーからは「時間通り出港予定、津波注意報の解除まで到着が遅れる恐れあり」というアナウンスがありました。
そのまま乗船手続きは進み、車も人も乗船して出航を待つ、というタイミングで、イベントの中止が発表されました。到着地に津波のリスクがある状態でイベントを強行することはできないという判断とのことです。
出航直前に下船するというのはフェリー側としても予想外の事態ですし、積み込んだ車を降ろすことは物理的にも時間的にも不可能な状態でした。そのため、「人間は下船して大洗に留まり、、車はフェリーで苫小牧に運ばれる」ということになったのです。
爆誕・Rubyist Lazy Load
主催者側は、大洗から自宅への帰宅や近隣での宿泊を手配するなど、事態の収集にあたっていました。その中でオプションとして浮上したのが、翌日01:45出航の深夜便に徒歩で乗船し、車を追いかける、というプランです。イベントは中止になりましたので、参加者の自己判断・自己責任・自己負担による「単なる船旅」です。
カーフェリーに乗ったことがある方はご存知かと思いますが、車で乗船するときは携行する荷物は最低限にし、車に積んだままにしておきます。ぼくも経験があったので、上着や貴重品は車内に置き、靴をサンダルに履き替えてしまいました。その状態で下船したので、一刻も早く車を取り戻さなくては立ち行かない状況でしたので、最速かつ大洗から移動しなくて済むという理想的なプランでした。
そう思ったRubyistが全部で9名、深夜便に乗り込みました。野良イベント「Rubyist Lazy Load 」の誕生です(ちなみに命名したのはぼくです)。
(ちょっと表記揺れがあった)
深夜便「さんふらわあ・かむい」
深夜便として就航している「さんふらわあ かむい/ぴりか 」は2025年デビューの新造船です。深夜便専用(01:45発 / 19:45着)なので徒歩での乗船は難しく、車でも観光目的ではなかなか使いにくいスケジュールです。こんな事情でもなければなかなか乗る機会のない船なので、貴重な経験になりました。
乗船した「かむい」はすべて個室以上(雑魚寝スペースがない)、レストランはなく、風呂にサウナがついている、という特徴があります。パブリックスペースであるラウンジも広く、イベントのために準備された飲み物・食べ物をありがたくいただきつつ、Rubyistと一緒に長旅を楽しむことができました。
そして函館へ
船は定刻通り19:45に苫小牧港に到着し、車もすぐに引き渡されました。しかし、会場の函館は苫小牧から西に250kmほど。さらに高速道路が舗装工事のため一部通行止めになっていました。さらに、Google Mapsの設定を間違え「有料道路を使わない」ルートに従ってしまい、通行できる区間の前半100km近くを一般道で走る、というミスがあり、宿に到着したのは午前1時過ぎ。自宅を出たのが昨日の13時ですから、実に36時間の長旅になったわけです。
地震だけでなく、翌日には飛行機にもトラブルがあったりして、たどり着くのに苦労したRubyistも多かったようです。北海道は「試される大地」と呼ばれることがありますが、Rubyistたちもしっかり試されることになりましたね。
3日間のRubyKaigiはつつがなく進行し、クロージングキーノートを聴きながらこの記事を書いています。今年はPicoRuby というマイコンボードで動くRuby実装の話が多くて、電子工作をちょっとやった記憶が蘇り、なんかモノを作りたいな!というKaigi Effect が発生しました。
蛇足
技術広報の仕事をずっとやっていた立場として、今回の中止という判断はとてもタフなものだったと想像がつきます。個人的には妥当だったし、英断だったとも思います。現場でスタッフをしていた主催者のみなさんも事態の収集にベストを尽くしてくれましたし、Rubyistはみんな紳士的に行動しました。その結果として混乱は最小限で済んだし、RubyKaigi本編にも影響がありませんでした。ですから、関係者のみなさまへの「楽しい船旅をありがとう」という感謝の言葉で、この記事を締めくくりたいと思います。