フェイスブックとインスタで児童性売買が行われていた…ガーディアンが調査報道の経緯を公開 これぞ「プラットフォーマーに問う」重大事案
メディアの衰退が叫ばれる中で、逆に成長著しいのがイギリスのガーディアンです。「権力に挑む調査報道」を掲げてデジタルで次々と発信し、寄付モデルで高い収益を上げています。
そんなガーディアンが、「現代の権力」プラットフォーマーの闇に切り込んだのが、2023年に報道された “How Facebook and Instagram became marketplaces for child sex trafficking”(フェイスブックとインスタグラムはどのようにして児童性売買の市場となったのか)という記事です。
ガーディアンは2年間に及ぶ取材を敢行。13歳の少女のケースをはじめ、70人以上から証言を集め、裁判所の文書や人身売買のデータなどを調べ上てげました。Meta社はできる限りのことをしていると主張しているが、事態を把握できていないのではないかと詳細に長文記事で伝えたのです。
その後も報道は続きましたが、最初の報道から3年、ガーディアンは一連の取材の内幕を明らかにする記事を配信しました。
それによると、取材の端緒はある情報提供者からの「アメリカで児童の性的虐待を目的とした人身売買が急増している。しかもフェイスブックやインスタを使ったものだ」という密告だったといいます。
役に立ったのは、「Pacer」。アメリカの裁判記録のデータベースです。日本と違って裁判記録に容易にアクセスできるのは、こうした隠れた問題を誰でもチェックできるという点から本当に重要だと改めて思い知らされますね。ただし、児童搾取に関わる事件の多くはテキストで検索もできず、簡単に見られないので、司法省のプレスリリースを基にしてSNSが関係した人身売買事件を時間をかけて洗っていったといいます。
その結果、10代の少女の売買交渉の記録を入手。インスタのストーリー機能がまるで広告のように利用されていたことがわかり、被害者の写真も見つけました。こうした犯罪がMetaによって警告されていた様子はなかったということです。
さらにフェイスブックやインスタの「中の人」、つまり有害なコンテンツの報告と削除にあたっていた元契約社員を捜し当て、証言を得ていきました。さらに人身売買の罪で服役していた人物からも、インスタが彼らにとってのI「プラットフォーム」になっていたという話を引き出しました。このほかにも様々な取材の経緯があるのですが、そちらは記事のほうでお読みください。一連の報道もきっかけになり、Meta社は裁判で巨額の制裁金を科せられ、現在も法廷闘争が続いています。
一方、日本ではこれだけ詐欺広告などが問題になっているにもかかわらず、プラットフォーマーそのものの闇に切り込もうという報道はほとんどといっていいほど見られません。しかしいま、プラットフォームは間違いなく社会のインフラとして機能していて、誰かがチェックする必要があります。私たちスローニュースも、可能な限り続けて行こうと思っています。(熊田安伸)
※スローニュースでの連載『プラットフォーマーに問う』はこちらからどうぞ👇
このコラムは、あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしいという方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツなどをおすすめしています。
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