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水道水源のダムが発がん性のあるPFOAで汚染されてしまった岡山・吉備中央町、何が起きていたのか…キーワードは『活性炭』【1からわかる連載まとめ】

岡山県の吉備中央町では、少なくとも記録の残る3年間、発がん性のあるPFOAに汚染された水道水が流されてきました。水道水源の河平ダムが汚染され、円城浄水場管内の人々が飲んでいたと見られます。

24日、汚染源となった活性炭を置いていた地元の満栄工業が「活性炭の排出元は大手メーカーのダイキン工業(本社・大阪市)だ」として公害調停を岡山県公害審査会に申し立てました

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申し立てをした満栄工業の前田貴広社長(右) 24日 諸永裕司撮影

取材に対しダイキン工業は、「弊社のPFOAの除去処理に使用した活性炭については、岡山県吉備中央町で問題とされた使用済み活性炭の再生処理委託を行っておらず、すべて焼却処理が行われていることを確認しております」と答えています。果たして真相は、どうなのでしょうか。

注目の動きですが、ここに至るまでジャーナリストの諸永裕司さんが、様々な独自の報道をしています。何が問題となり、どういう経緯をたどったのか、これまでの連載記事から振り返りましょう。

汚染が発覚、住民たちの不安が募る

最初の記事は2023年の11月。現地で行われた住民説明会で、血液検査を求める住民たちの声を伝えました。当時、町が設けた「健康影響対策委員会」では、国立環境研究所の中山祥嗣室長が「血中濃度を測る必要はない」という意見で議論をリードしていたことも報じています。

しかし、住民たちの不安は尽きません。東京から自然豊かな町に移り住んだ後、流産を繰り返した女性など、突然、水道水を飲むなと言われて動揺する住民たちの様子を取材して発信しました。

さらに、町は当初、2020年度は水質検査をしていないと答えていたのに、実は800ナノグラムを検出しながら、「1ナノグラム未満」と報告していたことが発覚します。単純ミスなのか、それとも隠蔽しようとしたのか。諸永さんは当時の担当者を直撃します。それにどう答えたのか。

衝撃の血中濃度データが発覚、全国初の調査へ

2023年の11月末、いまだ行政が動かない中で、不安を募らせる住民のうち27人が、京大の小泉昭夫・名誉教授と原田浩二准教授による血液検査を受けました。血液中に含まれる4種類のPFASの平均値は186ナノグラムという高い値を示し、その大半はPFOAでした。水道水に含まれていたのはほとんどがPFOAだったことから、やはり飲み水から体内に取り込んだとみられることを、12月に報じています。

こうしたことを受け、吉備中央町は行政としては全国で初となる血液検査を実施することを決めました。2024年3月に予算案に検査費用の6120万円を計上したことを、独自に報じています。

この血液検査の直前に夫をガンで亡くした女性は、「すべてPFOAのせいというつもりもないし、因果関係はわかりません。ただ、まったく関係ないとは思えないのです」と苦しい胸の内を語っていました。

汚染ルートの「死角」が発覚か

それにしても、汚染源がないはずの場所が、PFOAに汚染されたのはなぜなのか。従来、汚染源として考えられてきたのは、PFOAを含む泡消火剤を使っていた基地やフッ素樹脂などを製造していた工場です。しかし、吉備中央町にはそれに当たるものが存在しません。

そんな中、まったくの死角だった汚染の「拡散ルート」として「活性炭」が浮かび上がりました。今回、調停を申し立てた満栄工業が野積みにしていた活性炭からPFOAがしみ出した可能性が出てきたのです。活性炭は、PFOAを除去するために使われています。

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京都大学の原田准教授(当時)が満栄工業から提供を受けた活性炭を調べたところ、きわめて高い濃度のPFOAと希少な4種類のPFASが含まれていることが判明。ダイキン工業の淀川製作所近くのサンプルからは、問題の使用済み活性炭に含まれていたのと同じ、PFOAと4種類の希少なPFASが検出されました。

ダイキンは関係を否定しますが、原田准教授は「PFASの中でもきわめて稀な物質の組み合わせが、大阪と岡山でともに検出されたのは偶然とは考えづらい」と指摘していました。2024年12月の報道です。

このほか、ダイキンが「活性炭による汚染処理方法」の特許を取得していたことや、今回の問題を受けて環境省が全国レベルでの活性炭の実態調査に乗り出すことも伝えています。

大気汚染の恐れも

さらに満栄工業がPFOAを含んだ活性炭を再生する際、環境省の推奨する温度より低い温度で焼却し、PFOAが分解されないまま大気中に放出されていたおそれがあることも、元従業員など関係者の証言で明らかになりました。

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環境省が設けた「PFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項」では、分解して無害化するための燃焼温度はPFOSで850度、PFOAは1100度が推奨されています。ところが、同社にある2基の炉の燃焼温度は「850度」で、PFOAが含まれていれば分解されないまま放出され、工場周辺に大気汚染が拡散していたと考えられます。

「活性炭」汚染ルートが示すもの

今回の問題が示唆しているのは、PFASは使用済み活性炭をはじめとした廃棄物処理の規制の網から漏れているということです。つまり、岡山に限らず、規制の空白をつく形で汚染がどこで広がっていても不思議ではないのです。

実際、ダイキン工業淀川製作所近くの地下水から検出された特殊なPFASが、京都府綾部市や、三重県四日市市でも検出されたことが判明しています。

全国で報告されているPFASによる汚染、その解明には汚染源の「上流」まで遡ることが必須となっています。

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諸永さんの著書『灰色の鎖 PFAS汚染列島』もどうぞ

また、筆者の諸永さんが連載をまとめた『灰色の鎖 PFAS汚染列島』も文藝春秋社から発売されています。今回の吉備中央町の問題は、第1章に詳しく書かれていますので、そちらもどうぞ。

スローニュースでは引き続き、この問題を報じていいきます。(熊田安伸)

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