金属製の花器などの仏具が盗まれた本堂で、木製の本尊に手を合わせる秦住職=珠洲市三崎町大屋

  ●おりん、ろうそく立て 換金目的か

 珠洲、輪島市の寺院3カ所で、金属製仏具の盗難被害が起きていることが、23日までに分かった。被害額は計600万円を超える。銅の価格が高騰する中、盗まれた仏具は銅を含む真ちゅう製が多く、換金目的とみられる。能登では神社で屋根の銅板盗が相次いでおり、寺も狙われていることが浮き彫りに。被害届を受けた珠洲署、輪島署は警戒を強めている。

  ●木造本尊は無事

 珠洲市三崎町大屋の真宗大谷派嚴徳寺(ごんとくじ)では、4月上旬、本堂から大型のおりん「経金(きょうきん)」やろうそく立て、花器など約20点が持ち出されていることに気付いた。いずれも金属製で、木造の本尊阿弥陀如来像は無事だった。

 秦(はた)賢良住職(70)によると、花器は高さ約40センチ、重量は20キロ以上あり「長く持ち歩くことはできず、寺を留守にした夜に、境内に車を乗り入れて盗んだのではないか」と推測する。

 集落は地震の前まで40世帯ほどが暮らしていたが、多くが避難して現在は20世帯ほどに減っているという。

 寺は地震で本堂が中規模半壊、庫裏(くり)が半壊と判定された。門徒も甚大な被害を受け、寄付を募ることは難しく、仏具は知り合いの寺から借りたり、譲ってもらったりしてそろえる予定だ。

 被害の再発防止へ防犯カメラの設置などの対策を検討している。秦住職は「仏様の目の前で持ち去ることが人として信じられない」と嘆いた。

 地震と豪雨で二重被災した輪島市郊外の寺でも4月上旬、ろうそく立てなど10点以上が盗まれた。地震で倒れて壊れた仏具は盗まれておらず、この寺の住職は「状態がいい仏具だけが狙われたので、そのまま転売することを狙っているのかもしれない」と話した。

 寺の周辺の民家でも、同時期に仏具のほか、鎌や蛇口など金属製品が盗まれる被害が複数あったという。

 能登では昨年末から今年4月にかけ、中能登町以北の神社11社で銅板の盗難被害が判明している。

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