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封鎖法の現代的意義 浦口 薫(著) - 大阪大学出版会
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封鎖法の現代的意義 (フウサホウノゲンダイテキイギ) 長距離封鎖の再評価と地理的限定 (チョウキョリフウサノサイヒョウカトチリテキゲンテイ)

社会科学
A5判
重さ 700g
366ページ
上製
定価 4,400 円+税   4,840 円(税込)
ISBN
978-4-87259-775-2   COPY
ISBN 13
9784872597752   COPY
ISBN 10h
4-87259-775-3   COPY
ISBN 10
4872597753   COPY
出版者記号
87259   COPY
Cコード
C3032  
3:専門 0:単行本 32:法律
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年3月31日
書店発売日
登録日
2023年3月27日
最終更新日
2023年4月24日

書評掲載情報

2023-06-25 読売新聞  朝刊
評者: 小泉悠(東京大学講師・安全保障研究者)
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紹介

2度の世界大戦で英国が実施した長距離封鎖は合法だったのか。そして、海上封鎖は現代でも有効な海戦の方法であり続けているのか。この2つの疑問が本書の出発点となっている。
 本書の主たる分析対象である海上封鎖は、戦時に敵国通商を遮断する海戦の方法の1つであり、主力軍艦同士の砲撃戦のような華々しいものではなく、軍艦が商船を停船させ船内を捜索するような地味な戦いの累積である。一方、敵国港には様々な国の船舶が出入りして貿易が行われているため、敵国商船のみでなく、これら全てを統制する必要が生じる。
戦時の敵国通商は、交戦国以外には自国繁栄に必須である一方、他方交戦国には敵国戦力を増大させ敗北の原因となり得る存在である。すなわち、戦時通商の問題は、一方では「海洋は戦時にも万人共通の利用に供される」との主張に、他方では「戦時には交戦国は敵国通商を遮断する権利がある」との主張に支えられている。両者の対立の結果、均衡点に海上封鎖と海上捕獲の2つが成立した。前者は全ての船舶・貨物の没収を認める代わりに実施海域を制限し、後者はあらゆる海域での措置を認める代わりに対象船舶・貨物の国籍・種類を制限する。本書は前者を分析対象とし、海上封鎖がいかなるもので法的にいかに説明し得るかを分析し、その現代的意義を考察する。
 海上封鎖はいかなる条件の下で許容されるかが、常に論争の焦点になってきた。その条件は、それぞれの時代の海戦と海運をめぐる環境の変化の影響を受けて常に変化してきたが、一方で一貫して実効性という概念で説明されてきた。実効性とは、実際に通航を阻止できる兵力の配備を伴って初めて海上封鎖が合法となるというものであり、国家実行の蓄積の中で徐々にその性質が明らかとなってきた概念である。実効性は1856年のパリ宣言及び1909年のロンドン宣言に明文化されたが、両宣言を中心とする封鎖法が、近接封鎖、すなわち、被封鎖沿岸の近傍に封鎖兵力を配備する海上封鎖を要求していたのか、又は、長距離封鎖、すなわち、封鎖沿岸から相当に離れた位置で実施される海上封鎖を許容していたかは、論争が続いている。
 さらに20世紀に入ると、海戦及び海運環境の変化、交戦国側の主張の優勢及び第2次大戦後の戦争違法化といった新たな状況が出現し、海上封鎖の実施にいかなる影響を及ぼしているかが明らかでない。これら状況が封鎖法を変化させたか否かについては、元々の封鎖法が近接封鎖を要求していたのか否かで異なる。
これらの問題が明らかでないために、現代の海上封鎖がいかなるもので、法的にどのような説明が可能であるかは明らかではなく、さらには現代では海上封鎖は検討に値する海戦の方法ではなくなったと評する多くの論者が登場した。
 本書は、17世紀以降今日に至る国家実行、判例及び学説を網羅的に分析して長距離封鎖の合法性を評価するとともに、20世紀以降に生起した状況が及ぼした影響の観点から封鎖法を捉え直し、その現代的意義を明らかにし、過去及び今後設定される海上封鎖に統一的な評価基準を提供しようと試みたものである。

目次

序章 ―問題の所在―
1 現代の封鎖法に残る不明確性
2 海上封鎖の捉え方に関する見解対立
3 本書の目的、意義及び構成
4 用語法

第1部 海上封鎖の理論分析

第1章 海上封鎖の概念
第1節 海上封鎖の特徴
第2節 類似措置との相違
第3節 小括:本著における海上封鎖の定義

第2章 海上封鎖の中心的要件たる実効性
第1節 海上封鎖の実効性の法的性質
第2節 海上封鎖の実効性の意義
第3節 妥協理論の妥当性
第4節 小 括

第2部 黎明期からロンドン宣言に至るまでの海上封鎖の実効性

第3章 黎明期から第2次武装中立に至る国家実行の蓄積と海上封鎖の大原則の萌芽
第1節 海上封鎖制度の誕生に至る背景
第2節  黎明期から第2次武装中立に至るまでの海上封鎖をめぐる環境
第3節 海上封鎖を規律する大原則の萌芽
第4節 第1次武装中立における碇泊封鎖の明示
第5節 第2次武装中立における武装中立同盟側の敗北
第6節 小 括

第4章 パリ宣言における実効性の原則の明文化
第1節 ナポレオン戦争からパリ宣言に至る海上封鎖の概観
第2節 19世紀中葉における木造帆船時代の終焉
第3節 19世紀前半から中葉にかけての実効性に関する判例の蓄積
第4節 パリ宣言における実効性
第5節 小 括

第5章 ロンドン宣言における封鎖法の完成
第1節 南北戦争からロンドン宣言に至る海上封鎖の概観
第2節 判例蓄積を通じた実効性概念の解明
第3節 海戦の中核としての水上艦の地位の継続
第4節 ロンドン海軍会議を通じた実効性概念の解明とその限界
第5節 小 括

第3部 海上封鎖の地理的限定の現代的様相

第6章 両次世界大戦における長距離封鎖の評価
第1節 両次世界大戦における海上封鎖をめぐる状況
第2節 両次世界大戦での海戦環境の激変
第3節 両次世界大戦中の近接封鎖事例における実効性
第4節 第1次世界大戦の長距離封鎖
第5節 第2次世界大戦の長距離封鎖
第6節 小 括

第7章 海上封鎖をめぐる第2 次世界大戦後の新展開
第1節 第2次世界大戦後の海上封鎖をめぐる状況
第2節 長距離封鎖の必然化と海上捕獲実施上の課題の出現
第3節 交戦国側の主張の優勢が海上封鎖に及ぼす影響
第4節 戦争違法化が海上封鎖に及ぼす影響
第5節 海上封鎖の可能性がある第2次世界大戦後の国家実行
第6節 武力紛争非当事国船舶への干渉が許容される範囲を示す国家実行
第7節 小 括

終章 ―封鎖法の現代的意義―
1 パリ宣言及びロンドン宣言における実効性の性質と長距離封鎖の許容
2 両次大戦後に出現した事実的及び法的状況が海上封鎖に及ぼした影響
3 現代における海上封鎖の意義
4 若干の示唆 -武力紛争法の目的の観点から-

著者プロフィール

浦口 薫  (ウラグチ カオル)  (

【略歴】
1993年 防衛大学校卒業(国際関係学科)、海上自衛隊入隊
  その後、潜水艦部隊、統合幕僚監部、情報本部等で勤務
2022年 防衛大学校国防論教育室准教授

【研究歴】
 2006年 防衛大学校総合安全保障研究科前期課程修了
 2017年 防衛大学校総合安全保障研究科後期課程満期退学
 2017-2019年 中曽根平和研究所主任研究員
 2020年 大阪大学より学位授与(博士(国際公共政策))

上記内容は本書刊行時のものです。