「盗んでいるという自覚がない」遺品整理の現場に行きたがる外国人が急増。危うくても“簡単には切れない”裏事情
「無報酬でもいいから現場に入れてほしい」。そんな不審な電話が、遺品整理業者のもとに相次いでいるという。背景にあるのは、現金や貴金属、家電など“換金できる遺品”が眠る現場ならではの事情だ。実際、外国人スタッフによる持ち去りや、安く働かせたい業者側との利害一致も起きている。だが問題は、単なる窃盗では片づけられない。慢性的な人手不足と低価格競争のなかで、外国人労働者を受け入れざるを得ない業界構造があるからだ。遺品整理と解体現場に広がる、危うい実態を追った。
外国人が前のめりに参入する遺品整理業界
「『タダでいいから、回収のメンバーに入れてくれないか』という営業電話が、ここ最近、頻繁にかかってくるようになったんです」 そう話すのは、関西の遺品整理業者で、業界団体にも深く関わるA氏。今この業界には、外国人が前のめりに参入してきているという。 「ウチの系列会社で倉庫作業員を募集したら、なぜか『無報酬でいいから遺品整理の現場に行きたい』と言ってくる外国人が大勢来た。そこで、これはおかしいとピンときたんですよ。泥棒しようとしてるんちゃうかと」 A氏の勘は当たり、全国の遺品整理の現場では、外国人スタッフが遺品を持ち去る事例が相次いでおり問題化。中国人やベトナム人の事例が挙がることが多いが、関西ではそれに加えて中東系が目立つと話す。 もちろん、遺族の許可なく遺品を持ち出すのは犯罪だ。それでも後を絶たないのは、遺品整理の現場が、いわば“宝の山”になり得るからだ。A氏は「何も出てこない日なんてない」と言う。
現金が数千万円単位で見つかることも!
貴金属やブランド品、家電、古書といった換金しやすい品だけではない。現金が数千万円単位で見つかることすらある。しかも、部屋に何があったかを遺族が完全に把握しているとは限らず、物がなくなっても、それが盗まれたのか作業の過程で処分されたのかが見分けにくい。 そのため、この業界には以前から、窃盗や転売を目的に遺品整理業を装う業者が少なくなかった。誰もが誠実とは限らない現場であることは、業界内でも半ば共通認識になっている。そこへ外国人も流れ込んできているというのが実情だ。 ただしA氏は、外国人スタッフの問題を、単純な窃盗の話だけでは片づけられないと見ている。彼らのなかには、そもそも自分が「盗んでいる」という認識を持っていない者が少なくないというのだ。 「例えば家電は、製造から5年未満のものが買い取り対象になりやすい。でも外国人はそういう相場感がわからないから、手当たり次第に持っていく傾向がある。盗んだ品の処分も、自分の荷物として古物商に持ち込むケースが多いみたいです。しかも本人に盗品という自覚がないから、買い取りに必要な身分証も、住所や電話番号も普通に出す。だから取引があっさり成立してしまうんです」