唐津神社の参道にある和食店「茶寮 平」で長く料理を作っていたUさんの勤務最終日に集った人たち。左端が中川さん=唐津市南城内

知人の父親の船で釣りに出かけた中川淳一郎さん=玄海町

唐津焼の酒器で地酒が味わえるバー「唐津ちょこバル」でアルバイトを始めた中川淳一郎さん=唐津市呉服町

 最近感じるのが、佐賀の人は人生を変える時にバシッと決断するな、ということです。知人のツテで突然意外な仕事を始めたり、古民家を借りて飲食店を開始する人と多く会ってきました。転職サイトに登録し、スカウトを待ち、綿密に条件面を定めたうえで行動を起こすのが都会のやり方。しかし、私が会ってきた人生を変えた佐賀人は「いい物件が見つかったので店を開いた」「仲がいい人に誘われた」といった理由で人生を変える。

 ハウスミカン栽培をやめた農家の友人男性は米や野菜は作り続けているものの、その後、港に接岸する大型船にロープを付ける仕事を獲得しました。さらには伊万里市のホールの音響・照明管理の仕事を知人からのツテで獲得し、日々忙しくしています。

 なんと剛毅なんだ、と臆病な私など思うわけですが、その剛毅(ごうき)さは実家・親戚の存在と地元コミュニティーが濃厚なことが影響しているのではなかろうか。あとは子どもを3~4人育てている人とも会ってきましたが、その子たちが大人になったらその家は親戚が増え、より強くなるでしょう。つまり、セーフティーネットがしっかりとしているんですよね。

 実際、2024年10月1日時点での15歳未満の割合で日本一は沖縄の15・8%、次いで滋賀と佐賀が12・7%で続きます。最も低いのは、秋田県の8・8%。

 私自身は妻との二人暮らしで子どもはいません。そして、佐賀に親戚もいない。だから地縁がありセーフティーネットもしっかりしている人々を見ていると「われわれは今後の人生大丈夫なのだろうか…」という不安に駆られるようになってしまいました。

 関東の知人の中には子どもがいない人が多い。だからそれが普通のことだと思っていたし、自由な人生を手に入れられると思っていたのですが、佐賀に来て考えが変わりました。家族・親戚の縁があることにより、大胆な決断もできるし、人生をガラリと変えられる。

 孫がいる男性は、娘さんから孫の送迎や面倒を見てもらうお願いをされると相好を崩して「よかよー!」と言い、「孫と一緒にいる時が一番楽しいばい」と語ります。

 正直今、私は焦っています。今年53歳になりますが、果たしてわれわれ夫婦の地元・東京と横浜から離れ、親戚も子どももいない人生で果たして今後の人生、何か目標を持てるのだろうか。セーフティーネットがない人生を「無頼派」的にやってきましたが、実はそれは不幸だったのではないか。

 父親が保有している船で釣りに連れていってくれる人、長男が18歳で免許を取ったため中古車を躊躇(ちゅうちょ)なく買ってあげる人、家族団らんのためにピザ窯や薪(まき)ストーブを注文住宅に導入するさまを見ると家族の存在は重要だといまさらながら感じてしまいました。

 さて、そんな状況ですが、今回のメイン写真は唐津神社の参道にある和食の店「茶寮 平」(さりょうひら)で長きにわたって料理を作っていたUさんの勤務最終日に皆で集った写真です。やりきった感の表情が良かった。Uさんは、店に立つ仕事はもうキツイものの、時々料理は作りに来るということ。この自由さもイイ!

 そうした焦りもあり、最近唐津市呉服町の「唐津ちょこバル」で毎週金曜日の15時からバイトを開始し、人生を少し変えました。「縁」を作らなければ…。それを自然と持っている人々への羨望(せんぼう)もあります。

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 次回は3月8日(日)に掲載します。