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埋もれた哲学者シェリングに脚光 「自然」と「人間」分けない思想

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女屋泰之
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 世界史でも学ぶ「ドイツ観念論」という哲学の潮流の中で、カントらビッグネームの影に埋もれがちだったシェリング(1775~1854)。生誕250年だった2025年に「現代思想」と「思想」の雑誌2誌が特集を組み、関連の研究書も近年相次ぎ刊行されるなど再評価の機運が高まっている。研究者が「シェリング・ルネサンス」と表現する状況は、なぜ生まれているのか。

 「現代思想」は25年、総勢29人の執筆陣による400ページ超の臨時の特集号を刊行した。同誌ではシェリングが、2000年代以降に生まれた二つの哲学の潮流に影響を与えたことが紹介されている。一つは、英国の哲学者イアン・ハミルトン・グラントらが連なる「思弁的実在論」。もう一つは、広範な言論活動で知られるドイツの哲学者マルクス・ガブリエルが主な論客である「新実在論」だ。

 どちらも20世紀のポストモダン思想が世界を考察する確たる基盤を失い、人間から見た解釈や、人間との関係性から考察する哲学に陥ったと非難する。人間を前提にせず事物そのものに迫る哲学を再興しようと試み、人間と「自然」の関係について独自の考察をしたシェリングに、新たな思索のヒントを見いだそうとしている。

 そのシェリングは、18~19世紀の同時代を生きたカントやヘーゲルといったドイツ古典哲学の有名人に比べると解説書も少なく、一般に知られているとは言い難い。かつてはカントからヘーゲルに至る哲学史の「つなぎ」のように語られることさえあった。しかし哲学者の浅沼光樹さんは、「現代思想に多大な影響を与えているカントとヘーゲルを乗り越えるヒントが、ほぼ同時代に2人と格闘したシェリングにはある」と話す。

 どういうことか。18~19…

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