🕶️

【OSS比較】MattermostからRocket.Chatに乗り換えるべき?4年運用して見えた判断軸

に公開

はじめに

弊社では Mattermost を約4年間 運用してきました。
日々のやり取りから勤怠管理、Bot連携まで「社内コミュニケーションの土台」として十分に役立ってくれています。

一方で、ここ最近になって「外部ユーザーとのコミュニケーションも一元化したい」「運用コストや拡張の作り方を見直したい」「OSSとしての扱い(ライセンス境界や無料枠)を改めて整理したい」という思いもあり他のslack cloneを比較してみることにしました。
そこで候補に上がったのが Rocket.Chat
“乗り換えるべきか迷って比較してみた”のがこの記事です。

この記事では、ITエンジニア視点で OSSとしての扱いやすさ を軸に、両者を細かく比較します。
結論だけでなく「どの条件なら乗り換え判断がしやすいか」まで落とし込みます。

まず結論:どう選ぶ?

  • Rocket.Chat が刺さるケース

    • 社外ユーザー/顧客との会話も含めて統合したい(オムニチャネル、Livechat)
    • フェデレーション(分散連携)も視野に入れている
    • 「チャット+α」を多機能寄りで攻めたい(ただし無料枠でできる範囲は要確認)
  • Mattermost を継続しやすいケース

    • 社内向けChatOps/DevOpsで、シンプルに堅牢運用したい
    • Webhook / Slash command / Pluginで業務に“寄せる”運用がしたい
    • 現状の運用が安定していて、移行コストを回収できるほどの目的がまだ弱い

全体像の比較表

観点 Rocket.Chat Mattermost
OSSの形 Community Edition(OSS)と、Enterprise領域(商用)で境界がある Team Edition(OSS)と、商用領域で境界がある
基本アーキテクチャ Node.js + MongoDB Go + PostgreSQL(サーバは単一バイナリ)
得意領域 オムニチャネル / 外部コミュニケーション / 多機能寄り 社内コラボ / ChatOps / 運用に寄せた統合
拡張 Apps-Engine(TypeScript中心) Webhook/Slash/Plugin(Go)
音声・画面共有 製品側での機能拡張が進んでいる(版によって差あり) Callsプラグインで実現
フェデレーション 仕組みとして前に出している 標準の方向性としては薄め

OSSとして一番大事:ライセンスと“境界線”

ここは「機能」より先に確認すべきです。
理由はシンプルで、後から境界を見誤っていると、社内ルール(再配布や委託範囲)や監査で詰むからです。

Rocket.Chat:OSSと商用領域の線引きが前提

Rocket.ChatはOSSとして使えますが、エンタープライズ向け機能は別のライセンス領域として扱われます。
そのため、フォークして配布する、組み込み提供する、といったケースでは「含めて良いもの/ダメなもの」を明確にし、運用ルールに落とす必要があります。

実務のポイント

  • どこまでがOSS領域かを「ディレクトリ単位」「機能単位」で整理しておく
  • 将来の外販・委託・子会社展開の可能性があるなら、早めに法務・監査観点で線引きを合意する

Mattermost:OSS版はあるが、周辺機能やプラン境界の影響が大きい

MattermostもOSSとして利用できますが、周辺機能(プラグインや運用機能)を含めると、プランやライセンス境界が効いてきます。

実務のポイント

  • “サーバ本体がOSS”で止めず、必要機能がどの領域(OSS/商用)に属するかをPoCで確かめる
  • 導入するプラグイン単位でライセンス棚卸し(社内規約に沿うか)をする

2025年以降の確認ポイント

Mattermostの「無料枠」前提は再確認

ここ数年、OSSコミュニケーションツール全般で“無料枠”の前提が揺れています。Mattermostも例外ではなく、無償利用の形や制限が整理されました。

ここらへんが落とし穴でしょうか?

  • 「昔は無料でできていた」が、今の前提とズレている可能性
  • Playbooksなど“運用に効く機能”がプラン差で効いてくる可能性
  • 乗り換えより先に「今の運用の前提」を棚卸しすると、判断が早くなります

アーキテクチャと運用

日々の安定稼働に効く差

ざっくり構成図(最小構成)

運用の感触(現場目線)

Rocket.Chat

  • 多機能な分、設定項目や統合ポイントも増えやすい
  • MongoDB運用に慣れていない組織だと、バックアップ・監視・チューニングの設計が最初の壁になることがある

Mattermost

  • 構成が比較的シンプルで、運用パターンを固めやすい
  • ただし、プラグインや統合を増やすと結局複雑になる(ここは“使い方次第”)

機能比較

得意分野が違うので、要件で勝負が決まる

Rocket.Chat:外部連携・多チャネル統合に強い

  • 顧客対応や外部ユーザーとのやり取りをチャットに寄せたい場合、Rocket.Chatの思想は噛み合いやすいです
  • 「社内チャット」だけでなく「社外との接点」までまとめたいなら有力候補になります

Mattermost:社内運用(ChatOps)に強い

  • WebhookやSlash commandで「会話を起点に運用を回す」導線が強い
  • “障害対応のテンプレ化” “デプロイ通知” “承認フローの起点” など、社内の運用習慣に寄せやすいのが魅力です

拡張性

作り方が違う(=チームの得意に合わせて選べる)

Rocket.Chat

Apps-Engine(TypeScript)でアプリ的に拡張

  • Web開発が得意なチームなら入りやすい
  • 一方で、アプリの配布や運用が「無料枠でどこまで可能か」は事前確認が必要です
    (“作れる”と“運用できる”は別問題になりがち)

Mattermost

Webhook/Slash → 必要ならPlugin(Go)へ段階的に

  • まずHTTP連携で小さく始めやすい
  • 本格的な統合が必要になったらPluginとして作り込める
  • 既に4年運用しているなら、この資産(連携・運用手順)が強力な“乗り換えコスト”になります

すぐ試せる:最小docker-compose例(PoC用)

本番ではK8s/HelmやReverse Proxyが絡みますが、比較検証の入口として最小例を置いておきます。

Rocket.Chat(MongoDB)

services:
  mongo:
    image: mongo:6
    command: ["mongod", "--oplogSize", "128", "--replSet", "rs0"]
    volumes:
      - mongo:/data/db

  rocketchat:
    image: rocket.chat:latest
    depends_on: [mongo]
    environment:
      - MONGO_URL=mongodb://mongo:27017/rocketchat?replicaSet=rs0
      - MONGO_OPLOG_URL=mongodb://mongo:27017/local?replicaSet=rs0
      - ROOT_URL=http://localhost:3000
      - PORT=3000
    ports:
      - "3000:3000"

volumes:
  mongo:

Mattermost(PostgreSQL)

services:
  db:
    image: postgres:16
    environment:
      - POSTGRES_USER=mm
      - POSTGRES_PASSWORD=mm
      - POSTGRES_DB=mattermost
    volumes:
      - pg:/var/lib/postgresql/data

  mattermost:
    image: mattermost/mattermost-enterprise-edition:latest
    depends_on: [db]
    environment:
      - MM_SQLSETTINGS_DRIVERNAME=postgres
      - MM_SQLSETTINGS_DATASOURCE=postgres://mm:mm@db:5432/mattermost?sslmode=disable&connect_timeout=10
    ports:
      - "8065:8065"

volumes:
  pg:

乗り換え判断のためのチェックリスト

乗り換えは「機能差」より 移行コストの回収 がすべてです。ここを定量化すると決めやすくなります。

  1. なぜ今、乗り換えたいのか?(目的の明文化)

    • 外部ユーザーとの統合が必要?
    • 監査・ライセンス・無料枠の前提が変わった?
    • 拡張開発のスタックを揃えたい?
  2. 現行Mattermost資産の棚卸し

    • Webhook/Slash/Pluginの数、運用Runbook、権限設計、通知ルール
    • “これを再現するのに何人日かかるか” を先に見積もる
  3. Rocket.Chatで“目的が達成できるか”のPoC

    • 外部連携(オムニチャネル的運用)に価値が出るか
    • 運用(DB/監視/バックアップ)が組織に合うか
    • 必須機能が無料枠で足りるか/商用が必要か
  4. 移行の難所を先に潰す

    • 既存チャンネル/メッセージ移行、認証(SSO)、権限、通知、Bot
    • 「移行できる」より「移行後に同じ運用が回るか」を重視

まとめ

  • Rocket.Chat は「社外も含めた多チャネル統合」や「多機能・拡張志向」が強み。外部コミュニケーションをチャット基盤に寄せたいなら検討価値が高いです。
  • Mattermost は「社内運用に寄せる」「ChatOpsを育てる」方向で強く、4年間の運用資産があるなら、その価値はかなり大きいです。

弊社のように既にMattermostを長く運用している場合、乗り換えの判断はこう整理できます。

  • “外部対応を含む統合”が明確な目的なら
    • Rocket.ChatのPoCを本気でやる価値あり
  • 目的が“なんとなく新しくしたい”に近いなら
    • まずMattermost運用の棚卸しと改善の方がROIが高いことが多い
合同会社カメレオンミーム Tech Blog

Discussion

ログインするとコメントできます