【OSS比較】MattermostからRocket.Chatに乗り換えるべき?4年運用して見えた判断軸
はじめに
弊社では Mattermost を約4年間 運用してきました。
日々のやり取りから勤怠管理、Bot連携まで「社内コミュニケーションの土台」として十分に役立ってくれています。
一方で、ここ最近になって「外部ユーザーとのコミュニケーションも一元化したい」「運用コストや拡張の作り方を見直したい」「OSSとしての扱い(ライセンス境界や無料枠)を改めて整理したい」という思いもあり他のslack cloneを比較してみることにしました。
そこで候補に上がったのが Rocket.Chat。
“乗り換えるべきか迷って比較してみた”のがこの記事です。
この記事では、ITエンジニア視点で OSSとしての扱いやすさ を軸に、両者を細かく比較します。
結論だけでなく「どの条件なら乗り換え判断がしやすいか」まで落とし込みます。
まず結論:どう選ぶ?
-
Rocket.Chat が刺さるケース
- 社外ユーザー/顧客との会話も含めて統合したい(オムニチャネル、Livechat)
- フェデレーション(分散連携)も視野に入れている
- 「チャット+α」を多機能寄りで攻めたい(ただし無料枠でできる範囲は要確認)
-
Mattermost を継続しやすいケース
- 社内向けChatOps/DevOpsで、シンプルに堅牢運用したい
- Webhook / Slash command / Pluginで業務に“寄せる”運用がしたい
- 現状の運用が安定していて、移行コストを回収できるほどの目的がまだ弱い
全体像の比較表
| 観点 | Rocket.Chat | Mattermost |
|---|---|---|
| OSSの形 | Community Edition(OSS)と、Enterprise領域(商用)で境界がある | Team Edition(OSS)と、商用領域で境界がある |
| 基本アーキテクチャ | Node.js + MongoDB | Go + PostgreSQL(サーバは単一バイナリ) |
| 得意領域 | オムニチャネル / 外部コミュニケーション / 多機能寄り | 社内コラボ / ChatOps / 運用に寄せた統合 |
| 拡張 | Apps-Engine(TypeScript中心) | Webhook/Slash/Plugin(Go) |
| 音声・画面共有 | 製品側での機能拡張が進んでいる(版によって差あり) | Callsプラグインで実現 |
| フェデレーション | 仕組みとして前に出している | 標準の方向性としては薄め |
OSSとして一番大事:ライセンスと“境界線”
ここは「機能」より先に確認すべきです。
理由はシンプルで、後から境界を見誤っていると、社内ルール(再配布や委託範囲)や監査で詰むからです。
Rocket.Chat:OSSと商用領域の線引きが前提
Rocket.ChatはOSSとして使えますが、エンタープライズ向け機能は別のライセンス領域として扱われます。
そのため、フォークして配布する、組み込み提供する、といったケースでは「含めて良いもの/ダメなもの」を明確にし、運用ルールに落とす必要があります。
実務のポイント
- どこまでがOSS領域かを「ディレクトリ単位」「機能単位」で整理しておく
- 将来の外販・委託・子会社展開の可能性があるなら、早めに法務・監査観点で線引きを合意する
Mattermost:OSS版はあるが、周辺機能やプラン境界の影響が大きい
MattermostもOSSとして利用できますが、周辺機能(プラグインや運用機能)を含めると、プランやライセンス境界が効いてきます。
実務のポイント
- “サーバ本体がOSS”で止めず、必要機能がどの領域(OSS/商用)に属するかをPoCで確かめる
- 導入するプラグイン単位でライセンス棚卸し(社内規約に沿うか)をする
2025年以降の確認ポイント
Mattermostの「無料枠」前提は再確認
ここ数年、OSSコミュニケーションツール全般で“無料枠”の前提が揺れています。Mattermostも例外ではなく、無償利用の形や制限が整理されました。
ここらへんが落とし穴でしょうか?
- 「昔は無料でできていた」が、今の前提とズレている可能性
- Playbooksなど“運用に効く機能”がプラン差で効いてくる可能性
- 乗り換えより先に「今の運用の前提」を棚卸しすると、判断が早くなります
アーキテクチャと運用
日々の安定稼働に効く差
ざっくり構成図(最小構成)
運用の感触(現場目線)
Rocket.Chat
- 多機能な分、設定項目や統合ポイントも増えやすい
- MongoDB運用に慣れていない組織だと、バックアップ・監視・チューニングの設計が最初の壁になることがある
Mattermost
- 構成が比較的シンプルで、運用パターンを固めやすい
- ただし、プラグインや統合を増やすと結局複雑になる(ここは“使い方次第”)
機能比較
得意分野が違うので、要件で勝負が決まる
Rocket.Chat:外部連携・多チャネル統合に強い
- 顧客対応や外部ユーザーとのやり取りをチャットに寄せたい場合、Rocket.Chatの思想は噛み合いやすいです
- 「社内チャット」だけでなく「社外との接点」までまとめたいなら有力候補になります
Mattermost:社内運用(ChatOps)に強い
- WebhookやSlash commandで「会話を起点に運用を回す」導線が強い
- “障害対応のテンプレ化” “デプロイ通知” “承認フローの起点” など、社内の運用習慣に寄せやすいのが魅力です
拡張性
作り方が違う(=チームの得意に合わせて選べる)
Rocket.Chat
Apps-Engine(TypeScript)でアプリ的に拡張
- Web開発が得意なチームなら入りやすい
- 一方で、アプリの配布や運用が「無料枠でどこまで可能か」は事前確認が必要です
(“作れる”と“運用できる”は別問題になりがち)
Mattermost
Webhook/Slash → 必要ならPlugin(Go)へ段階的に
- まずHTTP連携で小さく始めやすい
- 本格的な統合が必要になったらPluginとして作り込める
- 既に4年運用しているなら、この資産(連携・運用手順)が強力な“乗り換えコスト”になります
すぐ試せる:最小docker-compose例(PoC用)
本番ではK8s/HelmやReverse Proxyが絡みますが、比較検証の入口として最小例を置いておきます。
Rocket.Chat(MongoDB)
services:
mongo:
image: mongo:6
command: ["mongod", "--oplogSize", "128", "--replSet", "rs0"]
volumes:
- mongo:/data/db
rocketchat:
image: rocket.chat:latest
depends_on: [mongo]
environment:
- MONGO_URL=mongodb://mongo:27017/rocketchat?replicaSet=rs0
- MONGO_OPLOG_URL=mongodb://mongo:27017/local?replicaSet=rs0
- ROOT_URL=http://localhost:3000
- PORT=3000
ports:
- "3000:3000"
volumes:
mongo:
Mattermost(PostgreSQL)
services:
db:
image: postgres:16
environment:
- POSTGRES_USER=mm
- POSTGRES_PASSWORD=mm
- POSTGRES_DB=mattermost
volumes:
- pg:/var/lib/postgresql/data
mattermost:
image: mattermost/mattermost-enterprise-edition:latest
depends_on: [db]
environment:
- MM_SQLSETTINGS_DRIVERNAME=postgres
- MM_SQLSETTINGS_DATASOURCE=postgres://mm:mm@db:5432/mattermost?sslmode=disable&connect_timeout=10
ports:
- "8065:8065"
volumes:
pg:
乗り換え判断のためのチェックリスト
乗り換えは「機能差」より 移行コストの回収 がすべてです。ここを定量化すると決めやすくなります。
-
なぜ今、乗り換えたいのか?(目的の明文化)
- 外部ユーザーとの統合が必要?
- 監査・ライセンス・無料枠の前提が変わった?
- 拡張開発のスタックを揃えたい?
-
現行Mattermost資産の棚卸し
- Webhook/Slash/Pluginの数、運用Runbook、権限設計、通知ルール
- “これを再現するのに何人日かかるか” を先に見積もる
-
Rocket.Chatで“目的が達成できるか”のPoC
- 外部連携(オムニチャネル的運用)に価値が出るか
- 運用(DB/監視/バックアップ)が組織に合うか
- 必須機能が無料枠で足りるか/商用が必要か
-
移行の難所を先に潰す
- 既存チャンネル/メッセージ移行、認証(SSO)、権限、通知、Bot
- 「移行できる」より「移行後に同じ運用が回るか」を重視
まとめ
- Rocket.Chat は「社外も含めた多チャネル統合」や「多機能・拡張志向」が強み。外部コミュニケーションをチャット基盤に寄せたいなら検討価値が高いです。
- Mattermost は「社内運用に寄せる」「ChatOpsを育てる」方向で強く、4年間の運用資産があるなら、その価値はかなり大きいです。
弊社のように既にMattermostを長く運用している場合、乗り換えの判断はこう整理できます。
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“外部対応を含む統合”が明確な目的なら
- Rocket.ChatのPoCを本気でやる価値あり
-
目的が“なんとなく新しくしたい”に近いなら
- まずMattermost運用の棚卸しと改善の方がROIが高いことが多い
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