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新たな「住生活基本計画(R8年度~R17年度)」を閣議決定・住宅ストックを最大限活用【国土交通省】

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本記事では前半で2026年3月末に閣議決定された「住生活基本計画(全国計画)」の解説を行い、後半ではハウスメーカー各社の「既存(中古)住宅買取再販」への取り組みを紹介します。

新たな「住生活基本計画(全国計画)」を閣議決定

2026年3月27日、国土交通省は新たな「住生活基本計画(全国計画)」が閣議決定されたことを発表しました。本計画は、令和8年度から令和17年度まで10年間に渡る住宅政策の指針となるものです。

■住生活基本計画とは

「住生活基本計画(全国計画)」は、住生活基本法(2006年施行)に基づき策定される、国民の住生活の安定の確保及び向上の促進に関する基本的な計画です。

法令では、国及び地方公共団体は、住生活基本計画に定められた目標を達成するために必要な措置を講ずるよう努めることとされています。

■新たな「住生活基本計画(全国計画)」のポイント

1.2050年までに想定される様々な変化を見据えて、持続可能な社会を目指す

新たな住生活基本計画(全国計画)は、2050年までに想定される、「単身世帯の増加」「相続住宅の増加」「生産年齢人口の減少」に対する目標を掲げています。

2.新たな「住生活基本計画(全国計画)の方向性と取組方策

新たな住生活基本計画(全国計画)には、2つの方向性に基づいた、4つの取組方策が示されています。

3.「2050年の姿」と「当面10年間の方向性」が示されている

住生活基本計画が目指している「2050年の姿」に対して、今計画中に取り組む施策の方向性が示されています。

これから10年間、国及び地方公共団体(行政)は、新たな「住生活基本計画(全国計画)」に沿って、それぞれの計画を策定し、住宅や住宅地の供給などの施策を進めていくことになります。

その基本的な方向性は、人口減少社会の到来に対して、長年にわたり蓄積されてきたインフラや居住環境の整った、既存の「住宅ストック」を最大限活用していく取り組みを、循環型市場の形成と官民連携・協働などによって促進していくことになります。

また、計画の中で、デジタル技術を活用した「住生活リテラシーの向上」や「和の住まい」など失われつつある住文化の良さ、技能継承の担い手育成の必要性を、再認識する機会を創出していくことについても触れられています。

今後、求めていく住宅性能水準は、これまでの単身世帯の最低居住面積水準が25㎡以上とされてきたことにも留意しつつ、2050年に向けて増加が見込まれる単身世帯が都市居住に当たってゆとりある住生活を営むことができる規模及び、2人世帯、3人世帯若しくは夫婦と2人の未就学児等からなる世帯が生活を営むことができる規模を考慮して、40㎡程度を上回る住宅とするなど、居住環境の向上を見据えたものとなっています。

※住生活基本計画(全国計画)は全34頁に渡る内容につき、概要を紹介しています。

詳細は出典元に掲示されている資料をご確認ください。

出典:住生活基本計画(全国計画)(令和8年3月27日閣議決定)(国土交通省)

中古住宅買取再販市場は堅調な需要を背景に拡大の見通し

国内の中古住宅買取再販市場について、2025年11月に矢野経済研究所が公表した調査結果から、現況と展望を紹介します。

この調査結果によると、2024年の中古住宅買取再販市場規模は成約戸数ベースで前年比13.3%増の52,800戸で、2025年は前年比18.8%増の62,700戸と予測されています。

2026年以降は、新築住宅価格の高騰などを背景に拡大推移していき、2030年には75,600戸(2024年比43.2%増)になると予測されています。(下図)

既設住宅の築年数が経過するとともに、リフォーム・リノベーションを必要とする住宅ストック数も確実に増加していきます。これに応じて中古住宅買取再販物件の供給が増加することも、市場拡大の一因とされています。

出典:中古住宅買取再販市場に関する調査を実施(2025)(矢野経済研究所プレスリリース2025.11.28)

優良「既存(中古)住宅」の流通を支えるスムストック

住生活基本法が2006年に施行されたことを受けて、国内ハウスメーカー10社が共同設立した、優良既存(中古)戸建住宅の流通を支える団体が、「優良ストック住宅推進協議会(スムストック)」です。

同団体は2008年7月に任意団体として発足しましたが、10年の活動期間を経て、2017年10月、「一般社団法人 優良ストック住宅推進協議会」として法人化されました。

団体の事業目的は、「住生活基本法」の趣旨に則り、ゆとりある住生活を実現するため、住宅についてフロー型社会からストック型社会への変換を目指して、優良な既存住宅の普及を図ることなどとし、参加ハウスメーカー10社の「一定の条件をクリアした優良な既存(中古)住宅」を「スムストック物件」と認定しています。

スムストック認定制度の目的は、中古住宅の価値を適正に評価し良質な住宅ストックの流通促進を行うことにあり、以下の3つの原則が掲げられています。

■住宅履歴データが蓄積されていること

■50年以上の長期点検制度/メンテナンスプログラムが実施されていること

■新耐震基準レベルの耐震性を保持していること

かつては「築20年で建物価値ゼロ」といった画一的な評価をされていた戸建住宅ですが、スムストック査定では、この3条件を満たした住宅は、築年数が経過しても価値を適正に評価される仕組みとなっています。

スムストック査定では建物の構造躯体(スケルトン)と内装・設備(インフィル)を分けて評価し、メンテナンス履歴を加味することで、より精緻な査定を可能にしています。

スムストックに参加する10社のハウスメーカーとそのグループ会社が、スムストック制度を活用して、既存(中古)住宅の買取りや再販を積極展開しています。

出典:スムストック(一般社団法人優良ストック住宅推進協議会)ホームページ

ハウスメーカー各社の既存(中古)戸建住宅買取再販への取り組み

ハウスメーカー各社の2026年4月現在の既存(中古)戸建住宅買取再販への取り組みについて紹介します。

■旭化成ホームズ

旭化成ホームズは不動産流通事業の一環として、「ストックヘーベルハウス」ブランドで、自社が建てたヘーベルハウスの買取再販に取り組んでいます。

住宅を新築してから「住み続ける」「引き継ぐ」「住み継ぐ」の循環(サーキュラエコノミー)を目指すことをスローガンに、独自の築後「60年点検」を設定して、「資産価値の高さ」や「資産価値の持続」を、自社の既存(中古)住宅の視点としていることも特徴です。

参考:ストックヘーベルハウス ホームページ

■住友林業グループ

住友林業は、中古住宅の流通・購入・リノベーション・再販について「ストック住宅事業」として包括的に取り組んでいます。

特に自社物件の強みを活かした独自の査定や保証体制、木造住宅の特長を活かしたリノベーションに強みを持っています。

1.すみなび(中古住宅の販売・仲介)

住友林業ホームサービスが、住友林業の家を中心に中古一戸建てやマンションの査定・仲介・買取を行っています。

建物査定では、構造躯体やメンテナンス状況など、木造住宅の専門知識を持つスタッフが建物の価値を適正に評価します。

参考:すみなび(住友林業ホームサービス)ホームページ

2.住友林業のリフォーム(中古住宅リフォーム・リノベーション)

住友林業ホームテックが、築年数が経過した住宅でも、木造の強みと木の質感を生かした空間へリノベーションします。現代基準に合わせた断熱性・耐震性の向上(スケルトンリフォームなど)も実施しています。

■セキスイハイムグループ

セキスイハイムグループでは、セキスイハイム不動産が中古住宅買取再販サービスを担っています。

セキスイハイム不動産では、スムストック認定住宅の他、セキスイハイムの戸建てオーナーから、セキスイハイムグループ企業が直接買い取りし、リノベーションを施した優良中古住宅「Beハイム」を展開しています。

出典:セキスイハイム不動産ホームページ

■積水ハウスグループ

積水ハウスグループで、中古住宅の買取再販を担うのは、積水ハウス不動産です。

積水ハウスは、かねてより、グループの積水ハウスリフォーム等と連携し、自社中古物件を買い取って大規模リフォームと保証を付与して再販する「オーナー住宅買取再生事業」を本格展開していました。

この動きが元になり、スムストック設立時に企業として主導をとった経緯があり、現在もスムストック認定住宅を中核にしていますが、2024年12月以降の新たな取り組みが「循環する家(House to House)」プロジェクトです。

「循環する家(House to House)」プロジェクトでは、住宅を生産する前段階から、部材の再利用などを視野に入れて設計し、新しい資源の使用や消費をできるだけ抑えることを課題として、3万点以上に及ぶ部材を対象に「3R(リデュース、リユース、リサイクル)」を実現するサーキュラエコノミーに対する取り組みです。

出典:Circular Design from House to House循環する家(積水ハウスサイト)

■大和ハウスグループ

大和ハウス工業は、大和ハウスリアルエステートとともに、2026年4月1日より、自社で施工した既存(中古)戸建住宅を対象に、買取前の建物状況調査に加え、独自基準に基づく100項目以上の検査(工事完了時品質検査)と必要なメンテナンス・バリューアップを実施した上で、「認定ストック住宅」として販売する、新たな取り組みを開始しました。

大和ハウスグループでは、2008年からスムストックの取り組みを推進していますが、2018年1月、グループ統一ブランド「Livness(リブネス)」を立ち上げ、これまで累計50万件以上を手がけるなど、住宅ストック市場の活性化に向けて積極的に取り組んでいます。

出典:独自基準に基づく検査やバリューアップを実施した当社の既存(中古)戸建住宅を「認定ストック住宅」として販売開始(大和ハウスプレスリリース)

■トヨタホーム

トヨタホームは、これまでスムストック査定を採用して自社物件を中心に既存(中古)住宅買取再販事業を進めてきましたが、2023年7月、これまでのノウハウや実績をもとに、新しく統一ブランド「「SumCleスムクル」を立ち上げました。

出典:トヨタホームの買取再販システム 新ブランド「SumCleスムクル」を導入(トヨタホームプレスリリース)

■パナソニックホームズ

パナソニックホームズは、2025年4月から、自社の既存(中古)戸建住宅をグループ会社がオーナーから買い取り、保証・瑕疵保険を充実の上、快適な空気環境の付加価値を備えて、新たに『ReVALUED (リバリュード)』ブランドで販売を開始しました。

買い取った「スムストック物件」をリフォームして、床下から取り入れた空気を浄化して住まいに供給する『エコナビ搭載換気システム HEPA+』を標準装備するほか、オプションで「リフォーム用全館空調」をラインナップしているのも特徴です。

出典:『ReVALUED(リバリュード)』ブランドの買取再販戸建住宅を新展開(パナソニックホームズプレスリリース)

■ミサワホーム

ミサワホームは、不動産仲介・買い取り再販事業を拡大するため、2026年4月1日からストック事業における総合不動産ブランド「MISAWA RELAY(ミサワリレイ)」の展開を開始しました。

出典:ミサワホームの不動産仲介・買取再販事業 MISAWA RELAY

■三井ホーム

三井ホームグループは、自社の中古住宅の流通活性化に向け、グループ会社の三井ホームエステートなどを中心に買取再販や買取保証付きの売却支援サービス「グッドストック(Good Stock)」を展開しています。

グッドストックは、60年点検・保証システム「キープウェル60」、売却時の買取保証「売却安心システム」、安心10年再保証システム「リ・ブライト」を特徴としています。

出典:三井ホームのグッドストック(三井ホームホームページサイト)

■ヤマダホームズ

ヤマダホームズは、グループの「おうちReライフ」による中古買取・再販や、スムストックへの加盟を通じて、高品質な中古住宅の流通とリノベーションに注力しています。ヤマダグループの強みを活かし、「リフォーム・家電・家具」をワンストップで提供し、古民家再生にも対応していることが特徴です。

出典:ヤマダホームズ不動産買取り(ホームページ)

まとめ

住生活基本計画は、2006年(平成18年)9月に「住生活基本法」に基づいて初めて策定(全国計画が閣議決定)されましたが、以来、全国計画は10年間を策定して、おおむね5年毎に見直しが行われる予定とされています。

2025年度末に公表された、新たな住生活基本計画(全国計画)では、若年・子育て世帯に、都市部で増加が見込まれる相続空き家をアフォーダブル住宅として活用する方向性を打ち出すなど、若手世帯に向けた方策を盛り込んでいる点が更新されており、住宅ストック市場を循環型として形成していくために、ニーズに応じた持家・賃貸の選択や、ライフスタイルに適した住替えなどの柔軟な流動性を示していることが特徴です。

また本計画では、「デジタル田園都市国家構想」に合わせて、デジタル技術の活用を取り入れている点に進化が感じられます。

各ハウスメーカーの中古住宅への取り組みでは、旭化成ホームズや三井ホームのように、自社住宅の耐久性や長寿命化に合わせて「60年点検」制度で差別化している点や、各社が買取り後にリノベーションを行い、さまざまな省エネ性能や環境性能を付与することで、商品価値や資産価値を高めて再販している点が各社の特色になっています。

積水ハウスのように、住宅の設計段階から部材の再利用を企図した取り組みで、サーキュラエコノミーを実現する取り組みは、新しい動きで、今後の住宅産業の在り方が変化していく可能性が感じられます。

本記事では、新たな「住生活基本計画(全国計画)」の紹介に加えて、建築系学生の企業研究に役立つよう、ハウスメーカー各社の既存(中古)住宅買取再販への取り組みを加えた紹介をしました。

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)