毎日のスムージーで肥満や生活習慣病? 予防医学を追求してきた医師が指摘、「日本人の体質」を知らないと陥る健康の勘違い

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同じ人間であっても、外見や言語が違うように、人種によって「体質」も異なります。そして、体質が違えば、病気のなりやすさや発症のしかたも変わることがわかってきています。欧米人と同じ健康法を取り入れても意味がないどころか、逆効果ということさえあるのです。

こうした、見落とされがちだった「体の人種差」の視点から、日本人が病気にならないための健康法を、徹底解説してロングセラーとなった『欧米人とはこんなに違った日本人の「体質」』が全面改訂されて、『最新 欧米人とはこんなに違った日本人の「体質」』として新たに刊行されました。本書は発売即重版となるなど、大きな話題を呼んでいます。

そこでこの『最新 欧米人とはこんなに違った日本人の「体質」』から、とくに注目の話題を数回に分けて紹介していきましょう。

その第1回では、体に良くないと思われていること、良いと思われていることの「勘違い」について伝えています。前編「「日本人の体質」にグルテンフリーは合わない。予防医学を追求してきた医師が指摘する「日本人がはまると逆効果の健康法」」ではダイエットなどで注目される「グルテンフリー」について詳しくお伝えしました。グルテンを過剰に避けようとすると、糖尿病の原因になりかねないというのです。後編では「ヘルシー」の代名詞のようなスムージーについてお伝えします。

*本記事は、『最新 欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。

毎日のスムージーが肥満と生活習慣病を招く?

朝はスムージーと決めている人もいるでしょう。材料として果物や野菜を使うのはジュースと同じでも、繊維質をのぞいて液体だけを絞り取るジュースと異なり、スムージーは材料を丸ごと凍らせてミキサーにかけて作ります。果物や野菜の栄養素をすべて摂取できるわけです。

人気の野菜は小松菜、ホウレンソウ、水菜など。果物はバナナ、リンゴ、ブルーベリー、グレープフルーツ、キウイフルーツ、イチゴにメロン、なんでもござれ。野菜を中心とするグリーンスムージーなら野菜を6、果物を4の割合で使い、飲みやすさを重視するなら野菜4、果物6がよいそうです。

さて、スムージーと言うと、お決まりの注意書きが、「ダイエットを考えるなら、糖質の少ないものを選びましょう」というものです。正確に言うと、糖質というより果糖です。

意外に怖い、体におよぼす「果糖の影響」

果物の甘みのもとになる糖は3種類に分けられます。ブドウ糖、果糖、そしてブドウ糖と果糖が結びついてできたショ糖です。ショ糖は漢字で蔗糖と書き、蔗はサトウキビのこと。ショ糖と砂糖は同じものです。

果糖にはブドウ糖と大きく異なる性質があります。ブドウ糖を摂取すると血糖値が上がるのに対して、果糖は血糖値がほとんど上がりません。吸収された果糖は血液の中をめぐることなく、ただちに肝臓に吸収されるからです。そうなると、脳にある満腹中枢を刺激しにくいために満腹感が得られず、つい食べすぎてしまいます。

そのうえ困ったことに、果糖は内臓脂肪を増やします。内臓脂肪は内臓のすき間にたまる脂肪で、悪い物質を作ることで血圧と血糖値を上げ、血中脂質の数値を悪化させてメタボリック症候群を引き起こします。2018年に提唱された新しい仮説によれば、果糖を摂取すると脂肪組織で弱い炎症が起きて、コルチゾールというホルモンが増加し、皮下脂肪が内臓脂肪に変化するようです**。このとき肝臓でもコルチゾールが増えて脂肪がたまり、脂肪肝が発生します。

やっかいなのは、日本人を含む東アジア人は、ただでさえ内臓脂肪がつきやすいことです。

この傾向は男性に強く、欧州系の人は体がどんなに大きくても大部分が皮下脂肪です***。皮下脂肪は悪い物質をほとんど作らないため、メタボリック症候群を発生させることがありません。図「内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満」はおへその高さでおなかを輪切りにするように撮影した腹部CT画像です。この2人は腹囲も、体についた脂肪の総量もほとんど同じですが、脂肪のつきかたが異なることがわかります。

皮下脂肪が比較的安全な脂肪であることから、日本と米国では男性の腹囲の基準値が異なり、日本人が85cm未満なのに対して米国人は約102cm(40インチ)までOKです。これはちょっとショックですね。

そんな日本人が果糖をせっせと摂取したらどうなるでしょうか。果物にせよスムージーにせよ、健康によい栄養素が含まれているのは確かでも、内臓脂肪がついて生活習慣病を招くという欠点があります。週末だけのお楽しみにするなど、節度を持って楽しんでください。

第2回は、筋トレの「ウソ・ホント」について。日本人が、がんばっても“やせ体質”にはなれない、その理由について4月10日公開予定です。

記事中の参考記事

*グルテンフリーで血糖値、BMIが上昇する:Vici G. et al. ,“ Gluten free diet and nutrient deficiencies: A review.”, Clinical Nutrition , 35(6)(2016).

**果糖が内臓脂肪を増やすしくみ: DiNicolantonio J. J. et al. ,“ Fructose-induced inflammation and increased cortisol: A new mechanism for how sugar induces visceral adiposity.”, Progress in Cardiovascular Diseases , 61(1)(2018).

***腹囲が同じでも日本人男性の内臓脂肪は白人男性より多い:Kadowaki T. et al. ,“ Japanese men have larger areas of visceral adipose tissue than

【前編を読む】「日本人の体質」にグルテンフリーは合わない。予防医学を追求してきた医師が指摘する「日本人がはまると逆効果の健康法」