南城市の第三者委員会からセクハラを認定された古謝景春市長の不信任決議案が26日、市議会で可決された。第三者委の辞職提言にも続投してきた古謝氏が、セクハラ被害を受けた職員に口封じを働いていた物証が出てきた中で、市議会がようやく市政を牽(けん)制(せい)する本来の役割を果たした。
古謝氏は元運転手や市職員など複数から被害の訴えが上がったセクハラ疑惑について十分な説明を果たさず、被害者を一方的に侮辱し、攻撃する態度を続けてきた。第三者委によるセクハラ認定後も否定を続けた。告発者への威圧による「セカンドハラスメント」で休職に追い込まれる職員が出た。まさに不信任に値する。むしろ4度目での可決は遅すぎる対応だ。
古謝氏は不信任が可決されれば「議会を解散する」とほのめかしてきた。賛成議員への報復措置ともとれ、自身の責任を議会に押しつけるのは筋が違う。失職を回避するために、2千万円を要する議員選挙を行うとすれば、市民不在の職権の乱用と言わざるを得ない。古謝氏は決議を真(しん)摯(し)に受け止め、職を辞すべきだ。
不信任決議の可決には出席議員の4分の3の賛成という高いハードルがある。今回は古謝氏が職員にセクハラを口止めする音声記録という新証拠が決定的となり、賛成討論に立った与党議員からも「被害者の方々に寄り添える南城市議会であってほしい」と言わしめるほど潮目が変わった。とはいえ、この期に及んで市長擁護の反対討論を行う議員もおり、市議会の対応は多くの問題も残した。
古謝氏のセクハラを認定した第三者委の報告書が出た時点で市議会が問題解決の対応をとっていれば、被害者が休職に追い込まれることや表に出て苦しむことはなかった。市民の人権救済や再発防止の確立で後手に回った。
可決された不信任決議も、古謝市政を支えてきた与党議員が賛成しやすいような妥協の産物とはいえ、理解に苦しむ文面だ。セクハラについて一切記述がなく、「市政の混乱状態を放置することは避けなければならない」と抽象的な書きぶりになっている。「功績」や「感謝」を述べるなど否認を続ける古謝氏の顔色をうかがうようであり、本来立つべき被害者の視点が全くない。何を不信任したのか首をかしげざるをえない。
首長と議会の関係は地方自治の「車の両輪」に例えられる。互いに独立して均衡をとり、議会には執行機関に対する監視機能が与えられている。長期市政を続けてきた古謝氏の強い影響力の下で、議員が市長に物が言えない、いびつな関係になってはいなかったか。多選の弊害について検証することも必要だ。
南城市議会は昨年8月に県内で初のハラスメント防止条例を可決している。市役所も議会も市民の信頼を取り戻すため、徹底した改革につなげなければならない。