<社説>南城市新たな第三者委 責任の棚上げ許されない


<社説>南城市新たな第三者委 責任の棚上げ許されない
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 「市政の私物化」と有識者から指摘されるように、職権の乱用が疑われる事態だ。

 南城市が設置した第三者委員会からセクハラを認定されている古謝景春市長が、前市長らのハラスメント問題を調べるための第三者委員会を新たに設置する意向を市議会で表明した。自身のセクハラ問題についての第三者委は批判して調査結果を受け入れないにもかかわらず、公費を投じて別の第三者委を組織して前市政時代にさかのぼって追及を始めようというものだ。

 現市政での安全な職場環境を作る責務を棚上げし、問題の所在をすり替える開き直りとしか受け取れない。自身に都合のいい結論を得るための組織や辞任要求を免れるための時間稼ぎであれば、到底受け入れられない。

 既に退職した前市長時代のハラスメントの検証に緊急性はない。まず古謝氏自身の報告書の提言に対応すべきだ。

 古謝市長のセクハラ問題を巡っては、市から要請を受けた弁護士会などが公平・中立の立場で第三者委員を推薦し、被害者と市長の双方に聞き取り調査をしてきた。今年5月に第三者委員会が公表した報告書は「複数の職員に対して、長期にわたって多数のセクハラ行為等があったと判断できる」と認定した。

 古謝市長による“被害者捜し”も明らかとなり、報告書は「セクハラ被害を受けても訴えることができない状況を市長自ら作出し、決して許されない行為」と断じた。再発防止のためには「古謝市長が辞職し、今後市政に関与しないことが最も有効」だと指摘し、辞職の要求に踏み込む厳しい提言となった。

 第三者委は市が自ら設置した外部識者による調査機関だ。設置には計852万円の税金を使っている。第三者委がセクハラを認定した以上、自身の行為を省みて被害の回復と拡大防止、そして再発防止策を確立することが市長や行政に求められている。

 しかし、古謝市長は辞職の提言に対し「やっていない」「(調査が)おかしい」として、第三者委の報告を無視する考えを繰り返してきた。

 今月9日の市議会では「(前市政の)パワハラ問題が取り上げられなかったことが、私は疑問に思っている。私も全力で(新たに立ち上げる)この委員会で改善を図りたい」と述べ、瑞慶覧長敏前市長時代のパワハラ問題を調べる第三者委員会を設置する意向を表明した。

 なぜ今、前市政の問題を持ち出すのか。セクハラ被害の訴えの裏に政治的な思惑が介在しているかのような言い分にも受け取れる。勇気を出して被害を訴えた職員らを冒涜し威圧するものでもあり、古謝市長が責任転嫁を続けることは放置できない。

 与党市議の中にも「市政の混乱」を理由に辞任を検討するよう求める声が広がっている。市政の牽制役となる議会の役割が問われている。

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